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日本モンゴル国交樹立45周年記念映画『シャルガ・ダーガ ~仔馬と僕~』!シアターセブンで日本初公開!

2017年11月25日

日本モンゴル国交樹立45周年記念映画『シャルガ・ダーガ ~仔馬と僕~』の日本初公開が11月25日(土)より大阪・十三のシアターセブンで開始。公開初日には、モンゴルの遊牧研究に長年携わっている大阪大学の今岡良子准教授と本作の翻訳を手掛けたJ・バヤルマグナイさんを迎えてトークイベントが開催された。

 

映画『シャルガ・ダーガ ~仔馬と僕~』は、迷い子の仔馬と家族から離れて育てられた少年の物語。遊牧民の子どもガルタ。生まれた時から病気がちで、3才の時、お坊さんが転地療養を勧めた。父バダムは、ガルタを実兄の養子に出した。ガルタが8才になった時、育ての父が亡くなり、実家に帰ることになる。父バダムは、競走馬を育てたら、その村で右に出るものがいない名人で、誰からも尊敬されている。ガルタが実家にまだ馴染めないでいると、一頭の迷子の仔馬がやってきて、バダムの馬群の仲間入りをした。ガルタは、迷子の仔馬にシャラガと名付け、村の祭ナーダムの競馬にシャラガと出場したいと思うようになる。しかし、父バダムは、主人のわからない馬を勝手に手なずけてはいけないと言う。兄トゥムルは、弟の夢をなんとか叶えたいと思い、長老の力を借りて、父を説得してもらう。本番前の短距離競争に出場を許されたガルタと仔馬シャラガは、他の馬を大きく引き離してゴールする。しかし、その後、仔馬シャラガはいなくなってしまう…

「シャルガ・ダーガ」〜仔馬と僕〜

"Sharga Daaga" 予告編

Blue Horse Travelさんの投稿 2017年10月30日(月)

 

モンゴル好きのお客さんが集まった中で、上映後に今岡良子さんとJ・バヤルマグナイさんが登壇。今岡さんは1981年に大阪外大に入学しモンゴル語を専攻して以降、人生の2/3はモンゴルに関わっており、現在は大阪大学に勤務している。モンゴル写真家協会に所属するバヤルマグナイさんは、本作の字幕翻訳を担当。今岡さんは「この映画をモンゴル語で鑑賞し翻訳したいとずっと思っていた」ので、難しい言葉も含まれている中で、翻訳して頂いた方に大変感謝している。

 

バヤルマグナイさんは、翻訳のきっかけについて「私が観光の仕事をしている時に、本作のプロデューサーと偶然知り合い、一緒に仕事をしてきた。日本から来た方と一緒に通訳してくれないかと依頼を受けた」と話す。だが「一緒を仕事を始めたが2年後にその方が病気で亡くなり、ずっとどうしようかと考えていたが、翻訳することを決断し、今回の公開まで至った」と打ち明ける。現在のモンゴルは、日本の4倍の面積があり人口が300万人、その4割程度は季節が変わる毎に移動する遊牧民。天気の移り変わりが激しく、冬はマイナス35度、夏は35度になる。バヤルマグナイさん自身も「子供の頃から学校の夏休みの時は田舎に行って遊牧の仕事をやっていたので、ありのままに映っており、翻訳し字幕にする度に感動する」と漏らす。

 

本作はモンゴルの首都ウランバートル市から西に200Km離れた場所で撮影された。今岡さんは撮影場所の近くに行ったことがあり「ザーマルという金鉱山のメッカだった場所があり、見渡す限り掘られていて火星のようになっているが、その西には草原での暮らしが残っている」と伝える。今作にメインで出演している子供たちはオクタール郡を中心に遊牧生活をしており「馬の乗り方が違う。両親の姿を見ているからこそ、体全体を使った手仕事ができる。学校も通いながら、地元の遊牧の経験がある子供が演じた」と解説。モンゴルの人々にとって「なくなりそうなかけがえのないものを映像に残しておきたい」という思いがあることを受けとめ「モンゴルの人達は、ここぞという時に自分達が大切にしているものを守る為に意見を述べる」ことに対し、胸を熱くする。お二人は、お客さんからの感想を聞いたり質問に応えたりしながら、モンゴルと本作について詳細に伝えていった。

 

最後に、今岡さんはモンゴルの遊牧に関する研究をしながら「馬も人間も魂の思うまま自由に走り回れる。モンゴルに生まれた者が持つ誰にも侵されない権利」であると、モンゴルにしかない良さを表現する。モンゴルは、1921年に清から独立して建国した当時は人口50万人程度だった。今は300万人以上に増えたが「自分たちの自由は自分で守り、衣食住を含め全部責任を持って暮らすことの自由が保障されている」と伝える。また、モンゴルの労働人口の1/4は遊牧民であり「その方々がモンゴルを支えている限り、モンゴルの社会は自由を大切にする」と感じている。日本とモンゴルの関係について「彼らの自由を尊重しながら、国同士の関係が作られ、こういう映画を共有できたら」と今岡さんの切なる願いを込めながら、トークイベントは締め括られた。

 

 

映画『シャルガ・ダーガ ~仔馬と僕~』は、12月1日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開(11月26日(日)は休映)。一般・専門・大学生・シニア1,300円、シアターセブン会員1,000円、淀川区民割引1,000円となっている。なお、11月27日(月)から11月30日(木)はQ&Aコーナー、12月1日(金)はゲストトークとモンゴル伝統音楽の演奏を上映後に開催する。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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