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男女4人の中に渦巻くモラトリアムな時間と青春の終わりを描く『空の瞳とカタツムリ』がいよいよ関西の劇場で公開!

2019年4月4日

(C)そらひとフィルムパートナーズ

 

傷つけあうことでしか互いの思いを確かめることができない男女4人の愛と性の軌跡を描き出す『空の瞳とカタツムリ』が、4月6日(土)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『空の瞳とカタツムリ』は、雌雄同体のカタツムリのように男でも女でもない心を持てあましながら絡みあう4人の男女を描いたドラマ。岡崎夢鹿は消えることのない虚無感を埋めるため、男となら誰とでも寝る。しかし、一度寝た男とは二度と寝なることはない。夢鹿の美大時代からの友人である高野十百子は極度の潔癖症で性を拒絶し、夢鹿にしか触れることができない。そして、2人の友人である吉田貴也は夢鹿への思いを捨てきれずにいた。学生時代から仲のよかった3人だったが、そのバランスは長い年月を経て少しずつ崩れていった。夢鹿に紹介され、ピンク映画館でアルバイトを始めた十百子は行動療法のような毎日に鬱屈していく。映画館に出入りする大友鏡一は満たされない思いを抱える十百子への思いを募らせていく…

 

本作は、故・相米慎二監督が遺した映画タイトル案から着想し、書き上げた荒井美早さんのオリジナル脚本を、「なにもこわいことはない」「いたいふたり」の齋藤久志監督のメガホンで映画化。映画や舞台、CMなど幅広く活躍する縄田かのんさんが主演を務め、中神円さん、三浦貴大さん、藤原隆介さん、利重剛さんらが出演する。

 

映画『空の瞳とカタツムリ』は、4月6日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。また、京都・出町柳の出町座と神戸・元町の元町映画館でも近日公開予定。

本作が持つ小さいパレットの中にある色の多さとその鮮やかさに酔いしれた。

 

独特な詩的なセリフや登場人物それぞれの行動全てが色鮮やかで、夢鹿と十百子の関係性は例え過去に似た経験がなくとも観るもの全てに共感を与えてくれる。それほど主演お二人の演技には妙に説得力があり、納得させられた。

 

劇中の2人は不器用ゆえに度々ノイズを起こしてしまう。お互いを想い、お互いに対して取る行動ですらズレに生じていく。どちらかの目線で一方的に語られることはなく他の登場人物を含め、それぞれの向かう先が観ていて待ち遠しかった。恋矢という言葉の持つ意味と本作が持つ意味が重なり合う時、脆く切ない小さな物語を前に深く陶酔することは間違いない。

 

本作は、小さな囁きや彼女たちの微かな変化も感じ取れるため是非とも、劇場での鑑賞をオススメしたい。

fromねむひら

 

潔癖症の方とお付き合いをしたことはないけれど、「他の人に触られるのはイヤだけど、あなたは大丈夫」と言われるのは嬉しいものなのかもしれない。「あなたと寝たあの人とセックスするのは、あなたになったみたいに感じるから」という考え方は自分には実感はわかないけれど、そんなこともあるのかも…

 

三角関係を長い間続けたこともないのだけれど、そのバランスが崩れて決着がつくためには、三人のうちの二人が覚悟を決めて踏み込んだ仲になるか、誰か一人が退場するしかないのだろう。主人公二人の名前がユニークで非現実的なことも含め、寓話のような物語だとも思ったけれど、誰かが誰かのことを愛しているのに傷つけてしまう様は、普段の日常にあるものと同じ。

 

物語の舞台のひとつである成人映画館が、いわゆるハッテン場的に描かれているが、これもまたフィクションでも誇張でもなく実際にそんな劇場があるので、ああこの劇場あそこみたいだな、となんだか可笑しくなったりもして、不思議と愛着のわく作品だった。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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