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『最初で最後のキス』配給を手掛けた日本イタリア映画社の黒崎政夫さんが秘話を明かす

2018年8月4日

イタリア北部ウーディネの高校を舞台に、ネットやSNSが若者たちに浸透し、いじめや差別がより深刻になっていくさまを繊細に映し出す『最初で最後のキス』が関西の劇場で公開中。8月4日(土)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で、本作の買付と配給を手掛けた日本イタリア映画社の黒崎政夫さんを迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『最初で最後のキス』は、イタリアの高校を舞台に、かけがえのない絆や未来を無知ゆえに破壊してしまう若者の残酷さを描いた青春ドラマ。イタリア北部ウーディネ。愛情深い里親に引き取られ、トリノからこの町の学校に転校してきたロレンツォは、個性的な服装で周囲から浮いた存在になってしまう。やがてロレンツォは同じく同級生たちになじめないブルーやアントニオと親しくなるが、自分たちを阻害する生徒たちに復讐を試みたことをきっかけに、運命の歯車が狂いはじめる…『ミラノ、愛に生きる』の脚本家であるイバン・コトロネーオがアメリカで実際に起きた殺人事件をもとに執筆した小説を、自ら共同脚本を手がけメガホンをとった。

 

上映前に、本作の買付と配給を手掛けた日本イタリア映画社の黒崎政夫さんが登壇。20年振りに大阪に来て「久しぶりなので、変わり様にビックリしています」と驚きながらも、感謝の言葉を伝えた。

 

黒崎さんは、スペイン旅行時に往路の飛行機での機内上映で本作と出会った。鑑賞しながら「重たいテーマだが、凄く楽しくて、この映画を早く日本で日本語で観たい」と一目惚れ。バルセロナを訪れた際には、昼間は観光し、夜は映画についてひたすら調べ、帰国後も原作を取り寄せて読むまでに至った。日本での公開予定がないと分かり「G7加盟国のなかでも日本とカナダ以外は買い付けている。なぜ日本が買っていないのか」と、憤りを感じる。自身でも買えるかなと思い「男気を出して権利元に問い合わせた。『日本からは誰も買っていない』と言われた。そこで話を進め、買い付けることになった」と振り返る。

 

本作は、イヴァン・コトロネーオ監督が原作小説を書き、脚本まで手掛けた。今から10年前にアメリカ・カリフォルニアで実際に起きた事件を元にしており「当時、イタリア人である監督が偶然にもアメリカにいた。衝撃を受け、イタリアでも当てはまることだと思い、原作を執筆した」と明かす。出版後、イタリアの高校で話題となり、各地の学校で副読本として用いられた。監督自身も多くの生徒達に会い「様々な思いを直接聞き、映画化するべきだと思って制作した」と伝える。原作を読んだ黒崎さんは「3人の高校生が原作には出てくるが、ヒロインのブルーは出てこない。原作では担任の女教師が出てくる。マニキュアをした少年が転校してきて、先生の戸惑いが書いてある」と解説。映画化された後、イタリアでは全国80ヶ所で3万人の高校生達に向けてティーチイン・ツアーが開催された。結果的に、イタリアで199のスクリーンで上映され、5万5千人のお客さんが鑑賞した。

 

今作の撮影は、3年前の4月から6月にかけて撮影され、2年前の春に公開。作品の設定は4月から6月の北イタリア、川に飛び込むシーンがあるが「冷たくて、ブルー役のヴァレンティーナ・ロマーニさんは熱を出し、1週間寝込んだ」と伝え聞いた。なお、ロレンツォ役のリマウ・グリッロ・リッツベルガーさんが6月の東京公開時に来日。当初、配給元に監督の来日をお願いしたが、予定が合わず。3人の来日を提案されたが予算的に難しかったが「映画の買い付けでイタリアを訪れた時、監督とリマウ君に『東京で会いましょう』と言っており、呼ぶことになった」と告白する。

 

最後に、本作について、黒崎さんは「主人公らは、それぞれ違った理由で阻害されている生徒達。イタリアの都会トリノから田舎町に転校してきた子が触媒となり、3人が友達となり力強くなっていく」と延べ「いじめられている子や阻害されている子に勇気を与える映画。3人が仲良くなっていく時は表情が明るくなっていくのは見どころ」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『最初で最後のキス』は、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開中。また、9月8日(土)より京都・烏丸の京都シネマでも公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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