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命と向き合うことに思いを馳せて…『いのちスケッチ』瀬木直貴監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年11月17日

福岡県大牟田市に実在する“動物福祉に特化した動物園“として知られる大牟田市動物園を舞台としたヒューマンドラマ『いのちスケッチ』が11月15日(金)より全国の劇場で公開中。11月17日(日)には、大阪・十三の大阪・十三の第七藝術劇場に瀬木直貴監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『いのちスケッチ』は、国内で初めて無麻酔採血に成功するなど、動物福祉に特化した動物園として世界からも注目されている福岡県大牟田市に実在する動物園を舞台にした人間ドラマ。漫画家を目指し上京しながら、自身に限界を感じて故郷の福岡に帰ってきた田中亮太は、友人から地元の延命動物園でのアルバイトを紹介される。その動物園は動物の健康と幸せを第一に考える、世界でも珍しい「動物福祉」に力を入れる動物園だったが、予算縮小で園の運営は危機的状況におかれていた。園長の野田や獣医師の彩たちとともに働き、動物福祉の重要さを痛感した亮太は、この取り組みを自らの漫画で伝えるため、再びペンを握ることを決意する。
亮太役を『走れ!T校バスケット部』『今日も嫌がらせ弁当』の佐藤寛太さん、ヒロインの彩役を連続テレビ小説『まんぷく』の藤本泉さんが演じ、武田鉄矢さん、渡辺美佐子さん、浅田美代子さんらが脇を固める。監督は『恋のしずく』『カラアゲ★USA』の瀬木直貴さん。

 

上映後、瀬木直貴監督が登壇。第七藝術劇場での舞台挨拶は5作目となり、瀬木監督は和やかな雰囲気の中で舞台挨拶を行った。

 

福岡県の大牟田市動物園を舞台にしている本作は、動物福祉がテーマ。動物愛護という言葉をよく聞くが、これは、感覚的で主観的、可愛さや癒しを目的にしている。動物福祉は、動物を科学的に理解したうえで利用しながらストレスをかけないように維持していくことを指す。地道な取り組みではあるが、瀬木監督は、旭山動物園のような行動展示が持つ派手さはないが、重要なことをやっていると気がつき、本作を思いついた。

 

とはいえ、動物の科学的に理解していくことは難しい。本作で取り上げられる、無麻酔によるライオンの採血がその一例。人間に対する採決の場合、人間ドックや身体計測では全身麻酔はしない。だが、動物の場合は、人間に危害を与えないように、全身麻酔する必要があった。微妙な麻酔量の違いで生命の危険に晒される。「出来るだけ動物に協力してもらいながら、無麻酔でのライオンの採血を日本で初めて成功したのが大牟田市動物園」だと説く。

 

映画『神さまの轍 -checkpoint of the life-』を手掛けた作道雄さんに本作の脚本を執筆して頂いたが「描かれている動物園でのシーンはほとんど僕の体験です」と明かす。初めて動物園に行き、モルモットを見た時に「可愛いっすねぇ」と言ったら、飼育員から「それも人間のエゴですよ』と言われた。そんな考え方一つ一つを自身の中に落とし込んでいくことは難しく、映画の素材としてどうなのか、と暗中模索する。だが、大切なことに取り組んでいる意味に気がつき、メインストーリーとして描こうと決断した。

 

本作には福岡県人が沢山出演している。「武田鉄矢さんは国民的な俳優ですが、台本にある台詞は全く言いませんでしたね」と告白し「現場でも大変です。俳優も録音部も台本のドコを演じているのか分からなくなる」と現場では困惑ぎみ。だが「武田さんの計算尽くです。最適解を提案する監督への挑戦です」と解釈し「無言の圧力ですね。お互いに挑戦しながら撮影したので、非常におもしろかった」と果敢に挑んだ日々であった。

 

最後に、瀬木監督は「命に向き合うことがテーマなので、自分が飼っている猫や犬、身近なところにある命とどのように向き合うか、思いを馳せながら観て頂ければ」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『いのちスケッチ』は、大阪・十三の第七藝術劇場、四条畷のイオンシネマ四条畷、京都・桂川のイオンシネマ京都桂川、兵庫・尼崎の塚口サンサン劇場をはじめ、全国の劇場で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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