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自らの生き様と死に様を見せつけた77分間ワンシーン・ワンカットによる死闘!『狂武蔵』坂口拓さんに聞く!

2020年8月20日

宮本武蔵を坂口拓さんが演じ、400人もの人数の剣士と死闘を繰り広げるアクションを77分間ワンシーン・ワンカットで映し出していく『狂武蔵』が8月21日(金)より全国の劇場で公開。今回、坂口拓さんにインタビューを行った。

 

映画『狂武蔵』は、70分以上におよぶワンシーン・ワンカット撮影、400人斬りシーンなどを盛り込んだアクション時代劇。日本映画のアクションシーンを牽引するTAK∴(坂口拓)さんが主演を務め、初の時代劇映画出演となる山﨑賢人さんが『キングダム』に続き坂口さんと共演を果たした。慶長9年、宮本武蔵による2度の道場破りにより、師範の清十郎とその弟・伝七郎を失った名門・吉岡道場。面目を潰された一門は、まだ9歳の清十郎の嫡男・吉岡又七郎と武蔵との決闘を仕込み、一門全員で武蔵を襲う計略を練る。決闘場のまわりに身を潜める、一門100人と金で雇った他流派300人の前に、突如現れた武蔵が襲いかかる。ワンシーン・ワンカット部分は2020年の公開よりも9年前に坂口さんによって撮影されていたが、長らく日の目を見ずに眠っていた作品で、『GANTZ』『キングダム』のアクション監督である下村勇二さんが追加撮影部分を監督し、全体の仕上げを担当して完成させた。

 

元々は、2011年に園子温監督との共同監督で坂口さん主演作品を撮影されるはずの作品があった。だが、その作品の出資側と様々な出来事があり、企画自体がクランクイン前に無くなってしまう。ラスト10分は立ち回りを決めずリアルに暴れるシーンが予定されており、1年間もかけて練習していた。「アクションは役者が狙って演じるものではない。相手の体をかわすようにして刀で受け止めるべき。元々、俺はリアルアクションを突き詰めてきた」と述べ「俺の目や喉や頭をかち割ってきてもいい、という練習を1年間ずっとしてきた。ならば10分間のリアルなアクションが出来る」と確信。映画の企画が無くなった時、その場にはスタッフ全員がおり、機材を返す前日に「1回勝負で10分だったリアリズムなアクションを70分以上やらないか」と提案。77分間ワンシーン・ワンカットによる死闘を繰り広げた。

 

撮影にあたり、坂口さんは、皆に発破をかける気持ちで「本当に殺す気で来てくれ」と呼びかける。あくまで相手には怪我をさせないアクションをベースにしており「俺はお前らを怪我させないけど、お前らは1回でも俺を殺しに来るという刀じゃなかったら殺すよ。だから本気で来い」と伝えた。「そしたら、目茶目茶来やがったんですよ。気が付いたら指の骨が折れていたんです。切る時に当たったんでしょうね。骨が皮膚の外に出ていたんですよ。肋骨は途中の殺陣で折れたと思います」と冷静に語るが「70分以上やりたいからコールをくれ、と言っていた。指が折れた瞬間に”5分経過”と聞こえてゾッとしましたよ。心が折れました」と告白。凄まじいアクションを見せつけられる殺陣シーンであり「樫の木で出来た木剣が77分も縦横無尽に狙ってきたら、体のどこかが骨折しませんか。やはり当たっています」と圧倒せざるを得ない。リアルアクション道の集大成だと捉え、型を決めずに挑んでおり「シーン後半における門の前でひたすら戦う時には、もはや脱力して戦うようになり映画の撮影中に強くなっている」と一番のお気に入り。自らの演技に対し「最初は自分の生き様を描いていた。後半20分は自分の死に様。生きることを諦めて死に様になっている姿。台本に台詞は一切なし。喋りたかったら喋るだけ。緊張と緩和がありますね」と冷静に述べた。

 

追加撮影は2019年。本作のプロデューサーである太田誉志さんと下村勇二監督による「世に出したい」という熱い思いから始まっている。山﨑賢人さんは『キングダム』をきっかけに坂口さんと下村監督と出会い、作品に対する思い聞き、オファーを受けた。『キングダム』では、型を決めない1分間でのアクション撮影を行っており(本編ではカットされたが)、坂口さんは「彼は凄く強くなっていますよね。今はもっと強い。技にもキレが増してきている」と称えている。同時に「どちらかと云えば俺のドキュメンタリー映画でしかない作品。77分を戦った俺に対する思いで出演してくれた」と凄く感謝していた。

 

なお、今後はウェイブ(体幹を保ったまま、肩甲骨を柔軟に回すことにより力を波のように伝達させる技術)を使った時代劇を考えており「77分を撮った時の自分と、『狂武蔵』の撮影中に脱力を学び、撮影後ウェイブをマスターして挑んだ追加撮影の時の自分では天と地の差がついている。今度は誰も見たことがない侍。凄いのを見せますよ」と意気込んでいる。リアルアクション道に挑んできたが、観ている人には伝わりにくかったことも認識しており「『RE:BORN リボーン』でリアルアクション×ウェイブになって、皆さんにとっても分かりやすくなった」と実感。現在はYouTube「たくちゃんねる」でお客さんと一緒にリアルアクションを追求できるようにしている。「リアルアクションという新しいジャンルを知ってもらうために、これからお客さんと一緒に育てていくという意味で楽しみですね」と自らの変化を実感しており「昔は映画だけでやっても通用しなかった。説明書がなかった。これから説明書の意味でYouTubeを使ってお客さんと一緒に育てていきたい」と話す。次作について「この日本で最強と云われている人と戦う。もう他に戦う人は日本にいなくなってしまう。もし世界にもいたら是非やりましょう」と意気揚々と語っており、まさに期待せざるを得ない。

 

映画『狂武蔵』は、8月21日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田(1週間限定)、茨木のイオンシネマ茨木、京都のT・ジョイ京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸(1週間限定)をはじめ、全国の劇場で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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