満州国のハルビンで極秘作戦に挑むチームの奮闘描く『崖上のスパイ』がいよいよ劇場公開!
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満州国のハルビンを舞台に、ソ連で訓練を受けた共産党のスパイチームが遂行する命懸けのミッションをスリリングに描きだす『崖上のスパイ』が2月10日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『崖上のスパイ』は、中国の巨匠チャン・イーモウ監督が、1930年代の満州を舞台に描いたスパイサスペンス。1934年、冬。ソ連で特殊訓練を受けた男女4人のスパイチームが、極秘作戦「ウートラ計画」を実行するため満州国のハルビンに潜入する。彼らの目的は、日本軍の秘密施設から脱走した証人を国外脱出させ、同軍の蛮行を世界に知らせること。しかし仲間の裏切りによって天敵・特務警察に計画内容が察知され、リーダーのチャン・シエンチェンが捕まってしまう。残された3人と彼らの協力者となったジョウ・イーは、どうにかピンチを切り抜けるべく奔走するが……。
本作では、『山河ノスタルジア』のチャン・イー、『わたしは潘金蓮じゃない』のユー・ホーフェイ、『ドリアン ドリアン』のチン・ハイルー、『1950 鋼の第7中隊』のチュー・ヤーウェン、『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』のリウ・ハオツンが出演。2021年の第34回金鶏奨で監督賞、主演男優賞(チャン・イー)、撮影賞を受賞した。
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映画『崖上のスパイ』は、2月10日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
雪原の白、黒いコートがなびく主人公たち。暖色の街灯にうっすらと照らされた灰色の街角。鮮やかな色彩のコントラストとスタイリッシュな画面構成とのビジュアルに、ことごとく心を掴まれる。チャン・イーモウ監督の作風は、心温まる人情味豊かな作品と、豪快なアクションと映像美で見せるエンターテイメントの二系統があると理解しているが、今回は後者だ。決死のスパイ侵入作戦は情報は敵に筒抜け。捕まれば即死刑。孤立無援、四面楚歌の状況から、絶望的な展開をまたいでからの、意外な視点変更まで、本当に目が離せない。
新作を撮る度に積極的にまだ無名の俳優を起用し、とりわけ美少女ヒロインを発掘することで定評のあるチャン・イーモウ監督。今回もその目利きは健在で、正確には監督の前作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』で世界中に知られることとなったリウ・ハオツンが、いまだ失われない初々しさと、堂々とした存在感とが本作では一際輝いている。強面そろいの中年エージェントたちに囲まれた中で、あまりにも華奢で可憐、ミステリアス風貌は「そんな幼くて可愛いスパイはいないだろう」というツッコミではなく「このあどけなさと目力は…きっと、小さい頃から物凄い訓練で鍛え上げられたに違いない!」と確信したい。
「明けない夜はない」という言葉とともに、革命で散った者たちに捧げるエンディングの歌詞もエモーショナルだ。作品が描いている時代背景と、この予算規模の大作を製作するバジェットを誰が出資するのかとを考えると、最後に漂う雰囲気は予想の範囲内か。だが、今回のような重いストーリでも、こんな風にウェットな締め方をするのが、チャン・イーモウ監督が持つ作家性のブレなさである。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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