フレデリック・ワイズマンが舞台裏に迫るドキュメンタリー『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』がいよいよ関西の劇場でも公開!
(C)2017 EX LIBRIS Films LLC – All Rights Reserved
ドキュメンタリー映画界の“生ける伝説“ことフレデリック・ワイズマン監督が、世界で最も有名な図書館と言われる“ニューヨーク公共図書館“の舞台裏を描き出す『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』が、6月21日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』は、世界中の図書館員の憧れの的である世界屈指の知の殿堂、ニューヨーク公共図書館の舞台裏を、フレデリック・ワイズマン監督が捉えたドキュメンタリー。19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。同館が世界で最も有名である理由を示すことで、公共とは何か、そしてアメリカ社会を支える民主主義とは何かを浮かび上がらせていく。
本作では、2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠ワイズマンが監督・録音・編集・製作を手がけ、資料や活動に誇りと愛情をもって働く司書やボランティアの姿をはじめ、観光客が決して立ち入れない舞台裏の様子を記録。リチャード・ドーキンス博士、エルビス・コステロ、パティ・スミスら著名人も多数登場。第74回ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。
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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』は、6月21日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田、6月29日(土)より、京都・烏丸の京都シネマ、7月6日(土)より、神戸・元町の元町映画館で公開。
知を求める全ての者に勇気を与える、素晴らしいドキュメンタリーだ。
図書館の仕事とは、本を仕入れて、貸出しを管理して…というものだと思われがち。勿論それらも大事な業務の一部だが、NY公共図書館のミッションはそれだけではない。作家や学者によるトークショー、老若男女が集う読書会、手話による通訳講座、黒人のための人権集会。これでもかと幅広く地域のコミュニティを支援する力強い活動内容に、ただただ感嘆する。NYは人種も貧富の差も様々である。約800万人のNY市民のうち、90万人が障害者であり、300万人がネット環境を持っていない。それらの人々を全力で支えようとする図書館員たちの目まぐるしい日々は、ドラマチックだ。
分館の多さにも目を見張る。図書館の本館は、ブロードウェイからほど近い繁華街のすぐ近く。そこを中心に、マンハッタンを網羅するように各地に偏在する拠点たち。ブルックリンでは黒人の子供たちに、ボランティアのハイティーンたちが勉強を教える。高級住宅街のアッパーサイドではピアノコンサートまで開催。NY図書館の名の下に、市民の文化的な生活の礎となり浸透している。あくまでも「公共」であって「公立」ではない。国の出資と民間の寄付とに支えられている、独立法人である。だからこその毅然とした姿勢が美しい。莫大な量の取材をし、この濃密な3時間半にまとめあげたワイズマン監督、今回もさすがの手腕。観終わって、自分の住む町の図書館に足を運びたくなる、素敵な作品だ。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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