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吉田さんは二者の視点を持った現代の象徴的な人物…!『波乗りオフィスへようこそ』関口知宏さんと明石知幸監督に聞く!

2019年5月10日

あるセキュリティソフト会社の経営者と社員が経験する“地方創生““働き方改革“をめぐる物語と人間模様を映し出す『波乗りオフィスへようこそ』が、5月11日(土)より、大阪・十三の第七藝術劇場で公開される。今回、主演の関口知宏さんと明石知幸監督にインタビューを行った。

 

映画『波乗りオフィスへようこそ』は、東京から故郷の徳島にオフィス移転を行ったIT企業社長の実話をもとにした人間ドラマ。徳永は東京でセキュリティソフト会社を経営していたが、大企業に押されてエンジニアの採用ができずにいた。窮地に立たされた徳永は故郷の徳島県美波町に人材を求めるが、事業はなかなか好転することはなかった。地元の同級生や起業家の助けを得て、豊かな自然を前面に押し出した秘策を打ち出した徳永は、なんとか採用にこぎつけ、住民たちに助けられながら、数々の困難を乗り越えていく。事業も軌道に乗る中、社員の生田が町最大となる秋祭りの責任者に抜擢され……
関口知宏さんが映画初主演を飾り、宇崎竜童さん、岩崎加根子さん、宮川一朗太さんらベテラン勢が脇を固め、『キリコの風景』の明石知幸監督がメガホンをとった。

 

本作のモデルとなったサイファー・テック㈱の吉田基晴さんに対し、明石監督は、吉田さんの活動やサテライトオフィスの誘致、街の活性化だけでは映画化までは考えていなかった。インターンシップに来た女子大生達という他所からの視点を取り入れることで、地域が抱える課題を浮き彫りに出来ると気づき、本作の制作に着手していく。実際に現地で取材を行った上で脚本をつくったが「実際に地方で人材を求めることは一口で言えば簡単だが、大変だったのでは」と感じた。関口さんは、最初のシーンを観た吉田さんについて「リアリティがあるようで、胸がむかむかすると仰っていました」と伝えていく。

 

キャスティングにあたり、明石監督は、関口さんが長らく出演していたNHK-BS1「関口知宏のファーストジャパニーズ」をよく観ており「海外から日本を見る機会が多かった。きっと日本の現状に対して自分の意見をお持ちだろう。そういうものが映画に滲み出てくればいいな」と期待した。関口さんも、外国から日本を見ていて「そうだね」と思い出演を決意する。「日本人が日本を書こうとすると、客観性がなかったり、変な美談になったりする。それらが映画になってしまう」と危惧しており「本作は違う。自分の演技に対する気持ちではなく、作品で決めました」と明かす。本作に対し「日本らしいストーリーを真っ直ぐに描いている。出演する必要性がある」と意気込んでいく。

 

また、宇崎竜童さんについて、明石監督はいつか一緒に仕事することを願っていた。だが、宇崎さんは、徳島の方言があり、現地に合宿する必要があり、断ろうとしていたが「奥さんに脳トレになるから出演しなさいよと云われた」と明かす。関口さんは、宇崎さんと家族について話したことがあり「元々は松崎しげるさんのマネージャーをしており、ファミリーの面倒を見る方だった」と振り返る。監督のキャスティングについては「自分の知らない持っているものを役者として引き出せている方を監督は集めている」評した。これを受け、明石監督は「全体的なキャスティングにしても、自分自身が気持ちよくお仕事できそうな方を集めています。魅力的なアンサンブルで取り組んで頂いたので、心地よかった」と満足している。

 

脚本づくりにあたり、明石監督は、女子大生が観た地域の課題や、過疎化により取り残された老人達、漁業の後継者問題等に疑問を持ち、どのように映画で表現できるか熟考していく。出来上がった脚本に対し、関口さんは、自身が海外からの視点を持っていることと、吉田さんが外から地域に向けた視点を持っていることが共通していると感じ「吉田さんのようなエンジニアの視点と地元民の視点について共に分かる人を主人公にしており、ありそうで意外とないストーリー」だと驚いた。地域おこしを取材する番組に出演したことがあるが「どちらかの視点しか知らない。異なる二者が交わり合うところまで辿り着いた事例は滅多になかった」と振り返る。吉田さんに対し「彼は出来ていたけど、凄い考えがあったわけでなく、追い込まれた結果だった。その境界を超えられる人は、意外にも追い込まれていく人」だと感じ、妙なリアリティがある物語だと受けとめた。これを受け、明石監督は「自分が誰かに必要とされていると感じ、次の一手が出てくる。巻き込まれる人間模様が展開してドラマになっていく」と説く。関口さんは現実を鑑み「現在、東京からのエンジニアだけで上手くいくような流れがありますが、実際は違う。美波町の人達が日本的であり、それだけだと過疎化になる。この二者は手打ちをしないといけない」と提言する。だからこそ、吉田さんについて「立ち上げる時はそこまで考えないでやるだろう。だが、考え方が真逆の二者をどうやって手打ちするか。二つの視点を持った人間であるからこそ成し遂げた。実は、時代の象徴的な人ですね」と称えた。

 

徳島にある町が他所から人間を受け入れることについて、明石監督は、800年も受け継がけれるお遍路の歴史を挙げ「他の地域とは土地柄が違う。少しの軋轢はあっても、基本的には気持ちよく受け入れる。コニュニティーの一員として、様々な活動を通して、一員として受け入れることがあった」と捉え、象徴的に本作へ盛り込んでいる。また、今後も地方を舞台にした作品は注目しており「足元にいる人達が元気になる映画をこれからも継続して制作していきたい」と意気揚々と本作に期待していた。

 

映画『波乗りオフィスへようこそ』は、5月11日(土)より、大阪・十三の第七藝術劇場で公開。

働き方に多様性が広がりつつある昨今の日本社会の流れを肯定してくれるような作品。IT会社が増えすぎてる今、東京でのIT求人は本作で語られているように現実でも難航するものなのだろうと容易に想像できる。本作は、人手不足の悩みを抱えるIT会社が丸々田舎に引っ越すことで巻き起こる波瀾万丈な物語を描いた。

 

あらすじを事前に読んだ時、私は実在する某IT会社社長の「手っ取り早く金持ち人間になりたいなら、東京で金を稼ぐ仕組みを作って田舎を拠点にすること」というセリフを思い出した。そのイメージを頭に浮かべながら本作を鑑賞してみると、田舎に移住と考えてるだけでは見えてこない問題も付き纏い、一筋縄ではいかないと実感。その場所で出会う人との繋がりやトラブル、田舎で生きることの良さや不便さ、さらには場所によってはその土地毎に仕来りもある。そもそも、都会からのこうした移住を良しと思わない人もいた。そういった環境の中で如何に馴染めるか。本当の意味で移住と云えるか。その線引きを作品を通じて知ることが出来て良かった。

 

さぁ、日本の最先端を感じに田舎に行こうじゃないか!

fromねむひら

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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