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短編映画の常識を覆す豪華キャストが集結!「映画監督 外山文治 短編作品集」珠玉の物語を第七藝術劇場で一挙公開!

2017年12月22日

外山文治監督が手がけた短編3作品『』『』『』を上映する「映画監督 外山文治 短編作品集」が、12月23日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。今回、大阪での公開タイミングに外山文治監督にインタビューを行った。

 

映画監督 外山文治 短編作品集」は、映画監督・外山文治が手掛ける短編映画に、今もっともスクリーンで見たい役者が集結!!NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインを務めた芳根京子さんの主演作『わさび』。『家族はつらいよ』『東京家族』等、日本映画界が誇る女優である吉行和子さんの短編映画初主演作『春なれや』は、主題歌にCoccoさんが参加する等、異例ずくめとなる短編作品集が誕生。 何にも染まらず、染められないドラマッチックな外山文治監督の映像世界を一挙公開。

 

先だって、東京・渋谷のユーロスペースで本作が上映された際には2週間レイトショー観客動員歴代1位を記録。企業による宣伝や配給がついておらず、外山監督による自主配給作品であり、ユーロスペースにとって勝負作品だった。外山監督は「作品を観て頂き、その良さが分かればお客さんが入るんじゃないか」と確信。とはいえ、映画の評価と宣伝は違う次元であり、良い作品でも観る機会がないことは多くある。監督は「映画の本質とは違う部分での勝負だが手探りでやってみた。キャストの皆さんもSNSで拡散してくれたおかげで全国からお客さんが集まり、動員結果にはビックリした」と振り返った。

 

映画『わさび』は、芳根京子さんが主演を務める飛騨高山を舞台にした短編映画。心の病を抱えた父を守るため、実家の寿司屋を継ぐことを決めた女子高生の山野葵。離婚した母親の房子や周囲の大人たちは、葵の決断に戸惑い、反対するが、彼女の人生を本気で背負おうとはしなかった。そんな葵の前に、彼女がかつて所属していた少年野球チームの監督・庄吉が現れる。葵は庄吉に野球の真剣勝負を求めるが……

 

本作は自主映画であるが、商業作品にも出演する俳優が集結しており、キャスティングに驚かされる。『わさび』は制作プロダクションはなく脚本があったが、映画にしたかった外山監督は「一人ずつお願いしてまわった。映画『洗濯機は俺にまかせろ』のトークイベントで富田靖子さんに過去作と共に脚本を渡してオファーし承諾頂いた」と振り返った。ヒロインの芳根京子さんについて「ある人が縁を繋いで下さった。芳根さんは既にTVドラマに主演していたが、『わさび』に出ている姿を観たいと熱心にお願いして下さり、この年にしか撮れないものが撮れた」と満足している。

 

映画『春なれや』は、熊本県菊池市の桜の名所「万本桜」を舞台に、「ソメイヨシノは60年経つと咲くことができなくなる」という噂の真相を確かめるため老人ホームを抜け出した女性と、彼女を案内することになった青年との交流を描いたハートウォーミングドラマ。主演を務めた吉行和子さんは、外山監督の商業デビュー作『燦々―さんさん―』でヒロインをして頂いており「もう一度撮りたい」と監督の想いがあった。共演相手の村上虹郎さんについて「日本を代表する映画女優と今後の日本映画を背負っていく人達をコラボレーションさせたい。演技力を知っていたので、事務所にお願いし吉行さんと共演することに興味を持って頂いた」と打ち明ける。

 

今作は、日本一の桜の街を目指している熊本県菊池市で散りゆく桜並木の下で撮影された。例年、開花予想は調べられるが、散る日はわからない。キャストを拘束できない為、2016年4月4日に撮影日は決まったが「九州だと散っているかもしれなかった。過去10年の開花情報を調べ、プロデューサーが日程を決め、この日に賭けた」と外山監督は告白。結果的に、1年に1日だけある、街中の桜が散る日と重なり「凄い映像を撮っているな」と感じた。撮影した10日後に熊本地震が発生したので「地元の皆さんにとって、元気だった頃が映っている貴重な映像であることから『春なれや』を大事にしてくれている。いつまでもあると思っていても永遠に続くものはあるかという問いかけにマッチしている意味のある作品になりました。撮ってよかったな」と感慨深い。

 

なお、本作ではCoccoさんが主題歌を担当。外山監督は音楽家の方と親しくしており「『春なれや』は人生の喜びも悲しみも全部抱えた作品。一見すると朗らかな温かい作品だが、その裏に、生きることの悲しみがある。裏表がある一生の感情を歌ってくれるのはCoccoさんじゃないか」と気づき、お願いした。元々、監督が作曲の亀井登志夫さんと知り合い、作詞を担当した奥様の亀井知永子さんと仕事をした縁があり「Coccoさんに歌って頂くことなった。歌い手として参加した珍しい形であり、映画だけで聴ける貴重な楽曲」だと解説する。

 

『此の岸のこと』は、故・蜷川幸雄さんによる55歳以上の団員で構成された演劇集団「さいたまゴールド・シアター」の団員が、老老介護の厳しい現実に直面した夫婦を演じる短編作品。長年にわたる妻の介護生活の果てに、自身も体を患い、妻よりも先が長くないことを悟った夫。最後に彼が求めたのは、かつて夫婦で撮影したスナップ写真に写った妻と自分の笑顔だった……

 

今作への反応について、外山監督は「皆さんが衝撃を受けている」と実感。『わさび』と『春なれや』を観に来た若いお客さんにとっては「初めての映像体験。30分間で台詞がなくドキュメンタリーを観ているのかフィクションを見せられているのかわからない。目が離せないインパクトのある映像体験」だと感じた。演出の方法は「ドキュメンタリーのやり方。演技の指示とカットの声がないことを約束として決め、役者としてはなんらかの演技を続けていく必要がある。段々と介護を始めていく一瞬を切り取った」と表現する。撮影は最後のシーンから撮り始め長期間に渡って行われた。今回の短編集について「メインは『わさび』と『春なれや』だが、もう1本の名もなき作品も秘かに注目してほしい」と期待している。

 

短編集は、試行錯誤の結果『此の岸のこと』『わさび』『春なれや』の順に上映。外山監督は「この順がベスト。『春なれや』でCoccoさんが最後に主題歌で締め、3部作を総括。主題歌の『Time』は自分が持っているテーマをまとめてくれるような楽曲」だとお気に入り。作品制作を通して「今までに観たことがないような表情や態度を撮りたい。違う一面を引き出すことに繋がっていれば」と願っている。お客さんに対して「どの映画が好きか分かれる。目当ての作品とは違う作品が好きになった方も多くいた。短編を観る機会はあまりないので、今までとは違う体験をしてほしい」と期待を膨らます。

 

今回の短編集上映について、外山監督は「海外では短編映画を嗜む文化が存在する。日本でも同じように成立できないか」と模索。映画は「産み続けるだけでなく、お客さんに届けてこそ責任を果たせる」と自主宣伝配給を通して実感した。発信したいことがある場合は「発信するノウハウを持っていることは大事。映画を監督できるかは他の人によって決まる。最終的に、自分で映画製作が出来る人は多様化する映画界で重要」だと感じ、オファーがあれば喜んでやると意気込む。今後も、外山監督は「長編映画の脚本も書いているが、短編作品も継続する。時代からこぼれてしまったり映画界からはテーマにならなかったりしたものを大事にしたいと思った時、短編作品が合っている」と果敢に映画制作に取り組んでいく。

 

映画監督 外山文治 短編作品集」は、12月23日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で1週間限定公開。12月23日(土)には『わさび』に出演の下條アトムさんと外山文治監督、12月24日(日)には外山文治監督による舞台挨拶を開催。また、12月23日(土)と12月24日(日)にはシアターセブン外山文治監督による演技ワークショップも開催される。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

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