やりたいことがやれない方の背中を押せる作品になっていたらいいな…『魔女の香水』桜井日奈子さんを迎え舞台挨拶開催!
バンケットホールの派遣社員から、転職を求め香料会社で働き始めた女性が、香りに魅了され未来を切り開く『魔女の香水』が6月16日(金)より全国の劇場で公開中。6月18日(日)には、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマに桜井日奈子さんを迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『魔女の香水』は、香水をテーマにひとりの女性の成長を描いた人間ドラマ。華やかなセレブが集まるバンケットホールで派遣社員として働く若林恵麻は、正社員になって一流の仕事をすることを目標に奮闘していたが、後輩へセクハラ行為を行った上司に抗議したことで職を失ってしまう。自暴自棄に陥った彼女は、夜の街のスカウトマンに連れられ、「魔女さん」と呼ばれるミステリアスな女性の白石弥生が営む香水店を訪れる。その店を手伝うことになった恵麻は、弥生から授けられた言葉と香りを通し、自分の未来を切りひらくのは自分自身だと気づく。ある日、恵麻は金木犀の香りをまとった実業家の男性である横山蓮と出会う。やがて香料会社で働きはじめた恵麻は、営業先で蓮と再会を果たす。香水店の店主である弥生を黒木瞳さん、恵麻を桜井日奈子さん、蓮を平岡祐太さんが演じる。監督・脚本は『JAZZ爺MEN』『たった一度の歌』の宮武由衣さんが務めた。
上映後、桜井日奈子さんが登壇。岡山県出身の桜井さんは、学生時代はUSJによく遊びに来ていたこともあり、馴染みがある。先週も本作の舞台挨拶で来阪しており、天神橋筋六丁目の御寿司屋さんに駆け付け「凄い美味しかったです。穴子をいっぱい食べました。穴子に始まり穴子に終わりましたね」と御満悦の様子だ。なお、この舞台挨拶の後には直ぐに岡山に移動するようで、慌ただしくも和やかな舞台挨拶が繰り広げられた。
香りにフォーカスした本作。劇中で桜井さんが嗅いでいる香水について、宮武監督が本物の香水を準備しており「実はお水が入っていてお芝居で香っているように見せることもありますが、監督が拘って下さったので、お芝居が出来た」と満足している。特に恵麻が覚醒するシーンで用いられており「魔法にかけられているような、ふわっと酔っているようなイメージでした」と思い返す。恵麻は三度の覚醒を以って素敵な女性へと成長しており「23歳から30歳、7年を2時間で見せないといけない。自分の中で恵麻が成長していく過程はシーン毎で気持ちを変えていましたね」と振り返る。なお、香料会社で働きはじめた恵麻が遭遇する上司については「リアルにそういう状況にある方もいるんじゃないかな」と想像し演じていた。
撮影の日々を振り返り「エメラルド倶楽部でのパーティーシーン、その後に蓮さんとのベッドシーン、霊安室のシーンを1日に撮ったのはハードでしたね」と苦笑い。「最後の霊安室のシーンは12時を回っていたんですが、あの空間に足を踏み入れただけで、パンッと弾けてしまいそうなくらい気持ちが辛くて…」と気持ちの切り替えも大変だったようだ。そんな桜井さんの様子を鑑みた宮武監督は「一発でいきましょう」と発し、テスト無し本番一発で撮影を終えられた。なお、当日は、サッカーワールドカップの試合があり、サッカー大好きな平岡さんは「よっし帰られる。試合に間に合うぅ。ありがとう」と喜んでいたことを明かす。また、平岡さん演じる蓮が窮地に追い込まれお金に困っている状況に対し、桜井さんは「私だったら貸してしまうかもしれない。大好きな人だし、色々疑わしいけど、その気持ちを留めておくのに貸してしまうかも」と正直に話しながらも「貸さない、と言った恵麻は強い。その結果、自分を信じられなくて、凄く悔いることにはなるけど、貸さなくてよかったね、という声の方が大きいですね」と真摯に伝えた。
思い出深い香りについて聞かれ、桜井さんは「実は、この作品に出会うまで、香水にあまり興味がなかった」と告白。そこで「私も恵麻と一緒に勉強していこう」と決意し、調香監修を担った大沢さとりさんのアトリエを訪問し、香水について教えを授かり、ノートにまとめて劇中でも使っている。撮影では小道具として扱われるが「通常はスタッフさんが事前に準備して下さるが、それはあまりにも愛がないというか…自分で苦労して作ったノートの方が役に入り込めるんじゃないか」と捉えており「お洋服やメイクをその日で変えるのと同じように、香水もその日になりたい自分に向けて選んでいる。選ぶ楽しみが増えることで自分の人生が豊かになる、と知ることが出来て良かったな」と感謝していた。
本作を観た桜井さんは「黒木さんが演じた弥生さんと私が演じた恵麻を観ていて、タレントとマネージャーのような関係だな」と感じており「弥生さんは、恵麻が失敗して壁にぶち当たった時に誘導してくれる」と説く。「『もっとこうしたらいいんじゃない?』『挑戦してみたらいいんじゃない?』は、私が日々マネージャーさんに言われていること。『一緒に頑張ろうね』っていう…」と明かし「私にとっての弥生さんはマネージャーさんで、観ている方それぞれに弥生さんのような頼りに出来る人や導いてくれる人がいるはず。皆はどういった方を想像するんだろう。それが上司だったり恋人だったり親だったりそれぞれにあると思います」と楽しみにしている。リピーター向けには「香水屋さんに置いてある香水は凄くお高いんですよ、全部本物なので。数百万円のものもあれば、値段が付けられないような美術館に飾ってあるようなものが置いてあるんですよ」と伝え「セットはそんなに広くないので、倒したらどうしよう、とドキドキ。本番以外は端によけておきました。良い香水は瓶から拘っている」と解説。また、働く女性を応援する映画として製作された本作について「今、働く女性を応援しよう、と日本もそういう流れになってきてる、とは思うけど、実は、そういう環境下にない方もいる。恵麻のように上司に圧力をかけられて、やりたいことがやれない方の背中を押せる作品になっていたらいいな」と考えており「自分のやりたいことを邪魔する人に負けて、やりたいことがやれないのは本当に勿体ないこと。だから、早く弥生さんや霧子さんのような自分を応援してくれる人、一緒にこの人とだったら頑張りたいと思える人を探してほしい」と思いを込めている。
最後に、桜井さんは「この作品、魔女さんから背中を押されるような力強い言葉が沢山あったと思います。どれか一つでもいいので、持って帰って、明日、自分が頑張ろう、と思えるような力にしてもらえたら嬉しいと思います。これからも応援宜しくお願いします」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『魔女の香水』は、6月16日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OS等で公開中。
Photo by りらいと
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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