残りの寿命は92分!人生やり直しを図る中年男描く『ワン・モア・ライフ!』がいよいよ劇場公開!
(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie
シチリア島パレルモの街を舞台に、交通事故で死んだ中年男が92分間だけ寿命を延長され、家族との絆を取り戻そうと奮闘する姿を、リアルタイムで進行するような疾走感溢れる演出で描く『ワン・モア・ライフ!』が3月12日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ワン・モア・ライフ!』は、シチリア島パレルモを舞台に、交通事故に遭って死んだ中年男が92分間だけ寿命が延長され、天国から舞い戻るさまを描く。思いがけず人生のロスタイムを手に入れた中年男性の奮闘を通し、「幸せとは何か? 家族とは何か?」を描き出す。シチリア島パレルモで暮らすパオロは、いつも通る交差点で交通事故に遭ってしまう。死の瞬間、彼の脳裏によぎったのは愛する妻や子どもの姿ではなく、恋人に告げられた深すぎる言葉や客待ちタクシーの列の謎など、他愛のないことばかり。予想以上に短い寿命に納得できず天国の入口で猛抗議すると計算ミスがあったことが発覚し、92分間だけ寿命を延長してもらえることに。地上に戻った彼はこれまでの自分勝手な生き方を改め、限られた時間の中で家族との絆を取り戻そうとするが…
本作は、『ローマ法王になる日まで』のダニエレ・ルケッティが監督・脚本を手がけ、イタリアで大ヒットを記録したコメディ。主演は『マフィアは夏にしか殺(や)らない』など監督としても活躍するピエルフランチェスコ・ディリベルトやトニー・エドゥアルトがキャストに名を連ねた。
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映画『ワン・モア・ライフ!』は、3月12日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田、難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸をはじめ全国の劇場で公開。
まさに人生の走馬灯を描いたかのような本作。人生は、生きるか死ぬか、の狭間にある絶妙なバランスの中で存在している。ちょっとでもバランスが崩れたら、あっという間に天国行きだ。日本人が古くから思い描いてきた天国という存在。イタリア人にとっては、お国柄のせいか、こんなにもポップに描かれるのか、と興味深い。亡くなったものにしか到達できない雲の上の世界。ふと思い出したが、昨年公開されたキム・ギドク監督の『人間の時間』はひょっとしたら天国での話だったのか、と考えてしまった。
近年、日本で公開されるイタリアン・コメディは社会情勢を描きながらも、ユニークでおもしろい。今年は日本版リメイクも公開された『おとなの事情』や、『いつだってやめられる』シリーズが挙げられる。ダメ男が主人公でありながら、どこか憎めず気づけば応援したくなるキャラクターは欠かせない。本作においても、家族から見放されていたとしても、やっぱり人生は悔いだらけでも、どこかに希望があると信じてあきらめない主人公が描かれている。さらにコメディー要素だけでなく、シチリアという美しいロケーションを舞台にしているので、アートを見せられているかと思うような画作りも興味深い。なんだか不思議な作品を観ている気分だった。92分間だけ寿命を延長してもらえた主人公のパオロがどのような行く末を迎えるのか乞うご期待!
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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