お客様の解釈によって未知の答えが生まれていく…『ONLY SILVER FISH WATER TANK OF MARY’S ROOM』松田凌さんと皆本麻帆さんを迎え舞台挨拶開催!
舞台『ONLY SILVER FISH』を手がけた演出家の西田大輔監督の映画デビュー作『ONLY SILVER FISH WATER TANK OF MARY’S ROOM』が関西の劇場で公開中。12月15日(土)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田に松田凌さんと皆本麻帆さんを迎えて舞台挨拶が開催された。
映画『ONLY SILVER FISH WATER TANK OF MARY’S ROOM』は、2007年に初演され、今年1月にも再演された舞台「ONLY SILVER FISH」の映画版。「古い屋敷の水槽の中にオンリーシルバーフィッシュという魚がいて、その魚の本当の名が分かれば過去を振り返ることができる」という舞台版の設定だけをそのままに、登場人物も全く異なる別のストーリーが展開し、2018年の舞台版と同じキャスト陣がそれぞれ別のキャラクターを演じる。とある洋館に集められた男女。彼らの目的は、本当の名を呼ぶことで過去を振り返ることができる「オンリーシルバーフィッシュ」という一匹の魚だった。しかし魚の本当の名を知ることができるのは、招待状にのっとり行われるゲームの勝者1人だけ。最初のゲームは、全員で一斉に指をさして脱落者を1人決めるというもの。黒ネクタイの男はユキが誰を指そうと考えるのかを言い当て、負けるはずだったユキを救う。その後も彼はユキを脱落させないため、誰にも気づかれぬようヒントを与えていくが……
舞台版も手がけた演出家・西田大輔さんがメガホンをとる。
上映後、松田凌さんと皆本麻帆さんが劇中と同じ衣装で登壇。午前中早くから劇場に駆け付けたお客さんに向けて挨拶を行った。
尼崎で生まれ育った松田さんは「今からモーニングでも食べに行きますか?コーヒー飲みながら喋った方がいいですね」と地元での舞台挨拶を楽しんでいる。皆本さんは「梅田駅は目的地に一生辿り着けないほど複雑。待ち合わせができない」と不安になりながらも「新梅田食堂街での飲み歩きが楽しそう」と雰囲気を体感した。
公開された本作を観た松田さんは「全く理解が出来ませんでした」と告白。皆本さんも「同じくです」と呼応する。とはいえ、松田さんは「これが西田大輔監督の狙い。謎が多い本作を自分達で作り上げ、皆さんが解釈し見つけてくれるか」と提示し「ご理解できましたか?」とお客さんに投げかけた。自身の役について改めて振り返り、皆本さんは「ユキという女性はとても愛されているな。幸せだなぁ」と懐かしむ。松田さんは「実は静かな役だなぁ。でも、自分の叫び声が甲高いなぁ」と漏らす。また、注目ポイントとして「薬を飲ませるシーンで玉城裕規さん演じる白ネクタイの男がクレバーな渡し方をする」と挙げると、皆本さんは「”バレッタの女”と向き合って喋るシーンでは不思議な違和感があり想像を膨らませる」と紹介した。
難解に感じられる本作であるが、松田さんは「西田大輔さんは、タイトル含め様々なところにヒントになるかミスリードになるか小粋な演出を隠している。紐解いていくと、自分達が知らなかったことをお客さんが解釈していたことがある」と驚いた。演劇出身の西田大輔さんによる初映画監督作品であるだったが「舞台と映画で違いはなく、楽しそうだった」と評し「ご本人は初メガホンの気負いがあったはず。でも、それさえを楽しみに変えている。スタッフさんも含めて西田大輔という空気に巻き込む人。初めて映画を撮る監督というより、西田大輔さんの作品をいつもと変わらず作り上げていた」とコメントする。
なお、2025年大阪万博の話題を受けて、7年後の姿について、松田さんは「僕は34歳。時代は変わっていくが、名を残していける俳優になれたらいいな。今作が初めての単独主演作品になるが、第1歩にして、名を残していたい」と意気込みを述べた。皆本さんも同じ気持ちでいながら「太陽の塔のような50年先も観てもらえる女優に女優になれたらいいな」と夢を語る。
最後に、松田さんは「この映画が公開され、皆様の解釈によって僕たちの知り得ない答えが生まれている。新しく映画の可能性を感じました。自分の夢が叶っていく第1歩となれる作品にしたい」と熱い思いを語る。皆本さんは「私自身が今凄く楽しい時間を過ごさせて頂いて嬉しい気持ちでいます。この映画を一緒に盛り上げて頂けたら嬉しい」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『ONLY SILVER FISH WATER TANK OF MARY’S ROOM』は、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、神戸・三宮の神戸国際松竹、姫路のアースシネマズ姫路で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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