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僕が子供でいられた最後の夏だった…1970年代ポーランドを舞台に少年のひと夏描く『メモリーズ・オブ・サマー』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2019年7月3日

(C)2016 Opus Film, Telewizja Polska S.A., Instytucja Filmowa SILESIA FILM, EC1 Lodz -Miasto Kultury w Lodzi

 

思春期であるがゆえの揺らぎや性の目覚めを、1970年代のポーランドの世相を遠景に据えて繊細に描く『メモリーズ・オブ・サマー』が7月5日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『メモリーズ・オブ・サマー』は、1970年代のポーランドを舞台に、子どもと大人の狭間で揺れ動く12歳の少年の忘れられないひと夏を描いたドラマ。ポーランドの小さな町で暮らす少年ピョトレックは、父が出稼ぎで外国へ行っている間、母とふたりきりで過ごす夏休みを存分に楽しんでいた。しかし母はピョトレックを家に残して毎晩出かけるようになり、仲の良かった母子の間に不穏な空気が漂い始める。そんな中、ピョトレックは都会から来た少女マイカに好意を抱くが、彼女は町の不良青年に夢中になる。それぞれとの関係に失望しながらも、自分ではどうすることもできず戸惑うピョトレック。やがて、大好きな父が帰ってくるが…

 

本作では、1970年生まれのアダム・グジンスキ監督が自身の体験をもとに、思春期の痛々しさを切実に映し出す。『ワレサ 連帯の男』など日本公開作も多いロベルト・ヴィェンツキェヴィチも出演している。

(C)2016 Opus Film, Telewizja Polska S.A., Instytucja Filmowa SILESIA FILM, EC1 Lodz -Miasto Kultury w Lodzi

 

映画『メモリーズ・オブ・サマー』は、7月5日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田、7月13日(土)より、京都・烏丸の京都シネマと神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開。

ポスターとタイトルからきらきらした青春映画と思いきや…

 

ピョトレックと母親の関係を観ていて「友達みたいな親子」という言葉が浮かぶ。それでも、ピョトレックは、母親に対して、「母」として居続けてほしかっただろうな、と感じる場面が随所にあり切なかった。母親の「女」としての一面なんて見たくない。知らない土地で幼い息子と2人きり、という状況を考えると母親の気持ちも分からなくもない。自分があの母親の年齢になる頃には、感情移入する場面が変化しているだろうか。今の自分には、ピョトレックの気持ちが痛いほど辛かった。

 

83分の短さで、素晴らしく綺麗な儚い映像は、本当に夏の思い出のようだった。行き場のない気持ちも含めて夏を想起した時に誰もが抱くものではないだろうか。

fromマツコ

 

ローティーンの夏休みは、こんなにもサスペンスフルだっただろうか。ファーストシーンの1カット目から、ミステリアスな雰囲気に引き込まれる。

 

思春期の入り口真っ盛りで、よくわからない不満と不安で心はいつも落ち着かず、周囲の年長者や大人たちともうまくいかないピョトレック。少年の視点は、後半に少しずつ変化していく。彼が様々なものを「追い越していく」様は清々しくも切ない。彼が「そこ」で立ち止まったときに見せる表情は、もう戻れないことを知ってしまったからだろうか。

 

恐らく1ヶ月程であろう夏休みの物語を、90分に満たない短い尺で描いた本作。ポーランド映画ではお馴染みとなりつつある簡潔な語り口。多くは説明しないが、画面に散りばめた情報を以て伝わると観客を信用している潔さが心地よい。

 

劇中に登場する大型の回転ブランコは、映画ではよく見かける舞台装置。ぐるぐると回る様や前の人にもう少しで届きそうなのに触れられない等、メタファー的な解釈を沢山出来る。同時に、単純に気持ち良さそうで、乗ってみたい。本作では屈指の美しい名場面である。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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