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豊かなコミュニケーションそのままに温かい空気感を再現…『デッドエンドの思い出』田中俊介さんを迎え舞台挨拶開催!

2019年3月2日

人生に絶望を抱いた女性が、偶然出会った人々との何気ない時間の中で少しずつ自分を取り戻していく模様を描く『デッドエンドの思い出』が、3月1日(金)より関西の劇場でも公開。3月2日(土)には、大阪・梅田のテアトル梅田に田中俊介さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『デッドエンドの思い出』は、吉本ばななさんの同名小説を日韓共同製作で映画化。遠距離恋愛中の婚約者テギュに会うため、韓国から名古屋へやって来たユミ。しかし彼のアパートには、見知らぬ女性の姿があった。テギュの裏切りに絶望し、あてもなく街をさまよっていたユミは、エンドポイントという古民家カフェ兼ゲストハウスにたどり着く。そこで彼女は、不思議な存在感を放つオーナーの西山や、ちょっとおせっかいな常連客たちとの交流を通し、少しずつ自分を取り戻していく…
主人公ユミを韓国の人気アイドルグループ「少女時代」のスヨン、カフェのオーナー西山を名古屋のエンタテイメントグループ「BOYS AND MEN」の田中俊介さんがそれぞれ演じた。監督は、2009年の短編映画『The after…』が国内外の映画祭で高く評価されたチェ・ヒョンヨン。

 

上映後、田中俊介さんが登壇。お客さんとの近さに驚きながら和やかな雰囲気の中で舞台挨拶を行った。

 

1年前に撮影開始となった本作は、田中さんとスヨンさんによる台本読みを実施。スヨンさんに初対面した田中さんは「足が長っ!」とインパクトがあったが「本読みにプラスアルファの提案として、ディスカッションを何時間もさせてもらった。彼女の良い作品を作ろうとする思いが行動で表れており、呼吸が合う方」と好印象だった。本読みでは、スヨンさんが「脚本上のユミが弱弱し過ぎる」と感じ、西山とユミのバランスを考え「少しは強さがあった方が良い」と意見が一致。お互いに役を作り上げながら、自身と役をリンクしていった。監督含めた韓国チームが名古屋に来て撮影しており「僕自身が名古屋に住んで活動している。おもてなしをして良い思い出を持って帰ってもらいたい」と西山の思いとも通じていく。役作りのアプローチも「現場で感じたものを素直に西山として表現できる」と確信し、現場で西山を作り上げていった。

 

舞台となったカフェ「エンドポイント」は、長時間の撮影が可能でなければならない。監督はモネの絵画をイメージしており、ピッタリの空き家を見つけ美術部が改造し完成した。古民家を改装するので、ギリギリのスケジュールとなり、撮影当日まで作り込んでいたが「古民家のぬくもりがあり、おばあちゃんちのような匂いで落ち着く。最終的に素敵なカフェになりましたよね」とお気に入り。カフェで出されたみそトーストが印象的だが「名古屋の”モーニング”では、トーストを出す。舞台のエンドポイントで何かを出したいと皆で話し合った。有名じゃないけどみそトーストは存在する。ぜひ名古屋に来た際には食べてもらいたい」とお薦めする。

 

今作での田中さんは、初めてのアプローチを試みた。現場では一切喋らないタイプだったが、今作では「空き時間にコミュニケーションに積極的になった。温かい空気感をそのまま撮影に持ち込んで演技したら、温かさが表現できる」とチャレンジ。撮影初日の3日前からスヨンさんと沢山話し「コミュニケーションが撮影に入る前に活きている」と実感出来た。なお、撮影部は韓国から、照明部は東京から、名古屋からは録音と美術のスタッフ、と混成部隊だったが「監督もスヨンさんも日本語を喋られるので、助けられた。だが、現場で飛び交う言語は韓国語だった。僕がおもてなしをしているつもりが、韓国に映画撮影に行っている気分になった」と不思議な監督に陥る。当初は好奇心が勝っていても、知らない言葉で仕事が進行している状況は寂しさや孤独を感じてきた。専属通訳の方がいない中で「監督とスヨンさんが救ってくれた。片言の韓国語で話しながらも、面白がってくれて笑ってくれる」と切り替え、いじられキャラに徹していく。釜山国際映画祭に訪れた際にはハングルで話しており「韓国映画が大好きで凄く観ていたので、釜山は憧れの場所。少しでも母国語で話せたらいいなと思っていたので勉強しました。韓国のTV番組でもカットされずに放送された」と感謝している。

 

とはいえ、撮影は、全編通して大変だった。日本人同士の微妙なニュアンスを存在するので「汲み取れるか。演出で理解できるか。難しいことは沢山ある」と振り返る。テレビ塔でのシーンはスヨンさんとかなりディスカッションしており「吉本ばなな先生の小説は言葉が美しく、台詞も小説通りに言いたい。自然な雰囲気にしたくても、長台詞をスラスラ話す西山は人間味がない。言葉に迷いがあってもいいかもしれない」と共感していく。現場でもお互いに小説を読んでいたが「言葉を大事にしっかり届けたい」と思って演技していった。韓国でアフレコもしており「夜中まで時間をかけて収録した。撮影時の生の声を採用する案もあったが、韓国チームは、劇場での上映時における音響に妥協していない」と信頼を寄せている。

 

最後に、田中さんは「映画が大好きで、様々な作品に出演させてもらっています。舞台挨拶やトークショーの時間が好きで、ここでしか味わえないもの」だと語っていく。「僕もお客さんだったらトークショー付きに行けるなら行きたい。今この空間で共有したことはここにしかないので、映画の余韻をいい思い出にして持って帰ってもらえたら嬉しい」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『デッドエンドの思い出』は、大阪・梅田のテアトル梅田で公開中。また、3月9日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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