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家族について改めて考えるきっかけになれば…『一人の息子』馬場良馬さんと谷健二監督を迎え舞台挨拶開催!

2018年12月15日

東京と群馬を舞台に、父親の思いを探すふたりの若者の人生が交錯していくさまを描く『一人の息子』が12月15日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。初日には、主演の馬場良馬さんと谷健二監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『一人の息子』は、群馬と東京を舞台に父子のつながりを描いたヒューマンドラマ。映像制作会社で働く山内樹のもとに、父が倒れたという電話が入る。父とはそれほど仲が良いわけではなかったが、樹にとってかけがえのない存在だった。一方、引越し業者の仕事をする倉田歩には父がいない。育ってきた環境も職業も全く違う樹と歩の運命が、1通の書類によって繋がっていく…
『特命戦隊ゴーバスターズ』の馬場良馬さんと『血まみれスケバンチェーンソー』の玉城裕規さんがダブル主演を務める。共演に「進撃の巨人』の水崎綾女さん、ベテラン女優の竹下景子さんが息子の関口アナムさんと初共演を果たした。監督は『U-31』『リュウセイ』の谷健二さん。

 

上映後に馬場良馬さんと谷健二監督が登壇。和やかな雰囲気の中で舞台挨拶が行われた。半年に1回の頻度で大阪に来ている馬場さんは「十三は初めて。呑み屋さんが多く、昔から根付いている雰囲気が居心地が良い。気軽に入ったお店が美味しかった」と大阪を満喫。京都出身の谷監督は「十三は、じゃりン子チエの町ですよね」と惚ける(正しくは西成)。

 

本作を制作した経緯について、谷監督は「なんとなくです…」と漏らす。すかさず、馬場さんは「恥ずかしがり屋さんなので、なんとなく、と言いがちなんですけど…」とフォローする。改めて、谷監督は「テーマを以て作り出すと失敗するケースがある。あまり決めずに脚本家と話しキャスティングして決まっていく」と説明。完成して上映までに時間があり「時事ネタを盛り込む過ぎるとズレてしまう。本当に自分の中から出てくるものを表現したい」と思いを持って取り組んでいる。本作では「保険の営業マンだった友達から話を聞き、現代社会では珍しいサービスだと感じた。モノの売り買いではなく、信用を売り買いしており、保険をテーマにした家族の話がいいかな」と着想した。

 

父親について改めて知る難しい役を演じた馬場さんは「僕自身が今日34歳を迎え、父親との付き合い方も10代・20代の頃とは違う付き合い方が生まれている。僕の父親が倒れたことがあり、父親と向き合う瞬間が多かった。今作での父親との向き合い方も難しいが、僕の人生において父親と向き合う瞬間だった」と振り返る。自身の経験を「寄り添ったり繋がったりする部分が多かったので、感情移入とは違う、父親と向き合う覚悟が必要だ」と理解した。谷監督とは3作目となり「人生において自分が向き合わなければならない問題を監督がテーマにしている、僕自身が映画に向き合い成長している」と実感している。また、玉城さんとのダブル主演となった本作は、お互いの役が並立して存在しており「撮影現場も被っておらず、客観的に見れ、様々な感情を抱いた」と回想。谷監督作品の魅力について「映画は起承転結が必要であり、フラットに日常を切り取っている」と語る。これを受け、谷監督は「家族がテーマなので、玉城君との対になっている。働いている引っ越し会社の社長の家族が登場するシーンは長めにとっており『自分にはこんな家族がいなかったよな』と思わせる」と解説。本作の見所について、病院から電話が掛かってくるシーンを取り上げ「馬場さんが弓削さんと別れて電話が掛かってくる前に3秒程度周りを見る演技は僕の新しい演出。これは、虫の報せ。違和感ある芝居であり、もしかしたら何らかの重大なことが起こるんじゃないかと感じる3秒間。編集でも切っていない」と明かす。さらに、樹の父に関して話すシーンについて「誰がその台詞を話すか。物凄く重要な台詞なので、ずっと考えていた。親族が話すと重く感じるので、第三者が話すことは人生においては意外と多い」と考慮し、脚本家と考えていたことを明かした。

 

キャスティングにあたり、谷監督は「玉城君が先に決まり、馬場君は後で決まった。玉城君を当て書きし、やさぐれた雰囲気を出したかった。風景のほとんどが高崎か前橋で、引っ越し屋さんは前橋の設定」と説明。馬場さんは、共演の弓削智久さんについて「デビューしたドラマでゲスト出演しており、素敵な役者さん。一方的に撮影現場で見たり、出演した作品で一瞬絡んだりした。舞台や映像で見ており、演技が好きな役者さんだったので、今回の共演が嬉しかった」と話し、過去に悩んでいた時に相談できたことを感謝している。また、水崎綾女さんについて「ヒーロー作品で1年間共演し、家族みたいな関係。演技もリラックスして自然に出来た」と話す。竹下景子さん共演し「幼い頃から観ていた大女優。僕は先輩方と共演しながら、人間力や魅力があるからこの世界でお仕事ができる」と実感。優しく接してもらい「初共演とは思えない。大女優が持つ懐の深さがあり、緊張させずに相手に委ねられる」と尊敬している。なお、谷監督の前作でも共演した関口アナムさんは、竹下景子さんの息子さんであり「今作ではフラットに演じていた」と述べ「高崎翔太君とは事務所が同じで付き合いが長く、困らなかった。森本のぶさん含め知っている方が多かった」と共演者との絆は堅い。

 

今後の公開予定について、谷監督は「基本は、徐々に西に向かうことがテーマになっている。次は広島か福岡まで行くか。今はDVDや配信にすぐなってしまうが、劇場で観て頂きたい」と考えており、少しずつファンが増えていくことを期待している。最後に、馬場さんは「僕にとっては人生のターニングポイントとなった作品。父親と向き合う時に『一人の息子』を撮ったので、家族とは何だろう、と考えるきっかけになりました。皆さんも同じように考えるきっかけになったら嬉しい」と思いを表す。谷監督は「個人的にも好きな映画です。家族について改めて考えるきっかけになれば」としみじみとしながら「夏に東京で公開し半年を経てまた公開して頂いている。様々な方に劇場で観てほしいので、引き続き頑張っていきます」と決意し、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『一人の息子』は、大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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