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キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと共に闘った日系人を描いた映画『エルネスト』いよいよ公開!

2017年9月21日

10月6日(金)からキューバ革命の英雄チェ・ゲバラと行動を共にした日系人のフレディ前村を題材にした映画『エルネスト』が公開される。公開に先駆け、9月21日(木)にTOHOシネマズ梅田で、チェ・ゲバラ写真展オフィシャルサイト、FM COCOLOから応募したスペシャルサポーター向けの試写会を開催。上映前には、阪本順治監督と主演のオダギリジョーさんによる舞台挨拶が行われた。

 

チェ・ゲバラは、弱者のために立ち上がったキューバ革命の歴史的英雄であり、最後まで理想を追い求め、自らの信念を突き通し、比類なきカリスマ性によって今もなお世界中の人々を魅了して止まない。1967年10月9日、ボリビア戦線にて39歳の若さで命を落としてから半世紀を迎えようとしている。そのボリビア戦線でゲバラと共に行動し、志を貫いて殉じていった唯一の日系人としてフレディ前村ウルタードがいた…

 

映画『エルネスト』は、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと共闘した日系人の生涯を、オダギリジョー主演、阪本順治監督で描いた日本とキューバによる合作映画。フィデル・カストロらとともにキューバ革命を成功させ、1967年にボリビア戦線で命を落としたエルネスト・チェ・ゲバラ。医者を志してキューバの国立ハバナ大学へ留学した日系2世のフレディ前村ウルタードは、キューバ危機の状況下でゲバラと出会い、彼の魅力に心酔した前村はゲバラの部隊に参加し、ボリビアでゲバラとともに行動する。ゲバラからファーストネームである「エルネスト」を戦士名として授けられた前村は、ボリビア軍事政権へと立ち向かっていく…

 


試写会当日は、チェ・ゲバラや『エルネスト』に熱い思いを持ち、それをアイテムやファッションで表したスペシャルサポーターが集結。普段のシアターとは違った雰囲気の中、オダギリジョーさんと阪本順治監督が上映前に登壇。

 

オダギリさんは、登壇直後に「東京でもファッションに身を包んだ方の前で舞台挨拶をやったが、大阪でもこんなことになっているとは……」と驚きを表す。今作について「とてもおもしろい作品。今、日本映画がたくさん公開されている中で、変わった趣きがあり重要な意味のある作品だと思うので、みなさんもぜひ紹介してください」と挨拶を行った。阪本監督からは「今日は何の集会でしょうか。こちらから見ていると……」と言葉を詰まらす。今回は選ばれた方向けの試写会であることから、ここだけの話を披露する。阪本監督は、今作の準備中は、日本でもチェ・ゲバラのTシャツを着ている人が目に入るようになった。しかし、どこまでゲバラを理解した上で来ているのかと疑問を持っていた。監督は今作を通じて、キューバやボリビアに何度も行った。キューバの首都であるハバナや地方都市にある革命博物館、サンタ・クララにあるチェ・ ゲバラの霊廟(お墓)に行く度に、個人で来ている日本人によく会った。一番驚いたのは「訪れるのが大変なボリビアのイゲラ村で、チェが処刑された場所では芳名帳に日本人の名前があった。どうやってここまで来たのだろうか。かたやファッションとして着ている人がいれば、かたや足跡を追って旅をしている日本の若者がたくさんいることを映画を通じて初めて知った」ことであった。

本作で、オダギリさんは阪本順治監督とは3度目のタッグになる。オダギリさんは「監督は基本的に変わらない。出演者にも自身にも厳しい方で、横にいると自分に甘えてはいけないなと背筋を伸ばす気持ちにさせてもらえる。日本でもキューバでも撮影はどこであっても、厳しさを持った素晴らしい監督だ」と絶賛。阪本監督は、オダギリさんを起用した理由について「フレディさんの人となりを原案にした『革命の侍』から感じ取ったり、フレディさんがハバナ大学時代に共に学んだ学友の方々を訪ね実直でナイーブでデリケートで真っ直ぐな方だと聞いたりし、オダギリ君の顔がすぐさま浮かんだ」と明かす。3回目の際には「主演と監督の関係でやりたいと以前から思っていた。共に何かに挑戦的なものを一緒にやりたい。ハードルが高くヒットするかどうかも見えないものに果敢に挑戦したい時に彼を主演にして道連れにする」と決めていた。そんな中でフレディ前村さんを知り、映画化するにあたってオダギリさんと共に戦いたいと思った。さらに、阪本監督自身が驚く出来事に偶然遭遇した。阪本監督がキューバ政府と合作が可能かどうか交渉するためにキューバに着いた時に別件でオダギリ君にメールしたら、”僕は今キューバです”と返って来た。「同じ日に別の仕事でキューバにいた。僕の中でこの偶然性は大事で、向こうからやってきた気がした」と感じている。

 

オダギリさんは、自身について「挑戦的な予測のつかない作品の方が胸が躍るタイプの俳優。監督も仰ったように、ハードルが高ければ高いほどやりがいが持てる」と分析。本作に対し「一生に一度出会えるかどうかの作品。必ずこれが自分の財産になる」と確信があった。チェ・ゲバラに対して「時代や場所も大きく違うので比べるものではない」と前置き「僕は日本の安全で物質的に恵まれた生ぬるい生活をダラダラと日々送っており、自分でも情けないなと思うような生活をしている」と謙遜する。「そんな中でゲバラやカストロ、カミーロらの人生や言葉を目にする度に気持ちが引き締まる。彼らが過ごしてきた日々の重みが、僕が今過ごしている日々の重みと全く違ってみえる」と感じ、自分に喝を入れてもらう気がしている。「自分に厳しい人。そういう人の生き様は日々ダラダラと過ごす僕のようなタイプには大きな影響を与える。しっかり生きなきゃ」と思うようになった。阪本監督も「映画の撮影時、オダギリ君に対してもキューバの俳優に対しても、ある種の自信を持って、作品に対しどれだけ真摯なのかを示さなきゃいけない。自分の身体も含め、壊れてもいいと思ってやっている。普段は緊張感がなくお酒を呑んだりダラダラ過ごしたりしているが、映画に対しては負けないものは持っている」と自信がある。

最後に、オダギリさんから「日本映画のファンとしてもいろんなタイプの日本映画があってほしいと思っている。今の日本映画はどうしても漫画や原作ありき、TVの映画化に流されやすいのか」と嘆きながらも「映画ファンとしてこの先を心配する気持ちもあるなかで、こういう作品が選択肢としてあることは意味がある。そういう作品を出来る限り多くの方に観て頂き、今後も作りやすい環境が残ることが大事。僕も頑張ります」と意気込む。阪本監督は「フレディ前村の5年間の学生生活を描いた作品。フレディのお姉さんであるマリーさんに会いに行った時に『医者になり人を助けるためにキューバに留学したのに、武器を持って人を殺めるかもしれない。その狭間で苦しんでいたと思う』と伺った」と告白。さらに、フレディの弟であるアンヘルさんから聞いた話として「フレディがなくなった後、遺骨が見つからなかった。フレディのお母さんであるローサさんは自ら動いて探そうと思い、キューバ政府に働きかけるためにボリビアからキューバを訪れた時、キューバの革命時代を戦った人達から『あなたの息子は病気とか事故で死んだわけじゃない。人々の為に戦って死んだんだから泣く必要はない』と、ずいぶん慰められた。でも、お母さんは自分の息子を失った悲しみで泣き崩れた」ことまで明かした。「何物でもない名もない医学生が5年間の学生生活を経て、やがて銃を手にする過程を観て頂きたく、この映画をつくりました。他所の国である異国の50年前の話ではあるが、どこかで自分の日常と重なるところがあれば、それを受け取ってみて下さい」と伝えた。「こういう作品が日本で生まれたことに価値があると思って頂き、映画に愛着を持って頂いたら、ぜひお広めください」と共に感謝を伝え、舞台挨拶を終えた。

 

映画『エルネスト』は10月6日(金)より全国ロードショー。各地の映画館で舞台挨拶が予定されている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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