フランツ・カフカの小説をもとにした『審判』がシネ・ヌーヴォでいよいよ公開!
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フランツ・カフカの有名な小説を基に、舞台を現代の東京に置き換えて描く不条理ドラマ『審判』が12月15日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開される。
映画『審判』は、フランツ・カフカの不条理文学「審判」を現代東京を舞台に映画化。銀行員の男・木村が30歳の誕生日に自宅マンションで目覚めると、部屋には2人の見知らぬ男たちがいた。彼らは木村を逮捕にしきたと言うが罪状は不明で、木村が無罪を主張すればするほど、蜘蛛の巣のようなシステムに絡み取られて身動きができなくなっていく。救いを求めてあがいても期待はことごとく外れ、やがて木村は出口のないこの迷路の終焉に気づきはじめる…
本作は、『いちばん美しい夏』『スターフィッシュホテル』など日本で活動を続けるイギリス人監督ジョン・ウィリアムズが現代社会にはびこる違和感を投影してシュールな物語を演出。監督とは3度目のタッグとなる個性派俳優、にわつとむさんが受難の主人公を妙演する。
映画『審判』は、12月15日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。
「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変っているのを発見した」…あまりにも有名な冒頭の一節から始まるカフカの代表作「変身」であるが、虫に負けず劣らず、今作では、目が覚めるといきなり逮捕されるところから物語は始まる。男はタイトル通り「審判」にかけられるが、理不尽極まりない。場所を教えず、時間も指定していないが、遅刻したとみなす。男の職業すら把握していない。二階では男女が情事に耽っている…など異質な空間であることは間違いないが、映画を進めるうちに、こちらがおかしいのでは?という感覚に陥ってくるから不思議だ。
本作の中で一貫して明かされない男の罪だが、それが何かを考える要素はたくさん散りばめられている。劇中では、全ての出来事が繋がっていることを蜘蛛の巣に例える話が出てくるが、男はこの話に出てくるコバエだったのではないか。コバエの振動により水滴が落ち、蜘蛛の巣は見えなくなる。たったコバエ1匹で世界は終わってしまう。だから男は排除された…これは観る人によって違ってくる。男の罪を考える事は、同時に、自身の中にある潜在的な罪の意識をあぶり出す。そして、門は人それぞれに存在する。それを開けるか開けないかは自分次第。開けられなかった人間の末路がこの男だとしたら、恐ろしい。
fromマツコ
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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