荒廃した学校にやってきた数学教師が希望を生み出す『バーラ先生の特別授業』がいよいよ劇場公開!

©Fortune Four Cinemas ©Sithara Entertainments ©Srikara Studios
教育者ランガイヤ・カデルラの半生に着想を得て、1990年代のインドを舞台に、僻地の公立校に赴任した教師が平等な教育を目指す『バーラ先生の特別授業』が4月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『バーラ先生の特別授業』は、1990年代のインドを舞台に、地方の公立学校に着任した新人教師が、生徒たちの平等な教育の機会のために情熱をささげる姿を、実話をモデルに描いたドラマ。経済自由化と教育制度の改革により、インドでは多くの私立教育機関や予備校が設立され、高い授業料に応じた質の高い授業が提供されるようになった。しかしその一方で、公立学校は有能な教員が私立校に引き抜かれ、低階層の生徒は家計を助けるために授業を放棄するなど、教室が成立しない状況だった。チョーラワラム村の公立校に赴任してきた数学教師バーラは、さまざまな障害に立ち向かいながらも、受け持ちの生徒たちが共通試験で良い成績を収めることができるよう奮闘する。
本作では、タミル語映画界で俳優、プロデューサー、監督などマルチに活躍し、『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』『グレイマン』等、インド国外の作品にも出演しているダヌーシュが主演を務めた。監督は、今作が長編4作目のベンキー・アトゥルーリ。インド・テランガーナ州の僻地にある公立校で教育の状況を改善し、インド政府から教員向けの国家賞を授与されたランガイヤ・カデルラ氏の半生にヒントを得て作られた。
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映画『バーラ先生の特別授業』は、4月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮kino cinema 神戸国際等で公開。

インドは世界有数のIT大国であり、多くの優秀なエンジニアを輩出している。その要因として、教育において数学が非常に重視されていることも大きい。それは、フィクションがあるにせよ、本作に登場するような先生がいたからであろうか。1990年代のインドでは、経済自由化と教育制度の改革によって、私立教育機関や予備校が設立され、より良い教育を受けるなら早々の授業料が必要となり、公立校は淘汰されてしまったことから、私立校から公立校に先生が派遣されることに…って、どこかの自治体が行った改革の行く末を案じさせるような展開だと感じられる…それはさておき…そこで派遣されたのがタイトルにあるバーラ先生。意気揚々と現場に向かい歓迎されたかと思ったが、実態は悲惨な状態。大人も子ども達も教育の重要性や優先度が理解されていなかった。その時点から生徒を学びの場に戻すことから始まっていく。そして、インドならではのカースト制や女子への偏見や貧困の問題に対して真摯に向き合い説いた上で、教育は皆にとって平等であることを広めていく。されど、そんなバーラ先生の方針が気に食わないのが、教育産業の経営者。自らの利益に影響を及ぼしそうなことについてはどんな手を使ってでも使っていく。それにたいしても、ユニークな手法を用いて教育を止めないバーラ先生には畏れ入るばかり。本作冒頭に登場するモノの由縁に気づかされた時には驚かざるを得ない。いわゆる伝記映画をインド映画ならではの手法で喜怒哀楽の要素をたっぷりと詰め込んだエンターテインメント作品をどうぞご覧あれ。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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