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少し不思議な群像劇を独自の世界観で作り上げた…!『嵐電』鈴木卓爾監督、井浦新さん、大西礼芳さん、金井浩人さんに聞く!

2019年5月23日

鎌倉から京都にやってきたノンフィクション作家の、京福電鉄嵐山線にまつわる不思議な話の取材を通して3つの恋愛模様を幻想的に描く『嵐電』が、5月24日(金)より公開される。今回、鈴木卓爾監督、井浦新さん、大西礼芳さん、金井浩人さんにインタビューを行った。

 

映画『嵐電』は、京都市街を走る路面電車・京福電鉄嵐山線(通称らんでん)を舞台に、交錯する3つの恋を幻想的に描いたラブストーリー。鎌倉からやって来たノンフィクション作家の平岡衛星は、嵐電の線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話の数々を取材し始める。そこには、衛星と彼の妻・斗麻子が、かつてこの地で経験した出来事を呼び覚ます目的があった。修学旅行で青森から来た女子学生・北門南天は、電車をスーパー8で撮影する地元の少年・子午線と出会う。一方、太秦撮影所の近くにあるカフェで働く小倉嘉子は、撮影所にランチを届けた際、東京から来た俳優・吉田譜雨に京都弁の指導をすることになるが……

 

鈴木卓爾監督作品には少し不思議な要素が含まれていることが多い。監督としては「普通に映画を作っているつもり」だと語る。本作の脚本は、第二、三、四稿と書いていき、決定稿にするにあたり、監督補の浅利宏さんも参加していく。ロケハンにも参加してもらい、疑問点を挙げながら、様々なセリフを書き足してもらった。最終的に「シーンが追加され分かりやすくなる、と気づいていった。良い影響を与えてくれているし、お客さんに伝わるようにしてくれた」と感謝している。

 

井浦さんは、鈴木卓爾監督の作品は『楽隊のうさぎ』以来2回目の参加。お互いに役者としての共演もあり「経験を積み重ねてきた中で、今回のオファーによって、さらに卓爾監督の世界の中で生きれるな」と大いに楽しみにしていた。台本を頂いた時には「文字で読むと、どんな画になっていくんだろう。実現可能なのかな」とSF小説を読んでいる感覚にもなっていく。おかげで「卓爾監督作品の中で一緒に遊ぶことが出来るな」とモチベーションが上がっていった。

 

京都造形芸術大学と映画学科が一丸となり、その全機能を駆使しながら、プロと学生が協働で一年をかけ一本の映画を完成させ、劇場公開を目指すプロジェクト「北白川派」の第六弾となる本作。井浦さんは、第四弾作品の『彌勒 MIROKU』以来2回目の参加となる。前回について「いいものを見させてもらった」と印象に残っており「映画作りの情熱や、何かになりたい思いを持っている人達と一緒に仕事出来る機会が少なくなってきている。北白川派で作っている映画の現場に飛び込ませさせてもらい、心から演技に集中できる」と喜んだ。今作でも「監督の教え子達や一緒に映画を作りたい思いが詰まった若い子達と一緒に映画作りが出来る」と期待を寄せて参加している。

 

3つの群像劇から構成されている本作について、鈴木監督は「バランスは考えていなかった」と告白。収録した映像をほぼ使っており「譜雨と嘉子のパートが長いものになっていると感じ、縮める方向で90分程度に収めたかったが、歯止めが利かなくなった」と打ち明ける。監督補の浅利さんと協力しながら、シーンによっては切ることも考えたが、最終的に、流れに身を任せて仕上げていった。現在では「この映画は本当に群像劇なのかな」と思い始めており「映画が完成すると映画の正体が分かる。作っている側は想定した内容と想定外の結果を受け入れていく」と冷静に語る。

 

大西さんと金井さんは『きらきら眼鏡』以来の共演。大西さんは、『きらきら眼鏡』のオーディションで金井さんと初対面し「この人は他の人が持っていないものを持っている。その思いを伝えてくれる人」だと感じ、再び共演出来ることを喜んだ。撮影中や現場以外でも助けられており「お互いの気持ちが重なっていき、映画にも表れているんじゃないか」と受けとめている。金井さんも「再び共演させて頂いて、改めて素敵な女優さんだなと思った。演じながら心動かされる瞬間が多く『今日は何をしてくれるんだろう』と撮影現場に行くのが毎日の楽しみでした」と嬉しそうに振り返った。

 

大西さんは、金井さんとの2人だけの会話シーンでは演技の大変さを感じており「監督は、変な方向から出ている芽を引っ張ってくれた」と感謝している。鈴木監督は「私、分からないです」と正直に答えるが、井浦さんが「現場でしっかり演出されていましたよ」とフォローしていく。鈴木監督は、学生が撮ったメイキングを見ながら、指図しているな、と感じた経験があり「相手を演出しているようで、自分で芝居することはしてはいけない。監督が”躍る”現場は失礼。気が付くと全員が同じ人間になってしまうと意味がない」と心がけてきた。井浦さんは「こうしてみよう、という演出はひとつもなかった。監督が2人の演技を見て、感じたことを伝えている」と鈴木監督の演出を説明し「自分もテストをやっている時に『』の台本を超えた世界の話をしてもらい、どのように演技に活きるか伝えてくれた」と感謝している。鈴木監督は、撮影中はモニターを見ず、必ずカメラの横におり「モニターを見てしまうと軸が変わってくる。傍で見ていたいスタンスで撮っていれば、カメラマンとの思い違いは起きるが、それらを肯定していくからこそ撮れるものがある。そこに賭けたい」と作品への思いを絶えず真摯に語っていた。

 

映画『嵐電』は、5月24日(金)より、京都・烏丸の京都シネマ、6月7日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田、6月21日(金)より、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、6月22日(土)より、京都・出町柳の出町座で公開。

今すぐ嵐電に飛び乗って、京都の町を旅したくなる。観終わった後、実際に行ってしまった。

 

文字通り、狐と狸に化かされているような場面が垣間見えたり、映画の撮影なのか現実のセリフなのか見失うようなメタな演出があったり、実験的な雰囲気も漂う。この不思議な語り口がとても似合うのも、京都の魅力があってこそ成立する。「駅の入り口の回転ドアは、外からは入れるが、中からは出られない」なんていう、なにかを象徴するかのような描写も上手い。「京都タワーが、どうして灯台の形をしているのか」というトリビアもおもしろかった。

 

制作陣の京都への愛着と、地元の人々が撮影を支えていたことが伝わってくる。エンドロールの数々の協力者の名前を見ているのが楽しい。ぜひ劇場で、もし可能なら、京都の映画館で、観た後に嵐電に乗れる予定を空けておいて観て頂きたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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