時を超えて家族の絆を取り戻すヒューマンドラマ『ゆらり』シアターセブンで上映開始!公開初日舞台挨拶開催!
時を超えて家族の絆を取り戻していく様子をファンタジックに描いたヒューマンドラマ『ゆらり』が11月25日(土)より大阪・十三のシアターセブンで上映開始。公開初日には、横尾初喜監督と子役の高橋幸聖(さんた)さんを迎えて舞台挨拶が開催された。
映画『ゆらり』は、石川県の老舗旅館を舞台に「あの時、伝えられなかった思い」を抱えた人びとが、時を超えて家族の絆を取り戻す姿を描いたファンタジー。仕事に忙しい母親にかまってもらうため、父親と狂言誘拐を計画する娘。神様の存在を信じる息子を育てるシングルマザー。女優をあきらめて実家の旅館に帰ってきたが、母親との折り合いが悪い娘。不思議な注意書きが書かれたリモコンによって、現在、未来、過去で描かれる3つの家族の出来事にささやかな奇跡が生まれていく…
今回、上映前に横尾初喜監督と泉青空役の高橋幸聖(さんた)さんが登壇。横尾監督は「大阪は何度も来させて頂いている中で、こうやって5年かけて企画していた映画が公開できました」と感無量。監督にとって、大阪は「映像業界に入るきっかけになった僕のお父さん的存在である元朝日放送の小関道幸さんのおかげでよく来させて頂いている」ことを明かす。幸聖さんは「大阪の上映初日にワクワクしています」と興奮ぎみに挨拶した。
今作の制作について、横尾監督は「西条みつとしさんが上演している舞台を知り合いのプロデューサーと観に行き、大号泣しました。家族を題材に映画を撮ろうとしていた時だったので、すぐさま西条さんにお伺いし『ぜひ僕の長編映画第1作目として撮らせて頂けないか』とお願いし、快諾頂いた」と振り返る。今作のテーマは家族であり「それぞれが後悔をもつ3つの家族が少しずつ報われて、最終的には繋がっていくファンタジー」だと説明する。監督自身が母子家庭で育ち、ずっと母親が大好きであることを打ち明け「今、東京で経営している自分の会社にも間接的に関わって貰っており、母親を大事にしている。母親役として出演した鶴田真由さんに撮影中に言われる程、母に捧げる作品」だと感じている。ここで、監督にとって家族について述べるにあたり、プライベートで来館されていた監督の奥様であり本作に出演している遠藤久美子さんにコメントが求められ、遠藤さんは「家族とは、人生を共に歩むかけがえのない存在」と恐縮しながらも応えた。これを受け、横尾監督は「家族を持ったことで、会話が大事なんだな、と現在は凄く思っている」と告白する。
本作の撮影時、幸聖君は「泣く演技の時、気持ちを込めることが必要だった。心から本当に思い、気持ちを作られたので良かった」と大変だったことを話すと、そのしっかりした佇まいにお客さんからも拍手が巻き起こった。これを受け、横尾監督も「幸聖君とは早い段階でお会いし、天才だなと感じる程に演技が上手で、映画では助けられた」と満足している。撮影に挑むにあたり、現場づくりは「事前に役の設定を役者さんとじっくり話している。台本には書かれていない登場人物の生い立ちを皆さんと個別に説明していった。現場に入れば、考えて下さった演技のセッションをさせて頂き、作品が出来上がっていく」と説明した。
本作では、音楽にも拘っている。横尾監督は、ミュージック・ビデオの制作からスタートしていることから「音楽はたった3,4分で人の力を動かせる凄い力を持っている」と考え、音楽を大事にしている。今回は、これまで長編映画の音楽を担当したことがなかった今井了介さんから”ぜひやらせてほしい”とオファーを受け「打ち合わせを行った後、4曲の劇伴を最初に受け取り、聴いただけで泣いてしまった」と漏らす。今作はそれぞれのストーリーが繋がっている作品であることから、特にクライマックスのシーンに流れる劇伴曲はバージョン違いで作って貰いながら拘っていった。
最後に、幸聖君からは「この映画では家族の関係が凄く深いので、しっかりと観て頂ければ」と願いを込めた。横尾監督は「『ゆらり』というタイトルは、ゆっくりと流れる様という意味合いがあります。家族の中に流れる感情やその描写を意図した造語を用いて表現しました。ぜひ楽しんで最後まで観て頂ければ」と想いを込め、上映前の舞台挨拶は締め括られた。
映画『ゆらり』は、12月1日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開。15:10~の上映で、一般1,500円、専門・大学生1,200円、シニア1,100円、小学生以下700円、シアターセブン会員1,000円となっている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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