標的はドイツ人600万人、ユダヤ人による復讐計画描くサスペンス『復讐者たち』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)2020 Getaway Pictures GmbH & Jooyaa Film GmbH, UCM United Channels Movies, Phiphen Pictures, cineplus, Bayerischer Rundfunk, Sky, ARTE
ホロコーストから生還したユダヤ人男性が、虐殺された妻子の仇を取るべく、ナチス残党の殺害を企てる姿を描く『復讐者たち』が8月6日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『復讐者たち』は、ホロコーストを生き延びたユダヤ人たちによる復讐計画の行方を、史実を基に描いたサスペンスドラマ。1945年、敗戦直後のドイツ。ホロコーストを生き延びたユダヤ人マックスは、収容所で離れ離れになった妻子がナチスに殺されたことを知り、復讐を決意する。ナチス残党を密かに処刑しているユダヤ旅団に合流したマックスは、より過激な報復活動をするユダヤ人組織「ナカム」に参加。彼らはドイツ人600万人を標的にした驚くべき復讐計画「プランA」を企てていた。
本作は、『ザ・ゴーレム』のドロン&ヨアブ・パズ監督が、復讐計画の生存者への取材を基に脚本を執筆しメガホンをとっている。『イングロリアス・バスターズ』『名もなき生涯』のアウグスト・ディールが主人公マックスを演じ、『ブレードランナー 2049』のシルビア・フークスらが共演。
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映画『復讐者たち』は、関西では、8月6日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、8月13日(金)より京都・烏丸の京都シネマで公開。
ホロコーストを生き延びたユダヤ人達、生への渇望に対する喜びに満ち溢れた方もいただろう。だが、ナチス・ドイツに対する憎しみが消えない人達も実際にいた。さらには、ドイツ人に対する憎悪へと発展してしまったら…本作は、恐るべき復讐計画が企てられていたことを伝える一作である。計画の実現に向けて準備されていくプロセスの描き方はスパイ映画を見せられている気分にもなった。とはいえ、ドイツ人600万人を標的にした驚くべき復讐計画だ。その中には、罪のない子供達も含まれている。良心の呵責に苛むことも実際にはあっただろう。様々な感情が蠢いていく中で、彼らが下した決断とその行動の描き方を見せられると、ヒューマンドラマとして見応えのある一作である。
主人公のユダヤ人マックスを演じたアウグスト・ディールが出演した『名もなき生涯』では、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに併合されたオーストリアを舞台に、良心的兵役拒否の立場から度重なる従軍命令とナチスの軍門に降った教会の指示に従わず、ひたすらに自分の信念と妻や娘への愛に生き、36歳で処刑された実在の農夫フランツ・イェーガーシュテッターの生涯を演じた。本作とは相反するキャラクターを演じているようにも思えてしまう。だが、妻や娘に対する思いは共通しており、ナチスに対するどういった行動が脅威となり得るのか、と考えられている人物像でもある。鋭いまなざしから優しさと狂気が伝わってくる、ドイツ人俳優としての凄みを感じさせられた。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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