ベトナム戦争に従軍した青年の戦争体験と帰還後の葛藤を描く『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』がいよいよ劇場公開!
©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners
アレン・ネルソンの著書を基に、差別と貧困を逃れベトナム戦争に参加した青年が、帰還兵として戦場での記憶に縛られる様を描き出す『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』が9月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、『野火』の塚本晋也さんが監督・脚本を手がけ、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクション書籍を原作に、“戦争加害者の傷”というテーマに取り組んだドラマ。ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソンは、貧困や差別から抜け出すため18歳で海兵隊に入隊する。沖縄のキャンプ・ハンセンを経て、1966年にベトナム戦争の最前線へ送られた彼は、苛烈な戦場でただ人を殺すことを強いられ、命を奪う経験を重ねるうちに心の感覚を失っていく。やがて23歳で帰国した彼を待っていたのは、戦場の記憶に縛られる日々だった。大きな音や暗闇に怯え、家族との関係も崩壊しホームレスとなった彼は、絶望の淵へと追い込まれていく。退役軍人病院でカウンセリングを行うダニエルズ医師はそんな彼に真正面から向き合い、救い出そうとする。
本作では、ブロードウェイミュージカル「RENT」のオリジナルキャストとして知られるロドニー・ヒックスが主人公アレン・ネルソンを演じ、『シャイン』『英国王のスピーチ』等の名優ジェフリー・ラッシュが精神科医ダニエルズ役で共演。リリー・フランキーさんがアレンの活動をサポートする日本人の黒井役で出演し、全編英語での演技に挑んだ。2026年の第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、9月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・心斎橋のkino cinema 心斎橋や神戸・三宮のkino cinema 神戸国際で公開。
第二次世界大戦終結後、アメリカを中心とする資本主義・自由主義陣営と、ソ連を中心とする共産主義・社会主義陣営が、直接的な武力衝突を避けつつ世界中で覇権を争った冷戦の真只中、19世紀からのフランスによる植民地支配から解放され、ベトナムが独立しようとしていく中で、ソ連や中国が支援する北ベトナム(共産主義)と、アメリカが支援する南ベトナム(資本主義)が戦ったベトナム戦争。戦地から戻り除隊した元軍人が病んでしまった様子を描いたアメリカ映画はいくつもあったが、結局のところ、彼等の身には何があったのか、を1つの事例としてしっかりと描かれているのが本作だ。タイトルにあるネルソンさんこと、アラン・ネルソンは、貧困と人種差別から解放されるために18歳で海兵隊に入った。そこでの訓練では、人をこすることの躊躇いや罪の意識が薄れていくことに。やがて、戦地に赴くことになり、降り立ったのがベトナムだった、というわけだ。ベトナムでの出来事は回想録として描かれていくが、現地で遭遇したのは民間兵と彼等が守っている集落の家族。武器を持っているか、いないかの違いだけで、同じ人間の暮らしがあったわけだ。そこで軍人として戦っていくのだから、様々な感情が蠢いていたことだろう。そこで、本作のタイトルが頭を遮ってしまう。劇中では、自らの経験を小学生に伝えた際に質問されたこととして描かれていく。あなたが同様の立場だったら、子供達を前にして答えることができるだろうか。そして「あなたは、何故人を殺したか?」と退役軍人病院でカウンセリングを受けた医師から何度も繰り返し問われてしまう。軍人にならざるを得なかったネルソンさんが、如何にして自らの苦しみを解放し、本作の原作となる書籍を書くまでに至ったのか…その思いを汲み取りながら、じっくりと本作を鑑賞してみてはいかがでしょうか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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