幕末の京都から現代の時代劇撮影所へタイムスリップした侍を描くチャンバラ活劇『侍タイムスリッパー』がいよいよ劇場公開!
©2024未来映画社
時代劇の撮影所にタイムスリップした幕末の侍が、斬られ役として第2の人生を歩もうとする姿をコメディタッチで描く『侍タイムスリッパー』が8月17日(土)より劇場で公開される。
映画『侍タイムスリッパー』は、現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の侍が時代劇の斬られ役として奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。
本作では、テレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也さんが主演を務め、冨家ノリマサさん、沙倉ゆうのさんが共演。『ごはん』『拳銃と目玉焼』の安田淳一さんが監督・脚本を手がけ、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた。
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映画『侍タイムスリッパー』は、8月17日(土)より東京・池袋の池袋シネマ・ロサ、8月30日(金)より神奈川・川崎のチネチッタで公開。また、関西では京都の劇場で公開予定。
大笑いして、ポロポロと泣いて、最高の余韻を残す。蒼天を見上げるように爽やかな素晴らしい作品に出合ってしまった。
主人公の高坂新左衛門の曇りのない実直さを演じる、山口馬木也さんが素晴らしい。精悍で正直なサムライの芯の強さも、未来に迷い込んで戸惑いながらも人々と心を交わしてゆくその温和な佇まいも、人物として魅力に溢れているのだ。
新左衛門が「ここは未来なのか」と気づく展開も自然で上手い。ショートケーキを初めて食べる場面の会話には、観ているこちらの目にも涙が滲み、未来に飛ばされた後の「その歴史」を知らされる件では共に嗚咽した。タイムリーパーの孤独もしっかり描写した、時間SF的にも良いところを突く構成が素晴らしい。とはいえ、時代劇やタイムスリップもの、というジャンルの嗜好は関係ないのだ。「武士が現代に突然やってきた」というフィクションさえ受け入れられるなら、あとは万人が楽しめる物語になっていることを保証する。
愛国心や武士の魂といった大きな言葉も頭をよぎりはするが、それよりもただ自分の生まれ育った世界を愛し、同じ世を生きる人々に慈しみの心を抱く、そんな新左衛門の真っすぐな姿に心を掴まれる。観終わった後は温かい気持ちと笑顔でいっぱいになる、この映画の清々しさと志の高さに拍手を送りたい。いま一番オススメしたい良作だ。
楽しかったぞ、おぬし達の作った映画が観られて!
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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