リストラを実行する社員の心理を描く『ただ、やるべきことを』がいよいよ劇場公開!
©Nareun Cinema / Myung Films Lab.
リストラを進める人事部の社員が、仕事と良心の板挟みとなり苦悩する『ただ、やるべきことを』が1月17日(土)より全国の劇場で公開される。
映画『ただ、やるべきことを』は、2010年代に韓国の造船業界が直面した深刻な不況を背景に、リストラを断行しなければならない人事部社員たちの葛藤と決断をリアルに描いた社会派ドラマ。大統領の退陣を求める大規模な”ろうそくデモ”が行われた2016年の韓国、造船業は世界的不況に陥り、多くの会社がリストラや廃業を余儀なくされていた。漢陽重工業に入社して4年目になるジュニは人事チームに異動してすぐに、リストラ対象者の名簿を作るよう指示される。会社を立て直すためと自身を納得させ、やるべき仕事をこなしていくジュニだったが、会社都合で対象者が絞り込まれていき、親しい先輩と友人のどちらかを選ばなければならない状況に陥ってしまう。
本作では、『君の結婚式』等のチャン・ソンボムが主演を務め、2023年の第28回釜山国際映画祭にて”今年の俳優賞”を受賞。本作が長編デビュー作となるパク・ホンジュン監督が、造船会社の人事部で働いた自身の経験をもとに、職業上の義務と個人的感情の間で板挟みになる労働者の心理を描き出す。

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映画『ただ、やるべきことを』は、1月17日(土)より全国の劇場で公開。関西では、1月17日(土)より大阪・心斎橋のkino cinéma 心斎橋や兵庫・丹波のエビスシネマ、1月23日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、1月31日(土)より大阪・十三のシアターセブン、2月14日(土)より神戸・元町の元町映画館、2月20日(金)より兵庫・宝塚のシネ・ピピアで公開。
2010年代の韓国造船業界は、世界的な供給能力過剰、中国企業との過当競争、そして原油価格の下落による海洋プラント受注の減少等といった複数の要因が重なり、深刻な不況に陥った。特に、2008年の世界金融危機により交易量が大幅に減少し、造船需要が世界的に落ち込んだことが大きい。そんな不況下にもかかわらず、経営難に陥った造船所は、韓国政府の支援等により市場から退出せず、過剰な生産能力が維持された結果、船価の低迷が続いた。一部の韓国大手造船会社は、海洋プラント事業での巨額の損失計上等といった経営管理上の問題を抱えていたようだ。この不況により、韓国の主要造船会社である現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋の”ビッグ3”は軒並み数兆ウォン規模の赤字に転落し、大規模なリストラや事業再編を余儀なく敢行した。本作では、これらの大企業と同じ規模であるか定かではないが、同様の事態になっていたことが自然と察せられる。こういった情勢があったことを踏まえると、造船の現場で仕事に励んでいた社員に責任があるのだろうか、と思わずにはいられない。経営層の先読みが困難だったのだろうか。そこで、人事部に異動した若手社員が直面したのが、リストラ社員候補の人選。彼は、相手の顔が見えずとも、データに基づいた視点で、あくまで業務的に選んでいく。とはいえ、彼も1人の人間である。憤りを隠せずにはいられない方針転換をいくつも見せられ、居ても立っても居られない。彼は、人事の仕事をしている人間として、ただ”やるべき”仕事をしているだけだ。それだけなのに自分を苦しめているのが何とも歯痒い。そんな状況下において突然やって来たこの顛末を見せられたら、感情が落ち着くところを見出せないだろう。そういった意味でも鑑賞後には議論したい作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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