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望月さんは裏表ない真っ直ぐな人…!『i-新聞記者ドキュメント-』森達也監督を迎えトークショー開催!

2019年11月17日

納得できる答えを得るまで同じ質問を重ね、官邸側にしばし疎まれる東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんの姿や周囲の対応を通して、ジャーナリズムとメディアの意味を問う『i-新聞記者ドキュメント-』が11月15日(金)より全国の劇場で上映中。11月17日(日)には、大阪・十三の第七藝術劇場に森達也監督を迎え、トークショーが開催された。

 

映画『i-新聞記者ドキュメント-』は、映画「新聞記者」の原案者としても話題を集めた望月衣塑子さんを追った社会派ドキュメンタリー。森達也監督が、新聞記者としての取材活動を展開する望月さんの姿を通して、日本の報道の問題点、日本の社会全体が抱えている同調圧力や忖度の実態に肉迫していく。

 

上映後、森達也監督が登壇。真摯に応える姿が印象に残るトークショーとなった。

 

メディアが扱わない人を扱う、と森監督はよく云われる。だが、実際は「全部なりゆきなんです」と明かす。監督自身が撮りたくてアクションを起こしてはおらず、今回は「河村プロデューサーから2年前にドラマ版の監督をやらないか、とオファーを受け、準備していた。諸事情により降りたが、降りる前に『ドラマとドキュメンタリーを2本同時に出来ないか』と云われた。2本も無理だ。と伝えドラマを降りたので、ドキュメンタリーをやることになった」と告白した。今まで女性を撮ったことがなかったので「女性を撮ったらどうなるんだろう」と考えたが「男女に差はない」と実感。とどのつまり、取材対象について「フォトジェニックにある人を選んでいますね。画になる人。如何に内実が深かろうが、おもしろい被写体であろうがフォトジェニックでないと辛い。結果的にそういう人を選んでいますね」と冷静に分析していく。なお「撮ってみるやるなら新しいことをやろう」とチャレンジ精神は旺盛で、『新聞記者』が先行して上映されヒットしたので、その勢いに乗り果敢に挑んでいる。

 

センセーショナルな作品に取り組んでいる、と思われがちな森監督だが「普通のことをやっているだけなのに、なぜ自分だけなのか。僕は凄くない、普通なんです」と話し「周りが地盤沈下している」と捉えていた。望月さんについても「政治権力に質問する。納得いかなかったら何度も質問する。取材する。記者としては当たり前」だと考えており「なぜヒーローとして扱われもてはやされるのか」と不思議でしかない。なお、森監督と望月さんはかつて演劇に取り組んでいたという共通点があり「20代は、自主制作映画を撮りながら演劇もやっていた。28,9歳で辞めた理由は演技力がなかったから」と打ち明け、望月さんについて「良くも悪くも裏表が全くない。悪く言えば扁平な人、良く言えば真っ直ぐな人。役者向きではない」と冷静に指摘した。

 

なお、本作の最後では、森監督が具体的なメッセージを観客に向けて投げつけている。当初、望月さんの行動に同行しながら撮り続けながら、具体的なラストシーンは決めていなかった。「ドキュメンタリーは完成しないリスクが常にある」と認識しており、ラストが見えた時にはひと安心し「自分が納得のいく作品に出来る」と考えている。

 

さらに、メディアの在り方の変化についても話題が挙がった。森監督は「本質はそんなに変わっていない」と考えており「この社会には昔から集団と親和性が高い。言い換えれば、個が弱く、集団が大好き。昔より相当加速してしまっている」と説く。その理由について、セキュリティ意識を挙げ「不安と恐怖が強くある。その結果として、群れたくなる」と鑑みる。本作では、鰯の群れが登場するが「普通、鰯は群れない。大水槽の中に沢山の鰯を入れても群れでは動かない。天敵を入れると一斉に皆が同じ動きを始める。」と解説していく。同調圧力が強くなっていることにも触れ「明らかにこの20年間で加速していますね。結果として、表現したい、言論を伝えたい、何かを展示したい、でもリスクがある」と現状を冷静に判断する。「常にリスクがあることは当たり前」だと踏まえた上で「リスクのない表現なんてない。リスクが怖くてしょうがないから、万が一何か起きたら責任が取れるのか、と思考する。リスクはゼロにはできない。リスクを軽減することは間違っていないが、表現する限りゼロは無理」だと提言した。

 

最後に、これからドキュメンタリーを撮りたい監督に向けて「テレビで出来ないことが映画が出来る領域はありますが、報道の補完ではない。ドキュメンタリーは映像。コントロールできないし、状況に任せるしかない。状況を撮ることがドキュメンタリーであるならば映像ということ。ドキュメンタリーだからといって身構える必要はない」と述べ「社会派であったり政治的であったりする必要はない。お笑いや恋愛がテーマであってもよい。自由に撮ってくれればいい」と伝え、トークショーは締め括られた。

映画『i-新聞記者ドキュメント-』は、大阪・十三の第七藝術劇場シアターセブン、京都・烏丸の京都シネマをはじめ、全国の劇場で上映中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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