社会に居場所を探す男性同性愛者の苦悩を描いた『半端者』がシアターセブンでも公開!
ソーシャルワーカーの男性のもとに届いた、かつての同級生の日記を通じて、父としての葛藤や彼の息子が抱える悩みを描き出す『半端者』が9月26日(土)より大阪・十三のシアターセブンでも公開される。
映画『半端者』は、居場所を探す若者を中心に、たったひとつの過ちがすべての歯車を狂わせていく様子を、4つの年代を交錯させながら描き出す。妻や息子と暮らす神林大智のもとに、身に覚えのない小包が届く。その中には、20年以上前に関係を断った友人である五十嵐英太の日記が入っていた。余命わずかな英太に代わり看護師が送ってきたのは、高校時代から現在までをつづった彼の人生の記録だった。日記を読んだ大智は、英太の同性愛者としての苦悩を知る。高校時代、英太は同級生の柔道部員である優輝に恋をするが、そのことを周囲に知られると壮絶ないじめに遭う。卒業後、上京した英太は、困窮して倒れたところを当時大学生の大智に助けられる。英太は大智のアパートに居候して数年を過ごすが、やがて2人の関係に変化が訪れる。そして現在、思春期の息子である拓海との関係に悩む大智は、英太の感情を受け止められなかった後悔とあわせて、他者を理解することの難しさを痛感する。
本作では、ゲイ当事者の視点から人間の本質をとらえた小説「半端者」を、その原作者である東慶太さんが10年の歳月をかけて自主制作で映画化。『海抜』の阿部倫士さんが英太役で主演を務め、俳優のほか脚本家や監督としても活動する遠藤祐太朗さんが大智役、2025年に当時13歳にしてオリジナルミュージカル舞台「カミヒト」をプロデュースしたアーティストの高梨元秀さんが大智の息子である拓海役で共演している。

映画『半端者』は、9月26日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。9月26日(土)と9月27日(日)には、東慶太監督を迎え舞台挨拶を開催予定。
社会的マイノリティとしての自身の体験、家族や友人、社会で起きた事柄をベースに、あくまで一人の男の半生を描いた小説を描いた東慶太さん。それだけにとどまらず、10年の歳月をかけて自主制作で映画化したことに彼の執念を感じざるを得ない。『半端者』というタイトルであるが、不器用にしか生きられない若者を象徴するようなタイトルであり、社会的マイノリティであるかどうかに関わらず、共感できる方は若者に限らず多くいるのではないだろうか。そして、注目すべきは、本作につけた初期タイトルだ。それは『CREEP』。想起する方も多いのではないか。あのRADIOHEADの名曲である。「Creep」の歌詞では、この単語は、”気味の悪いひと“や”変人”と訳されることが多い。だが、この歌詞の世界について理解を深めていくほどに、狂おしい程に相手を愛する感情が伝わってくる。「Creep」の歌詞にある世界観を映像化したといっても過言ではない映画が本作と云えようか。最初は、純粋な気持ちを以て、不器用ながらも相手への愛しい気持ちを主人公は表現していく。相手は、その気持ちを理解することが出来るが、世間の目に憚られ、単純に受け入れることが出来ない。これが、現実だ。その後も広い社会に出ても不器用にしか相手を求めるが出来ないが、その健気さを受け入れてくれる人がいることを願うばかり。ささやかな幸せを手に入れたとしても、ふとした瞬間に崩れてしまうことに刹那さを感じずにはいられない。だが、その瞬間に人は如何様にも変化してしまうことに愕然としてしまう。この物語の行く末にて、少しでも希望の光が射すことを願ってやまない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















