若林美保さんの力強さをスクリーンに届けたい…!『プレイルーム』ナリオ監督に聞く!
女優であり現役のストリッパーである若林美保さんが初主演し、5人の監督による5編から成るオムニバス映画『プレイルーム』が11月15日(金)より関西の劇場で公開。今回、本作の監督・プロデューサーであるナリオさんにインタビューを行った。
映画『プレイルーム』は、女優で、現役ストリッパーとしても活躍する若林美保を主演に、5人の監督が独自の世界観でさまざまな若林を描いていくオムニバス。ライブハウスで出会った売れないバンドマンとワケありOLの恋愛模様を描いた「などわ」(監督:ナリオ)、赤ん坊の頃に何者かに誘拐され、秘密結社の人造人間テロリストとして育てられた女を描く「LION」(監督:松蔭浩之)、路地裏ですれ違った女を尾行する倒錯した「私」が描かれる「熱海の路地の子」(監督:佐々木誠)ほか、「クローンハート」(監督:中村真夕)、「Floating」(監督:福島拓哉)の5編で構成。各作品、渋川清彦、佐伯日菜子、草野康太ら俳優陣が顔をそろえる。
若林美保さんを主演に数人の監督によるオムニバス映画を作る企画があり、ナリオさんが参加監督の1人として呼ばれた。ナリオ監督は「などわ」を完成させたが、当時の監督陣が誰も制作できず。その後、佐々木監督が「熱海の路地の子」を作り、松陰監督が「LION」の撮影を終え編集に時間を要していた。結局、月日を過ぎても、発起人である監督達が動かず辞めてしまう。3作品で公開するわけにもいかず、オムニバス映画として成立させるために主軸となる方を失い、ナリオ監督がまとめ役にならざるを得ない状況でプロデューサーを引き受けた。そこで福島監督を誘い、佐々木監督が中村監督を誘い、5人が揃い、短時間で作り上げていく。5作品が揃い、劇場公開に向けて、ナリオ監督がプロデューサーとして劇場との交渉やプロモーションを担い、昨年、ようやく東京での公開を迎えた。
イギリス人というバンドの楽曲「などわ」にナリオ監督は思い入れがあり、メンバーとは「『などわ』をモチーフにした映画をいつか作れたらいいね」と話していた。今回の機会をきっかけに映画を撮ろうと本企画に参加する。基本的な物語は、歌詞の内容に沿っており「歌詞を忠実に映画化すると、オチはない。僕が肉付けし、最後は僕が考えたオチをつけました」と説く。楽曲が原作となり、原案を監督が考え、脚本家にストーリーを全て伝え脚本を作ってもらっており「最後に全て修正し直し、共同制作で脚本が完成しました」と振り返る。主演に渋川清彦さんを起用しており「バンドマンの話なので、ミュージシャンに演じてもらうのが一番良かったかもしれない」と思いながらも「しっかりとした俳優さんに演じてもらいたい。かつドラムを叩くことが出来る俳優と云えば渋川さんしかいない。役者・モデルの前は、ドラマーであり、素晴らしい技術を持っている」と確信した。これまでに相当な数のMVを撮り、音楽関連の映画や音楽に寄り添う映画を撮っているナリオ監督は「本作も音楽にまつわる作品になっており、今後も、そんな作品を撮り続けていきたい。長編作品としての『などわ』を作るとしたら、様々なエピソードを盛り込みたい」と今後にも期待している。
松蔭浩之監督による「LION」について「スタイリッシュな映像を繋いでいる」と分析。松蔭さんは唯一映画監督ではない。現代美術家であるが「松蔭さんらしく格好良い。理屈抜きに画面の迫力や画が持つ力で若林さんの格好良さを楽しんで頂けたら」とお薦めする。
中村真夕監督による「クローンハート」。唯一の女性監督作品である。主演の佐伯日菜子さんは普段は怖がらせる役が多いホラー女優だが、今作では逆の立場になっており「若林さんとのW主演での絡みや空気感が危うい雰囲気がおもしろい。この時の若林さんの演技もいつもと異なっている」と興味深い。
佐々木誠監督による「熱海の路地の子」については、賛否両論の批評があり「一番振り切っている」と言い放つ。強烈なインパクトが残る作品であるため、女性は嫌悪感しか抱かない方もいるようだが「一方で女性受けも良かったりする不思議な作品。劇薬となる興味深い作品」だと捉え「目を逸らさずにしっかりと観て頂きたい」とコメントを寄せていく。
福島拓哉監督の「Floating」は、オフビートな安定した作品として本作を締めている。全体的に、最初と最後は安定して観て頂けるようにしており「ドラマ作品とアバンギャルドな作品を交互に繋げていますので、飽きないように考えて構成を組み立てています」と明かした。
本作では、様々な印象を残す若林さんを見せており、ナリオ監督は「ノーメイクが一番可愛く見えます」と断言。今年で舞台生活20周年を迎える若林さんについて「超越した存在感があります。自分を見せる術を熟知している方なので、彼女の力強さをスクリーンでもこぼさずにお届け出来ていたら」と願っている。
映画『プレイルーム』は、11月15日(金)より京都・九条の京都みなみ会館、11月16日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。なお、京都みなみ会館では、11月15日(金)にナリオ監督、11月18日(月)に若林美保さんと福島拓哉監督、11月24日(日)に若林美保さん、佐々木誠監督が舞台挨拶、シネ・ヌーヴォでは、11月16日(土)にナリオ監督、11月19日(火)に若林美保さんと福島拓哉監督、11月23日(土)に若林美保さん、佐々木誠監督が舞台挨拶に登壇。
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- 映画ライター
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