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備える心を以て演じると、世界はアッと驚く…!『ばあばは、だいじょうぶ』寺田心君とジャッキー・ウー監督、原作者の楠章子さんを迎え舞台挨拶開催!

2019年5月19日

認知症を患った老女と、その変化にとまどう孫の心の交流を描く『ばあばは、だいじょうぶ』が全国のイオンシネマで公開中。5月19日(日)には、イオンシネマ茨木に、寺田心君とジャッキー・ウー監督、原作者の楠章子さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『ばあばは、だいじょうぶ』は、認知症になってしまった大好きな祖母の姿を、小学生の男の子の視点から描いたベストセラー絵本「ばあばは、だいじょうぶ」を映画化。両親とばあば(祖母)と4人で暮らす、ちょっと気弱な小学生の翼は、どんなときでも励ましてくれるばあばが大好きだった。しかし、ばあばは最近「わすれてしまう病気(認知症)」にかかってしまい、何度も同じ質問を繰り返したり、得意だった編み物もできなくなったりしていた。そのほかにも、急に怒り出したり、大切にしていた庭の植物を枯らしてしまったり、優しかったばあばがなんだか怖くなり、近づけなくなってしまう翼。そんなある日、ばあばが靴も履かずに家を出て行ってしまい…

 

上映後、翼の母親を演じた松田陽子さんが司会となり、寺田心君とジャッキー・ウー監督、原作者の楠章子さんが登壇。

 

ジャッキー監督は、前作『キセキの葉書』が海外の映画祭で最優秀賞を受賞。スタッフから『次の作品はないのか』と注目されていた。通常とは逆の順番で映画を作ろうとスタッフを集めていくなかで、本作の原作である絵本に出会い「どうにか映画にしたい」と楠さんにお願いしたことを打ち明ける。同時に、楠先生へ感謝の気持ちを伝えた。

 

主演の寺田君は、オーディションを受けた後は1人で不安になりながらも、マネージャーから受かったことを聞き「嬉しかった!頑張ろう!」と決意していく。役作りにあたり、ばあば役の冨士眞奈美さんにお会いした際に「ばあばって呼んでいいですか」と尋ね「いいわよ」と言って抱きしめてもらい、主人公の気持ちを作っていった。同時に、ジャッキー監督からは、”秘密の台本”を教えてもらい、お芝居への愛情をさらに深めていく。

 

寺田君から役者としての才能を引き出したジャッキー監督は、秘密の台本のことを「海外で仕事させて頂くと、日本の映画が外国映画として扱われる。字幕スーパーが必要になるので、ちょっとした間などを心君と話して演じてもらった。それが外国に通じたかな」と明かした。また、春夏秋冬の四季をもつ日本が世界では珍しいと考え「備える心を以て演じると、台詞の前に何らかの想いが前に出ていく。備える心を以て演じると、世界に向かえば、世界はアッと驚く」と説く。

 

自身の絵本が映画化され、作品を観た楠さんは「自分の親のことを書くので、認知症について考えてもらうきっかけになればと思って絵本を出しました。映画になったことで、さらに広がっていくなと思って良かった」と嬉しかった気持ちを表現する。特に、印象に残ったシーンとして「心君がばあばを探している、同時に、ばあばが街中を彷徨うシーン」を挙げ「ほぼ体験したことが映画で描かれるが、ばあばが彷徨っているシーンを実際には見ていないので、出ていってしまった前と帰ってきた時しか、ばあばの姿は見ていないので、映画になった時、実際に画面で現れた時、グッときました」と自身の経験を顧みた。このシーンについては、ジャッキー監督は「心君に『ばあばを探しに行くので、泣いてばかりで下を向いていたらばあばを見失っちゃうよ。、悲しいのは分かるけど、一生懸命に前を向いてばあばを探すんだよ』と伝えました。ばあばを見つけたい思いで演じてくれた心君の才能です」と称えていく。

 

最後に、寺田君は「この映画を観て、家族のことを考えてほしいな」と訴えた。本作の撮影後には、認知症のおばあちゃんとお友達になり「そのおばあちゃんが笑顔だといいなぁ、他の認知症の方も笑顔だといいなぁ」と願っている。自身と同じぐらいの子供達にも「こういうことがあるんだよって知ってほしいな」と思うと同時に「誰かが困っていたら、皆でお手伝いや皆が助けられるような、思いやりに溢れた社会になったらなぁ」と伝えた。ジャッキー監督は、認知症は身近になってきている、と感じており、目の当たりにすると、辛く苦しく悲しく空しく目を背けたくなる気持ちにも理解を示す。小さい頃には「老いてくると、赤ちゃんにかえっていく」と聞いていたが「そんなことはないなと思いました。あんなに力があり弁の経つ赤ちゃんはいません。そういう人達がしっかりと自分の本音を出していく。人間としての本質を出してくることに向き合うのは大変」だと実感している。でも「最後に向き合っていくのは家族じゃないかな。どんなことがあっても最後には家族がみていかないといけないのかな。それが家族愛の一つの到達点かな」と思い、本作を制作した。「これからもテーマを以て一つの映画のジャンルを突き進んでいきたい。その思いが皆さんに伝わって頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

ばあばは、だいじょうぶ』は、全国のイオンシネマで公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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