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不穏な出来事が相次いで起こり始めることで、女性の日常が乱れていく様子を描く『愛に乱暴』がいよいよ劇場公開!

2024年8月27日

©2013 吉田修一/新潮社 ©2024 「愛に乱暴」製作委員会

 

無関心な夫や義母からのストレスを避けた暮らしで日々を充実させていた女性の周りで、不穏な出来事が起こり始め、平凡な日常が徐々に崩壊していく『愛に乱暴』が8月30日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『愛に乱暴』は、愛の歪な衝動と暴走を緊迫感あふれるタッチで描いたヒューマンサスペンス。初瀬桃子は夫の真守と共に、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。桃子は義母の照子から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、石鹸教室の講師やセンスある装い、手の込んだ献立といった“丁寧な暮らし”に勤しんで日々を充実させていた。そんな中、近隣のゴミ捨て場で不審火が相次いだり、愛猫が行方不明になったり、匿名の人物による不気味な不倫アカウントが表示されるようになったりと、桃子の日常が少しずつ乱れ始める。

 

本作は、『悪人』『怒り』等で知られる作家の吉田修一さんによる小説を江口のりこさん主演で映画化。徐々に平穏を失っていく主人公の桃子を江口さんが演じ、夫の真守を小泉孝太郎さん、真守の母である照子を風吹ジュンさんが演じた。監督は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大さんが務めている。

 

©2013 吉田修一/新潮社 ©2024 「愛に乱暴」製作委員会

 

映画『愛に乱暴』は、8月30日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。

森ガキ侑大監督は、『おじいちゃん、死んじゃったって。』では、死の裏側で育まれていく新たな生について一種の爽やかさを伴って描き、『さんかく窓の外側は夜』では、ある種の死後の世界に重心を寄せながら、生に対する執着を見出す作品を描き出した。本作においても、生や死について描いているが、コロナ禍によって撮ることが出来なかった作品を経て、多様な女性のあり方や生き方を描いている。”丁寧な暮らし”に勤しむ専業主婦を主人公としながらも、その姿について他人の視点ではどのように捉えられるか、多様に表現していた。夫にとっては、妻が自らの選択によって楽しんでいれば良いもので、相容れないものがあるように伺える。母屋と離れによって二世帯住宅のごとく住んでいる義母にとっては、表向きは丁寧に対応しながらも、疎ましく感じているところは隠しきれない。夫の実家に住んでいる妻が心に抱えているものを不穏に描きながら、この状況下において如何にして強く生きていくことが出来るのか。古くから同じような出来事がいくらでも世の中で起きていただろうが、現代社会に生きる女性の在り方について丁寧に、そして時には大胆に描き切った作品であった。江口のりこさん演じる主人公の桃子が最後の最後に見つめる表情から感じ取ったものを大切にして本作を観終えたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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