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性格や境遇の全く異なる兄弟が徐々に心を通わせていく『それだけが、僕の世界』がいよいよ劇場公開!

2018年12月27日

(C)2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED

 

母に捨てられ拳だけを信じてボクサーとなった兄と母だけを信じて生きてきたサヴァン症候群の弟が徐々に心を通わせていく姿を描く『それだけが、僕の世界』が、12月28日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『それだけが、僕の世界』は、落ちぶれた元プロボクサーの兄と天才的なピアノの腕を持つサバン症候群の弟が織り成す兄弟の絆を描いたヒューマンドラマ。ボクサーとしてかつてはアジアチャンピオンにまで上り詰めたが、40歳を過ぎた今は落ちぶれ、その日暮らしをしているジョハ。幼い頃から両親と離れ、孤独の中で拳を頼りに生きてきたジョハだったが、ある日、17年ぶりに別れた母と再会。サバン症候群の弟ジンテの存在を初めて知る。天才的なピアノの腕を持つジンテがコンテストに出られるよう、面倒を見てやってほしいと母から頼まれたジョハは、弟の面倒を見始めるのだが……

 

本作では、イ・ビョンホンが、寡黙で粗暴だが人情に厚い兄ジョハを演じ、弟ジンテ役は『太陽を撃て』のパク・ジョンミンが演じる。『王の涙 イ・サンの決断』の脚本家チェ・ソンヒョンが、自ら執筆した脚本でメガホンをとり、初監督を務めた。また『国際市場で逢いましょう』の監督ユン・ジェギュンが製作を担当する。

 

映画『それだけが、僕の世界』は、12月28日(金)より、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田、京都のイオンシネマ京都桂川、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸など全国の劇場で公開。

爽快な作品だった。本作は訳ありの登場人物が多い。ボクサーの練習台とチラシ配りで日銭を稼で生きている主人公、子どもの頃に家を出て行った母との再会と同居生活、深刻な病気を患う弟、大病院のわけあり令嬢や、アパートの大家のシングルマザー。取っ散らかりそうな設定を、きっちりと配置して起承転結がスムーズに進む。夫々のキャラに見せ場を設けつつ、納得の結末へと着地してゆく。

 

キャストも選び抜かれた。何でも出来る俳優イ・ビョンホンが、冴えない男ジョハをコミカルに演じている。だらしない恰好で行儀悪く食事をする本当にダサい姿を披露しながら、アクションや変顔、おかしなダンスまで見せてくれた。そして、弟ジンテ役のパク・ジョンミンが素晴らしい。病気のため他者と普通に会話ができず周囲から浮いてしまう姿も熱演だが、なにより本人が実際に演じているピアノ演奏シーンの数々が見事だ。サヴァン症候群の患者はコミュニケーション等に問題を抱える反面、特定の分野に天才的な才能を発揮する。難しい役柄に、これが演技だということを忘れて見惚れてしまうほどの説得力を与えた。

 

本作のタイトルは原題も同じ。但し、邦題では一人称を「僕」と訳しており、ピアノだけは誰にも負けないジンテの世界を前に出している。韓国語では主語が「私」にも訳せるので、これはジョハとジンテ二人それぞれの意味だとも解釈できる。観終わった後、鳥肌の立つようなジンテのピアノ演奏シーンとジョハの脱力ダンスを思い出して、もう一度観たくなる作品だ。

fromNZ2.0@エヌゼット

コテコテの設定だがだからこそ感動する!

落ちぶれたボクサーの兄、天才的ピアノの才能を持つサバン症候群の弟、夫の暴力に怯えながら息子を育てた母、この家族の設定すべてがコテコテ。だからこそ泣ける。母のビジュアルの「苦労してここまで生きてきた」感の説得力が凄まじく、彼女の人生がそれだけで偲ばれて泣きっぱなし。

 

コテコテの人情話とご都合主義を恐れない

物語は後半から弟ジンテのピアノの才能がどのように発揮されていくかに焦点が当たっていく。ご都合主義展開だが、そこがいい!沢山の人達との出会いの糸が運命的に繋がり、大業が成し遂げられていく様はドラマチックで、都合のいい展開の隙を感じさせない。

 

傷だらけの人たちの傷だらけの人生を愛したい

登場人物は主人公の兄弟を含め人生に喪失を感じている人達ばかり。だから兄ジョハと弟ジンテの邂逅から皆が失った人生を少しずつ取り戻していくのがたまらない。多少のツッコミどころはあった上で、エンターテイメントドラマが持つ感動の高まりを感じて頂きたい一作。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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