タローマンがシアター内を自由気ままに練り歩き!『大長編 タローマン 万博大爆発』べらぼうジャパンプレミア開催!

大阪万博が開催された1970年に想像された、2025年の近未来都市を舞台に、岡本太郎さんの作品がヒーローとなって、万博会場に来襲する奇獣たちと戦う『大長編 タローマン 万博大爆発』が8月22日(金)より全国の劇場で公開される。8月19日(火)には、大阪・吹田の109シネマズ大阪エキスポシティにタローマンや藤井亮監督を迎えジャパンプレミアが開催された。
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』は、「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組」というコンセプトのもと、芸術家の岡本太郎さんによることばと作品をモチーフに制作され話題を呼んだ2022年の特撮テレビドラマ「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」を映画化。1970年代の日本と、当時想像されていた未来像としての2025年「昭和100年」の日本を舞台に、夢と希望に満ちた未来の世界で戦うタローマンの活躍を描き出す。万博開催に沸き立つ1970年の日本に、万博を消滅させるため2025年の未来からやって来た恐ろしい奇獣が襲いかかる。でたらめな奇獣に対抗するにはでたらめな力が必要だが、未来の世界は秩序と常識に満ちあふれ、でたらめな力は絶滅寸前に陥っていた。CBG(地球防衛軍)は万博を守るため、タローマンとともに未来へと向かう。テレビ版に引き続きロックバンドのサカナクションから山口一郎さんが出演し、タローマンマニアという体裁でタローマンと岡本太郎さんについて語る。テレビ版を手がけた映像作家の藤井亮さんが監督・脚本を手がけ、自らアニメーションやキャラクターデザイン、背景制作なども担当して独自の世界観を構築した。[配給:アスミック・エース]
©2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会
今回、上映後に藤井亮監督とタローマンが登壇…するやいなや、タローマンがシアター内を縦横無尽に自由気ままに練り歩く始末。こんなことはありえない程にべらぼうな前代未聞な舞台挨拶が繰り広げられた。
藤井監督自身もタローマンの動きを読めない中で、どうにか冷静になってトークセッションをすることに。タローマンについて「彼はべらぼうででたらめな巨人」と紹介しながら、万博記念公園にある太陽の塔に一番近い劇場でジャパンプレミアを開催でき「太陽の塔はタローマンの聖地、タローマンが生まれた場所」と喜んでいる。そもそも、NHK Eテレの深夜帯で放送された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』が口コミで話題となった作品であり「深夜帯でしか放送していなかった番組なので、まさかこんなに広がるとは思わなかった」と監督自身も驚いているようだ。今回の長編映画化を受け「5分でおもしろいものが、105分もある映画に出来るのか」と周囲の方々には心配されたようで、お客さんの反応を気にしていたが、拍手をもらい安堵していた。長編化にあたり「長編なのに、ずっとでたらめをし続けていたら、観ていられないものがある。短いなら観ていられる。長く観ていられるけど、でたらめなものにするのが難しくて、苦労しました」と告白。当初、「おやすみタローマン」を105分もやる、という案もあったようだ。
作中では、”昭和100年”という世界観を構築しており、じっくりと時間をかけて作り込んでいる。技術的には1970年代映画の作風を施しており「現代の特撮技術ではなく、’70年代にあった技術をいかに使うか」に拘った。あえてアナログな手法を取り入れており「爆発シーンは、水槽にインクを垂らして爆発しているように見せている」と一例を挙げていく。とはいえ、CGやVFXを活用しているシーンもあり「タローマンの背景は合成ですが、基本的にはアナログで作ったものを合成している」と明かす。’70年代当時のフィルムで撮影しているように思わせるシーンもあり「フィルムで撮ったようなトーンを作りたかったので、一度作ったものをスクリーンに投影したものをもう一回撮影して荒らしをかけて古くしている」と説き、手間暇をかけていることが伝わってきた。だが、その傍では、タローマンが相変わらずシアター内を自由気ままに練り歩いている。劇伴についても、’70年代当時のフィルムは同時録音が出来なかったこともあり、同じような雰囲気を出すために全てアフレコで収録しており、あえて唇と音を合わせていない、といった凝りようだ。すなわち、出演者と声は別人であり「基本的に、”昭和”顔の人と”昭和”な声を出せる人をキャスティングした」と明かした。そこで、なるべく知られていない人を探したようだ。
そして、岡本太郎さんの言葉が何度も引用されている本作。万博がテーマであることから「岡本太郎が万博に対して抱いた思いをしっかりチョイスしたい」といったことを重点に置いており「TV版でも沢山の言葉を使っているが、そこにはなかった言葉を探して使いました」と話す。1970年の万博を再現したかのようなシーンもあるが「当時を映像を借りてきて合成している。ちょっとズレているところからリアリティを探っていった。僕もリアルタイムではないので、イメージの万博ではあるんですけど…」と謙遜。監督自身は、’70年の万博については憧れがあり「(劇場の)すぐ近くにある鉄鋼館が大好きで、ワクワクするんですよね、熱気を感じて。好きな万博を表現できた」と満足している。なお、フィルム上映の雰囲気を活かすために、フィルムチェンジの目印となる黒点を再現しており、15分に1回程度のペースで黒点が表示されており、ある種の注目ポイントではあるようだ。撮影にあたり、ビデオコンテとして紙芝居的な映像をベースとして制作しており、キャストの動きは細かく演出しているようだが、タローマンに関しては自由にしているとのこと。
さらに、今作に登場するキャラクター達が大集合。地球防衛軍(CBG)隊員、未来を見た、地底の太陽、CBG隊長、風来坊らが勢ぞろい。主題歌「爆発だ!タローマン」と共にシアター内がダンスタイムとなった。そして、最後に藤井監督は「でたらめな空間になってしまったんですけど、皆さんに映画を楽しんでくれたら、こんなに嬉しいことはない」と皆さんの反応を受けとめ、舞台挨拶を締め括った。
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』は、8月22日(金)より109シネマズ大阪エキスポシティほか全国ロードショー。
1970年大阪万博の跡地である万博記念公園内には岡本太郎のデザインにより建てられた「太陽の塔」や大阪万博の記念館「EXPO’70パビリオン」など当時の熱気を感じられる建物が残っています。また、2018年より太陽の塔の内部を事前予約制で一般公開しています。
万博記念公園ホームページ https://www.expo70-park.jp/
太陽の塔オフィシャルサイト https://taiyounotou-expo70.jp/
万博記念公園情報
住 所:〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園
時 間:9:30~17:00 (最終入園16:30)
料 金:大人260円、小中学生80円(自然文化園・日本庭園共通入園料)
休園日:毎週水曜日
コールセンター 0570-01-1970 / 06‐6877‐7387(9:30~17:00)

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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