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矢崎仁司監督の幻のデビュー作『風たちの午後』(デジタルリマスター版)がいよいよ関西の劇場で公開!

2019年4月26日

(C)2019 映画「風たちの午後デジタルリマスター版」製作委員会

 

同性を好きになってしまった女性の狂おしい思いをリアルに描き、世界中の映画祭で好評を博した『風たちの午後』(デジタルリマスター版)が、4月27日(土)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『風たちの午後』(デジタルリマスター版)は、『三月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』の矢崎仁司監督が1980年に発表した長編デビュー作。誕生日を迎えたルームメイトの美津のために、夏子はおそろいの乙女座のネックレスとバラの花を買ってくる。しかしアパートの窓には、美津の恋人・英男が来ている合図の白いハンカチが下がっていた。ひそかに美津を愛してしまった夏子は、彼女を独り占めしたいがために英男の子を宿し、やがて2人の関係は破局へと向かう。そのセンセーショナルな内容が話題を呼び、ヨコハマ映画祭自主制作映画賞を受賞したほか、世界各地の映画祭で上映された。

 

本作は、16ミリフィルムの劣化や使用楽曲の権利問題により長らく封印されていたが、現代の高度な技術でフィルムの修復を行い、2019年3月にデジタルリマスター版として劇場公開となった。

(C)2019 映画「風たちの午後デジタルリマスター版」製作委員会

 

映画『風たちの午後』(デジタルリマスター版)は、4月27日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ公開。また、5月11日(土)より、神戸・元町の元町映画館と京都・出町柳の出町座でも公開予定。

 

どれだけ切ない顔をするのだろう、この子は…

 

ある夜は、好きな人の家をこっそり訪ね、恋人とセックスしているところを窓から覗く。落ち込んで廊下に座り込んだあと、とぼとぼと帰る。また、ある時は、好きな人の出したゴミ袋を持ち帰り、そんなことをする。ギリギリとかではなく完全にアウトだ。認めたくないが、「わかる」と思ってしまうシーンの多さがつらい。監督が「愛が動機ならやっちゃいけないことは何一つない」と、確信犯的に語るコメントに頷いてしまう。

 

LGBTという言葉も、ストーカーという定義もまだない時代に撮られた本作。「40年前に、当時20代になったばかりの青年が撮った」という事実は、注目されるポイントのひとつではあるが、一番重要なポイントではない。当時は諸事情で全国公開がなされなかった事情を知ると、なおさら「早すぎた映画」だったのか。今観ても色褪せていない。

 

夏子がボソボソと話す言葉は聞き取りづらいが、秘めた思いの苦しさのようで、さらに辛い。BGMは殆どなく、ずっと雨音が鳴り響く。本作は、静かな雨の音が似あうミニシアターの多くで上映される。是非劇場の座席に沈み込んで観ていただきたい。

 

ところで、このタイトルはどんな意味なのだろう、と気になり、映画の冒頭の表示される「風だ、こいつを見たヤツは誰もいない」というフレーズをネットで検索してみた…なるほど!

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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