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僕達が如何に子供達の人生を大切に出来るか…『夕陽のあと』越川道夫監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年12月15日

鹿児島県・長島町を舞台に、一年前に島にやってきた女性と里子を育てている女性の運命が、過去のとある事件を通じて交錯する様を描く『夕陽のあと』が関西の劇場で公開中。12月15日(日)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田に、越川道夫監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『夕陽のあと』は、豊かな自然に囲まれた鹿児島県長島町を舞台に、産みの親と育ての親である2人の女性を中心に織りなされる物語を描いた人間ドラマ。1年前に島にやって来た茜は、食堂で働きながら地域の子どもたちの成長を見守り続けていた。一方、島の名産物・ブリの養殖業を夫とともに営む五月は、赤ん坊の頃から育ててきた7歳の里子・豊和との特別養子縁組申請を控え、本当の母親になる喜びに胸を膨らませていた。そんな中、児童相談所の職員により、豊和はかつて東京のネットカフェで起きた乳児置き去り事件の被害者だったことが明かされる。そして、その事件の被告人である産みの母親は、島の食堂で働く茜だった。茜は7年の歳月を経て、再び息子を取り戻すべく島にやって来たのだ。突然の実母の登場に動揺する五月だったが…

 

上映後に、越川道夫監督が登壇。多様な年代の方が劇場に集まり、和やかな雰囲気の中で舞台挨拶が行われた。

 

鹿児島県長島町を舞台した本作。長島は、熊本県に近く、天草の南側にあり、八代海を挟んで向かいが水俣にがあり「言葉は鹿児島弁とも熊本弁とも違う独特なイントネーションや言葉がある」と越川監督は感じた。舞台となった島では、ジャガイモの出荷量が九州第2位で食料自給率が120%、電気は風力発電で100%賄かっており、ぶり養殖が盛んで出荷量が日本の中でも多く、産業と暮らしのバランスが上手く成り立っている。だが高校がなく、出生率が2%台。I・Uターンが多いが、人口は減っているのが現状だ。今回、「映画館がない町が映画を作りたい」という熱い思いを以て企画が立ち上がっている。子供達を凄く大事にする島であり、本作のテーマ・内容で映画を作りたいと企画案を読ませてもらい、監督として「どのようにして、この題材を撮っていったらいいか」と考えながら作り上げた。

 

「生みの親と育ての親、どちらが本当の親か」と本作は謳っており、2人の母親がこの問題で苦しんでいく。これまでも同様のテーマを持つ映画や演劇はいくつもあったが、越川監督は「解決できない問題」だと捉えている。「どちらが本当の親だと云ったところで、僕も納得できない」と考えざるを得ないが「何よりも子供達にとって、この問題はどうなんだろ?」と子供の立場になって考えていった。そこで、どちらが本当の親か決めるのではなく、問題の外側に立ってみて「一度起こったことは取り返しがつかない。自分達に起きてしまったことを引き受けながら、この先の時間に二人の母親がかけていければいいな」と見直していく。「僕らは肯定的にその先の時間にかけないといけない」と思考を変え「これから大人になっていく子供達について考えたら、その時間を先に生きている僕達が大事にできるか。子供の人生を大切に出来るか」と考えながら作り上げていった。

 

また、「自分と対立する人についてどのように想像できるか」が本作のテーマでもある、と越川監督は説く。「五月が自分とは違う母親を受け入れられず東京で調べていくシーンはミステリーのようになります」と踏まえた上で「謎解きより、五月が自分には受け入れらないはずの茜という存在に近づいていく。自分ではない人に心を寄せていく」と解説する。俳優は自身と異なる人間を演じており「絶えず自分と違う人間にどのように気持ちを寄せられるか考えて仕事をしています。自分とは対立している人達の立場を想像できるか、僕等にとっても重要なこと。相手の立場になってどのように考えられるか」と演じる仕事の意義を語っていく。

 

なお、去る11月18日に本作で祖母役を演じた木内みどりさんがお亡くなりになりました。今作の製作開始時、越川監督は木内さんから「この映画は今の私達にとって凄く大事な映画になるはずだから、凄く頑張りましょう」と云って頂いている。木内さんについて「様々な人達の気持ちに寄り添うことを大事にされていた方でした。自分の演技に厳しい方で、熱心です。若いスタッフや後輩の俳優を励まし現場のムードメーカーにもなります」と述べ「現場が上手くいっていない時、皆が言いにくいことをわざと自分が言う役割も果たしてくれる先輩でした。カメラを回すと物凄い集中力で、それまでの雰囲気とは違う演技をされる方でした」と伝えた。作中にあるババ抜きのシーンに関するエピソードも披露しながら「シリアスな演技もコメディエンヌとしもとても優れた方だったので、訃報を聞き、物凄く残念でなりませんでした」と哀悼の意を込めていく。

 

最後に、映画配給の世界で長年携わった経験を振り返り「ミニシアターでは様々な映画が上映されます。映画は沢山あって、様々な表現があり楽しい。知的な映画、泣ける映画も笑える映画も美しい映画もあります」と語り、映画が持つエンターテイメントの楽しさを伝える。現在は映画監督となり「僕自身も映画を作る側になりました。様々な映画を作りだして皆さんに映画を楽しんで頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『夕陽のあと』は、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開中。また、2020年1月4日(土)より神戸・元町の元町映画館、2月1日(土)より京都・烏丸の京都シネマでも公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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