マドリード国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞・最優秀監督賞受賞作『キセキの葉書』!満員御礼舞台挨拶開催!
11月11日(土)より、関西の映画館でスペインのマドリード国際映画祭で最優秀外国映画主演女優賞と最優秀監督賞を受賞した映画『キセキの葉書』が公開。11月12日(日)には、主演の鈴木紗理奈さん、ジャッキー・ウー監督、原作者の脇谷みどりさん、子役の八日市屋天満さんと福富慶士郎さんによる舞台挨拶が大阪・十三の第七藝術劇場で開催された。
映画『キセキの葉書』は、うつ病と認知症を併発した郷里の母のため、笑える絵葉書を毎日送り続けた女性の実話を映画化した作品。兵庫県西宮のマンモス団地で家族と暮らす38歳の原田美幸は、脳性麻痺を抱える5歳の娘の介護や育児に追われ、心のバランスを崩してしまう。そんな中、自分が娘の病気のせいで不幸になったと思い込んでいたことに気づいた彼女は、昔からの夢だった児童文学作家への道に進むことを決意。ところがある日、故郷・大分で暮らす65歳の母・喜子が認知症とうつ病を同時に発症したことが判明し……
立ち見が出る程の満員御礼状態の中、上映後にゲストが順に登壇し挨拶を行った。まずはジャッキー監督が登壇し「この映画は非常に心が温まる映画じゃなきゃいけないと思いました。原作と脇谷みどりさんに惚れてつくるからには、自分の中で一つの確固たる使命を持たなければいけない」と熱い想いを伝える。これを受け、紗理奈さんが登壇。昨年9月の撮影を振り返り「撮影時に思い描いたのは、公開後に劇場で皆さんに舞台挨拶でお会いできること」と、夢が叶った思いがこみ上がった。お客さんを見渡し「皆さんが観られた後、作品が届いたと実感できる場所。この場に足を運べるのがとても嬉しい」と感激。今作は紗理奈さんにとっては久しぶりの演技だったが「監督は常に傍にいて、芝居しやすいような精神状態を保ってくれた。今回マドリードまで連れてって下さり、トロフィーまで持たせて下さった」と感謝している。脇谷みどりさんに出会い「映画を通して脇谷さんの生きる力を少し頂けました。これからパワフルに生きていきたいなと思える、ものの見方を教えて下さりました」と敬意を示す。
ここで子役の福富君と天満ちゃんが登壇。福富君は「皆さんに映画を伝えたいので、真剣にやった」と泣きじゃくりながら挨拶。ジャッキー監督は「撮影を止めて二人で話し合い、感謝をテーマに演じたら、自然に涙が出てきたね」と優しくフォローする。天満ちゃんは、撮影中はほとんど紗理奈さんの背中におんぶされていたが「温かくて気持ちよかったです」と嬉しそうに話すが、紗理奈さんは「重かったです」と苦笑い。ジャッキー監督は撮影中に子ども達とずいぶん長く話し「縦横無尽に自分の自尊心を表現していく人達の中で、自尊心すら断って向きを変えずにシーンをやっていくのは大変なこと。今回、作品を評価して頂く中で、紗理奈という奇跡や天満という天才に出会えた」ことを感謝している。
さらに原作者の脇谷さんが登壇。久しぶりに福富君と天満ちゃんに会い「大きくなったなぁ。この2人がいなかったら映画ができなかった。自分のことなのに泣いてしまう」と漏らす。自身の映画化にあたり「映画にして下さった皆さんの忍耐と情熱に頭が上がらない。あそこまで忍耐強くできないよと思うぐらい」と外野の視点ながらも感想を伝える。出来上がった作品を観て「自分のことなのに紗理奈さんが演じている私に頑張れと言ってしまう。頑張る人には応援団がいっぱい出来るんだな」と現在の思いを語る。
最後に、ジャッキー監督は「まず原作を読み、映画を撮らせて頂きました。奇跡は起きるものではなくて起こすもの、奇跡を起こさなければいけない使命を持った人がいること」を伝えた。紗理奈さんとの出会いに奇跡を感じ「しっかりとした演技と表現力で海外にも行かせて頂いた。さらに今後の人生はしっかりとテーマを持ってやっていきたい」と決意する。紗理奈さんは「去年の夏にこの話を頂き、演じれるのかと不安に思った始まりだった。脚本を読み涙が止まらず、ぜひこの役をやりたいと翻弄される気持ちだった」とクランクインの頃を振り返る。脇谷さんや監督にお会いし「素敵な導きを頂いて、マドリードまで行きトロフィーまで取らせて頂いた。今までの人生が報われたような気持になり、真っ直ぐ一生懸命前を見て走ってきて良かった」と思えた。監督から多くのことを学び「40歳になりますが、これからしたいことや目標が沢山出来ました。この感謝の気持ちを忘れずに脇を占めて直向きに生きていきたい」と感謝の言葉を述べた。脇谷さんからは「1週間後は生きていないかもしれないと思う程疲れた時、私は今日1日を生きて頑張ろうと思いました。それを繰り返してきた日々だ」とこれまでを振り返りつつ「つまらないことのように思えますが、実は物凄い財産になります。皆さんの中にそこまで行き詰っている方はいらっしゃらないかもしれないけれど、今日1日を生きて頂きたい」とエールを送りながら、感謝と共に舞台挨拶を終えた。
映画『キセキの葉書』は、関西の映画館で11月11日(土)より公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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