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大事な言葉をギュッと詰め込んだ…『一陽来復 Life Goes On』初日舞台挨拶開催!

2018年3月24日

東日本大震災から6年目を迎えた被災地に暮らす人々にカメラを向けたドキュメンタリー『一陽来復 Life Goes On』3月24日(土)より関西の劇場で公開。上映初日には出演者・スタッフによる舞台挨拶も開催された。

 

映画『一陽来復 Life Goes On』は、東日本大震災から6年目の岩手・宮城・福島で、前を向いて生きる人々の姿を追ったドキュメンタリー。女川町の復興を記録した「サンマとカタール 女川つながる人々」で制作プロデューサーを担当した尹美亜が初監督を務め、2016年夏から2017年春にかけて撮影を敢行。子どもを亡くした夫婦、そろばん好きな少女、震災を風化させないため活動を続ける語り部、原発30キロ圏内で伝統を守り続ける農家、被爆した牛の世話を続ける牛飼い、新しい漁業に挑む漁師など、困難の中で一歩ずつ前に進もうとする人々の姿をとらえ、復興6年目の小さな幸せや希望を浮かび上がらせていく…女優・藤原紀香と声優・山寺宏一がナレーションを担当。

 

初日上映後には、出演者の一人であるコドモエナジー社長の岩本泰典さん、本作の構成を担当した西尾孔志さん、益田祐美子プロデューサーが登壇。

 

益田さんは、鑑賞後のお客さんを見ながら「作品から得るものがあったんだな」と感じた。西尾さんは「今回は益田さんのお誘いで素晴らしい作品に参加できた」と嬉しく思っている。岩本さんは「震災から1年後、ご縁があって川内村に工場を作るために行かせて頂きました。映画を何回か見ているんですが…」と感極まった。

 

今作は1年に渡って撮影され、多くのフィルムに記録された。益田さん自身も作品の構成に悩み「ユンミア監督は最初の編集段階では思うような作品に出来上がらなかった」と告白し、西尾さんに依頼。構成を担った西尾さんは「最初の編集では2時間半もあった。監督の想いが強過ぎ、編集できなかった」と吐露する。西尾さんは劇映画の監督だが「監督をしていると、完成するまでの間は自信がなくなる。ユンさんが自信なさそうにしている時、僕は監督を応援する仕事に徹した」と振り返った。東京に行く度に応援し「お客さんが飽きずに観れるような工夫を施した。当初、それぞれの人物ごとにパートが分かれていたが、それぞれの見せ方やドラマ性を重視しましょう」と提案。人間らしさに重きを置き「全て前向きでハッピーにしない。人間なので、躓いたり地震以外でも悩んだりすることも含めた作品にできた」と満足している。

 

現在の川内村について、岩本さんは「人口が震災前の8割ぐらいまでに戻っています。私は震災から1年後の4月に行きました。岩手や宮城と違い、福島は震災に対して被害者であり加害者であるという感覚がある」と解説。福島で復興に取り組んでいるが、タイとの縁があり「福島にタイの方を連れていき、多くの人々が交流できるようにカフェをオープンしました。皆さんが集まる場所がなく、村内の方と県外の方が交わっていければ」と願っている。

 

本作の公開直前には秋篠宮殿下ら御家族が御観覧。益田さんは直接質問を受け、応えるとともに「ぜひ多くの方に観て頂きたい」とお言葉を頂戴した。他にも、被災地に何億円も寄付し何百トンと支援をした資産家が作品を観て「僕は被災地の方々への支援方法を間違っていた。お金と物資だけを送っていれば大丈夫ではない。被災者の方に寄り添い、被災地に行くことが大事だと感じた」と言われ、感慨深い。

 

最後に、西尾さんは「僕は2時間半だった作品から心に残った台詞を丁寧に凝縮しました」と述べる。岩本さんは「僕らは阪神淡路大震災を経験したからこそ分かることを福島に行って感じました。何かを押し付けるのではなく、地域に行って一緒に寄り添い続けていくことが一番大事。その中で自分達が出来ることを地域にどのように根付かせ、どのように外に発信していくか重要。大阪からは遠いですが、機会があれば行って地域の方とのふれあいが大切」だと関西のお客さんに訴えた。益田さんは、本作が復興庁の支援を受けており、岩手・宮城・福島を同等に扱って編集してほしいと依頼された。今作の制作にあたり「撮影には多くの方のご協力頂いた。映画というものは一人では作れません。様々な方の力や支援がないと最後に形にはなりません。今後も皆さんのお力を頂きながらホール上映や世界での上映につなげていきたい」と期待を寄せている。

 

映画『一陽来復 Life Goes On』は、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・出町柳の出町座、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開中。また、4月21日(土)からは大阪・十三のシアターセブンでセカンドラン上映、初日上映後にはユンミア監督と構成を担当した西尾孔志さんによるトークイベントも開催予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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