閉館した映画館の元支配人が、劇場が入るビルの取り壊しをきっかけに自分の原点をたどる『かぶと島が浮く日』が関西の劇場でも公開!
©いわくに映画製作委員会
山口県岩国市を舞台に、閉館した映画館の元支配人が、取り壊しを機に自らの原点をたどる姿を描く『かぶと島が浮く日』が10月30日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『かぶと島が浮く日』は、山口県岩国市を舞台に、変わりゆく街の風景とそこに生きる人々の記憶を静かに描き出すヒューマンドラマ。閉館した映画館の元支配人である幹男は、劇場が入っていたビルの取り壊しをきっかけに、自らの過去と向き合い始める。一方、高校時代からの親友である信弘は、父親の認知症に向き合うことができず葛藤していた。再開発によって大きく姿を変えようとする街の中で、ふたりの人生が交差し、消えゆくものと新たに生まれるものの狭間で、それぞれの思いが浮かび上がっていく。
本作では、岩国市出身の俳優である松林慎司さんが自身の原点の地で初プロデュースと主演を務め、『いっちょらい』『轟音』などで松林さんとタッグを組んできた片山享さんが監督・脚本を手がけた。物語の中心となるのは、岩国最後の映画館と呼ばれ、2012年に閉館した岩国ニューセントラル。現存する劇場でロケを行い、再開発の足音とともに消えゆく劇場の息遣いや時間の蓄積を映像に焼き付けた。ドロンズ石本さん、岡本信人さん、篠田諒さん、佐伯日菜子さんらが共演している。

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映画『かぶと島が浮く日』は、関西では、10月30日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、10月31日(土)より大阪・十三のシアターセブンや、神戸・元町の元町映画館で公開。10月31日(土)には元町映画館で、10月31日(土)と11月1日(日)にはシアターセブンとアップリンク京都で、松林慎司さんとドロンズ石本さんと篠田諒さんと片山享監督を迎え舞台挨拶を開催予定。
私が生まれ育った故郷にも映画館が2つあった。日本映画専門と外国映画専門の劇場が1つずつ、親に連れて行ってもらったり、高校生になって以降は、通学帰りにも通ったものだ。そんな劇場も今では1つだけになった。数年前に閉館した劇場の場所に行ってみたら、跡形もなく駐車場になっており、時の流れを感じずにはいられない。生まれて初めていった映画館が無くなってしまうことはとても無情な出来事である。本作に登場する岩国ニューセントラルは、2012年9月28日に休館(実質閉館)した山口県岩国市で最後の映画館であったことから、思い入れのある方もいらっしゃったのではないだろうか。閉館後もスクリーンや座席、映写室などがほぼ当時のまま残されていたが、岩国駅前再開発に伴い、2025年の春にビルが取り壊しとなったようだ。今作のプロデュースと主演を務めた俳優の松林慎司さんは、ほぼ当時のままの姿で残っていることに衝撃を受け、次々と思い出がよみがえってきたようだ。本作を鑑賞していく中でも、劇場自体は綺麗な状態で残っているように感じるが、劇場を保存し続けることはできない。だが、映像として残すことには意義があるのではないだろうか。そこで、ドキュメンタリー映画ではなく、物語のある劇映画にするこことが俳優ならではの仕事ではないだろうか。それは、岩国という場所自体を全国の方々に知ってもらう機会にもなるだろう。物語の中では、変わりゆく街の姿と、自らの家族と街への変わらない思いが交差していく中で揺れる情景描写を丁寧に描いていた。松林さんの想いが丹念に込められている作品が、長い期間をかけて全国で上映されていくことを願ってやまない限りだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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