メキシコの麻薬王の娘を誘拐しカルテル同士の戦争を誘発させる任に就いた男たちの姿を描く『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』がいよいよ全国の劇場で公開!
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アメリカとメキシコの国境地帯における麻薬戦争の実態を描き、アカデミー賞3部門にノミネートされたクライムスリラーの続編『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』が、全国の劇場で11月16日(金)より公開される。
映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実をリアルに描き、アカデミー賞3部門にノミネートされた『ボーダーライン』の続編。アメリカで市民15人が命を失う自爆テロ事件が発生した。犯人がメキシコ経由で不法入国したとの疑いをかけた政府から任務を命じられたCIA特別捜査官マットは、カルテルに家族を殺された過去を持つ暗殺者アレハンドロに協力を依頼。麻薬王の娘イサベルを誘拐し、メキシコ国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテル同士の争いへと発展させる任務を極秘裏に遂行するが……
本作では、前作から引き続きベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンが出演するほか、イザベラ・モナー、ジェフリー・ドノバン、キャサリン・キーナーらが脇を固める。脚本は前作『ボーダーライン』『最後の追跡』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたテイラー・シェリダン。監督は前作のドゥニ・ビルヌーブから、イタリア人監督のステファノ・ソッリマにバトンタッチ。撮影は『オデッセイ』など近年のリドリー・スコット作品で知られるダリウス・ウォルスキー。音楽は前作を手がけ18年2月に他界したヨハン・ヨハンソンに代わり、ヨハンソンに師事していたアイスランド出身のヒドゥル・グドナドッティルが担当。
映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、11月16日(金)より、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマ、難波のなんばパークスシネマ、京都のMOVIX京都、神戸・三宮の神戸国際松竹ほか全国の劇場でロードショー。
麻薬の密輸から不法移民問題に題材が移行
メキシコの麻薬カルテルとの戦いを描いた前作『ボーダーライン』から、メインの題材が、不法移民問題へと変化した。麻薬の密輸も密入国も違法行為だが、なければ生きていけない人々の姿を通じて善悪の曖昧さを描くための題材となっている点は共通している。
続編は分かりやすくなるかと思ったら、より分かりにくくなった?!
既存の社会に通念する価値観がある世界で生きてきた前作の主人公ケイトの視点から、既存の価値観から逸脱した世界の存在に触れる事で、善悪の境界が揺らいでいく様が描かれた。一方、本作は善悪のガイドラインとなるケイトの視点がないため、冒頭から善悪の境界がない斑色の状態で物語が進む。前作と比較して、より分かりやすいアクションジャンルに寄っているのではないかと考えていた私は驚愕。この世に正しさ等が無いかのような暴力の嵐には、この世の地獄が垣間見えた。
テイラー・シェリダンが書く「むき出しの世界」の怖さ
『ボーダーライン』『最後の追跡』『ウィンドリバー』で知られるテイラー・シェリダンの脚本に共通する暴力的な姿がむき出しになった世界の残酷さは相変わらずキレッキレ。例えば、暴力的な事態が進行している最中に、何度かシームレスに登場する赤ん坊の姿には、世界の残酷な有り様を感じずに入られない。それでも物語を見る視点が悲観だけで終わらないのは、残酷な世界にすり潰されずに自らの規範に則って行動する男の生き様が描かれているからであり、それこそが描きたい事であろうとも考える。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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