Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

グリーン・ハウスはホスピタリティが圧倒的に違う!『世界一と言われた映画館』佐藤広一監督と後藤ひろひとさんを迎えトークショー開催!

2019年4月7日

映画評論家の淀川長治氏が“世界一の映画館“と評した映画館をめぐるドキュメンタリー『界一と言われた映画館』が関西の劇場で公開中。4月7日(日)には、大阪・十三の第七藝術劇場で佐藤広一監督と後藤ひろひとさんを迎えトークショーが開催された。

 

映画『世界一と言われた映画館』は、山形県酒田市に存在した伝説の映画館グリーン・ハウスについての証言を集めたドキュメンタリー。映画評論家・淀川長治が「世界一の映画館」と評し、足繁く通った山形県酒田市のグリーン・ハウス。1949年の開館以降、初代支配人の佐藤久一のアイデアによるさまざまな趣向と設備で来館者を迎え、人びとから愛されたその映画館は、1976年10月に起きた酒田大火の火元となり、消失してしまう。消失家屋1774棟、死者1名、負傷者1003名という甚大な被害をもたらした記憶から、かつて地元の自慢であった映画館の名を語る者はいなくなってしまった。あれから40年以上の歳月が流れ、酒田の人びとがグリーン・ハウスとともに歩んできた自身の歴史を振り返りはじめる。
ナレーションを2018年2月に急逝した大杉漣さんが務めた。

 

上映後、佐藤広一監督と山形県出身の劇作家である後藤ひろひとさんが登壇。グリーン・ハウスへの愛情に溢れた舞台挨拶となった。

 

後藤さんは、山形から大阪に来て33年も経つが、小学校2年生の時に起きた酒田大火について強烈に覚えている。本作は、2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭用に企画され、当初は20分の短編になる予定だった作品。後藤さんは「上々颱風の白崎映美さんへのインタビューは貴重だ」と解説しながら「グリーン・ハウスは素晴らしい映画だとお分かり頂けたはず」と絶賛。だが「グリーン・ハウスの話をして欲しくないという声は圧倒的に多いでしょ?亡くなったのが1名だというのは奇跡的。嫌がる人たちのインタビューはあったんですか?」と心配。これを受け、佐藤監督は「勿論そういう方は受けて頂けなかった。出演頂いた皆さんは良い証言をしてくれた。悪口をカットしているんじゃないかと言われるが、実際は誰も言わない。良い思い出を話してくれる」と語った。

 

グリーン・ハウスについて、後藤さんは「上映前に”ムーンライト・セレナーデ”を流す。ひと工夫が佐藤支配人の天才的な閃きだったんでしょうね」と考察する。佐藤監督も「ホスピタリティが圧倒的に違う気がしますね」と共感した。現在の映画館に対し、後藤さんは「どの映画館も1つだけでも特徴があればいいのにね」と提案していく。本作は、昔ながらの映画館で上映するようにしており、埼玉の川越スカラ座や新潟の高田世界館で上映している。特に、高田世界館について、佐藤監督は「創業108年の劇場。日本最古の映画館で、2階席があり、グリーン・ハウスではないかと思うほど。一手間かけて残そうと全国的になっている」と絶賛した。

 

現存しない映画館のドキュメンタリーであるため、資料の収集については佐藤監督も苦労を重ねている。後藤さんは「映画が公開されて広まって『自宅にグリーン・ハウスの映像があるよ』と声が掛かったら、再編集版にして作り直してほしい」と願うばかり。佐藤監督も「実は出来るんじゃないか」と密かに思っていたが、実際は全然出てきていない。大火の火元になった場所であり、写真が圧倒的に少なく「本編で使わせてもらった映像も、酒田の催しを佐藤久一さんが撮りためた中の一つ。どこもカットしていない。フル仕様です」と明かした。

 

映画『世界一と言われた映画館』は、大阪・十三の第七藝術劇場と京都・烏丸の京都シネマで公開中。5月4日(土)より、神戸・元町の元町映画館でも公開予定。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts