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強盗、殺人、売春を犯した少女たち…イランの更生施設捉えたドキュメンタリー『少女は夜明けに夢をみる』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2019年12月11日

(C)Oskouei Film Production

 

イランの少女更生施設を舞台に、強盗、殺人、ドラッグ売買、売春といった罪を犯した少女たちに光を当てる『少女は夜明けに夢をみる』が12月14日(土)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『少女は夜明けに夢をみる』は、イランの少女更生施設を舞台に、強盗、殺人、薬物、売春といった罪を犯した少女たちに光をあてたドキュメンタリー。クリスマス前、降り積もった雪で無邪気に雪合戦に興じる少女たち。彼女たちは高い塀に囲まれ、厳重な管理下におかれている更正施設で共同生活を送っている。虐待に耐えきれず父親を殺してしまった少女。叔父の性的虐待から逃げるために家出をし、生きていくために犯罪を繰り返す少女。幼くして母となり、夫に強要され、ドラッグの売人となった少女。どこにも居場所がなかった少女たちがなぜこの施設にやってきたか、その背景が彼女たち自身の言葉で静かに語られていく。

 

本作は、第66回ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞を受賞。監督はイランを代表するドキュメンタリー作家であるメヘルダード・オスコウイが務めている。

 

(C)Oskouei Film Production

 

映画『少女は夜明けに夢をみる』は、12月14日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、2020年2月1日(土)より京都・烏丸の京都シネマでも公開予定。

イランの更生施設、少女たちはまるで学校で暮らすかのように微笑み合い、歌いあう。とにかく歌う。しかし、平凡に見える彼女達は罪を犯している。到底そのようには見えない。言葉が分からなければ、本当に海外の学校の日常を覗いてるかのような妙な錯覚をしてしまう。だが、よく見ると、少女達が歌っている場面でも、遊んでいる場面でも、誰かが泣いている。1人の少女が窃盗の回数を訊かれた際に、笑顔で返事をしていたのが特に印象的だった。なぜなら、この子達に罪の意識はない。

 

インタビューで、彼女達の壮絶な過去が吐露される。「彼女達は罪の意識が常人より欠落している」と、彼女たちの悲惨な過去を聞いても、同じ問いかけができるだろうか?誰が少女たちを咎められるのだろうか?疑問が残った。麻薬への依存や近親相姦等も、すべて生まれる環境が違えば、誰だって同じ立場に立っていたかもしれない。少女達へのインタビューを観ながら、各家庭が物凄く陰鬱で閉鎖的であると気づく。羞恥心や親戚単位の風評も気にしてしまう。女達の心を傷つけるのは、被害にあった際に受け止めるクッションがない、という現実の問題だ。両親が麻薬依存の場合、話ができる相手もおらず、近親相姦されたことを母親に打ち明けても『嘘だ』と一蹴される。いわばセカンドレイプの状態が数人の少女達の口から説明された。

 

本作が取り扱う問題は、もはやイランだけの問題ではなく、世界レベルでとても根深く存在する。経済格差や社会問題の放置により、問題が問題を呼び、政治や社会とは程遠い末端の彼女たちを結果として苦しめてしまう。社会全体がボーダーレスとなって問題に取り組むように働きかけることで様々な解決策が出てくる可能性もある。本作を鑑賞し、今一度自分の周りの環境について考え直すきっかけとなることを願って止まない。

fromねむひら

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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