新しい気持ちの3人が揃ってスタートして、ずっと続いていく…『さとこはいつも』姫野花春さんと沖田修一監督を迎え舞台挨拶付き関西先行上映開催!
“さとこ”という同じ名前を持つ、まったく他人の3人の女性たちの人生が、それぞれに自分の人生を小説として書き始めたことをきっかけに、交差し始める様を描く『さとこはいつも』が9月18日(金)より全国の劇場で公開。8月27日(木)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに姫野花春さんと沖田修一監督を迎え、舞台挨拶付き関西先行上映が開催された。
映画『さとこはいつも』は、長編映画デビュー20周年を迎えた沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の”さとこ”という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた人間ドラマ。15歳の中井聡子は鼻炎持ちの中学3年生で、学校ではソフト部に所属し、同じ耳鼻科に通う同級生に恋をしている。国語教師から文章を書くよう勧められた彼女は自分の初恋物語に着手するが、初恋相手に対する妄想が暴走してしまう。姪と韓国カルチャーを愛する35歳の西田沙都子は、映画配給会社の宣伝部で働いている。6年目になる不倫が倦怠期を迎えている彼女は、自分の人生を振り返りながら不倫の日々についてつづっていく。55歳の飯島里子は子育てがひと段落し、ようやく自分の時間を持てるようになった。かつて作家になる夢を抱いていたことを思い出した彼女は、自分の初恋の物語をノートに書きはじめる。まったく違う人生を歩む3人の”さとこ”たちだったが、それぞれ自分の人生を小説としてつづるうちに、他人だったはずの3人の物語は少しずつ交差していく。有村架純さんが35歳の沙都子役、石田ひかりさんが55歳の里子役、オーディションで選ばれた姫野花春さんが15歳の聡子役で主演を務め、聡子の心を揺さぶるミステリアスな国語教師役で吉田羊さん、沙都子の不倫相手である印刷会社の営業マン役でオダギリジョーさんが共演。さらに筒井道隆さんが里子の夫役を務め、テレビドラマ「あすなろ白書」から33年の時を経て石田さんと夫婦役で再共演を果たした。
今回、上映後に姫野花春さんと沖田修一監督が登壇。作品に対する素朴で素直な思いが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。
京都出身の姫野さんは、中学生の頃に親友と大阪へ遊び来ることがあり「美味しい小籠包がある中華料理屋さんに連れてってくれたり、習いごとで来る機会も偶にあったりしたので、大阪はキラキラした感じ」と印象に残っている。沖田監督は、最近では大阪へ来た際、太陽の塔の中に入って岡本太郎さんの世界に驚いたり、国立民族学博物館で何時間も過ごしたりしたそうだ。また、本作にちなんで、自分らしくいられる場所について、姫野さんは「習いごとや映画館に行く時に自転車でいつも移動していたんですけど、鴨川をよく通って、人がいないところで、学校の音楽の(授業の)歌のテストがあって日本の名曲を練習が歌っていたので、ある意味、練習場所であったのかもしれない」と振り返る。また、沖田監督は、キャベツ焼きを挙げていった。

今回、関西キャンペーンがあり、2人は1日中ずっと話してきたことを思い返し、姫野さんは「喋り倒し倒して喋り倒して喋り倒して…」と言うしかない。そんな様子を見て、沖田監督は「たくさん話したので、頭の中が今ふわっとしてるんですよね」と共感。だが、姫野さんに「横にいる沖田監督の目が最初の方は凄く開いていたのに、どんどん半目ぐらいになってきて…」と指摘され、苦笑するしかない。
映画初出演かつ初主演となった姫野さんは、撮影現場を振り返りながら「現場のこととか映画作りのことが何も分からないところからのスタートだったので、最初は全く想像できなかったんです。けれど、沖田監督やスタッフの皆さんから、いつも沢山のことを教えていただいて、大変なことも沢山あったけれど、楽しくて仕方がない。映画作りって本当にすごいな。物凄くおもしろいな」と日々感じていたことを思い返す。なお、主役の3人が揃ったことは1日だけあり、カメラマンの芦澤明子さんからは「これがずっと見たかったのよ。これが見たかった、見たかった」と言われたようだ。それぞれが別の撮影現場となり「有村さんや石田さんのパートがどんな風になってるのかな、とすごく気になっていたので、お互いに”あそこの韓流ドラマって、どうなっていたの”とか”あそこは、こうなっていました”みたいな感じで近況報告をしました」と話す。

沖田監督は、オーディションで姫野さんを選んだ当時について「オーディションで、こんな人数を見たことないぐらい見たんですけど、その中で沢山の人にネブライザー(吸引器)だけ鼻につけてもらって、それが似合うかどうか、とか、おもしろい台詞や台本もやるんですけど。その中で色々読み書きするところも見せてもらって、そういう中で、すごいチャーミングな仕草、さとこがすごく可愛らしく見える、とか、愛らしく見えるところがいっぱいあったので、そういうところを現場でもなんとかして撮ろうかな」と振り返り「姫野さんが堂々とやれるように頑張ってやりました」と伝えていく。なお、本作を観た方からは「最初が衝撃でした」と必ず言われており、沖田監督も「映画の中で、耳鼻科でネブライザーのシーンが出てくることは、あまりないと思う」と同感せざるを得ない。なお、衛生上のこともあり、記念品として持ち帰るようにいわれたことから、現在では、自宅の神棚に5本程度のネブライザーが鎮座しているそうだ。また、同級生との会話シーンでは任せており、姫野さんは、沖田組ならではの、ジェンガやカードゲームなどで遊びながら本読みをすることを明かし「台詞がポンっと口から出てくるような状態を3人で作っていました」と思い返していく。そして、劇中に登場するプリクラは、事前に3人で撮ってきてもらったそうだ。沖田組の撮影現場は、アットホームな雰囲気があるようで、姫野さんは「黒田(大輔)さんは、自分の家みたいな感じ。待機部屋に行ったら、あんこを作っていて、”家で徹夜して作ったんだ”と言って皆さんに分けていたり、手作りで大量のお裾分けをデカいタッパーにバンバンバンくださっていたりとかして」と明かした。
完成した作品について、沖田監督は「3人のさとこは夫々違う人だけど、1人の女性だと錯覚するような、ちょっと不思議な映画の形をしているんですけど、こういう映画があってもいいのかもしれない。新しい気持ちの3人が揃って、これからスタートして、ずっと続いていく、みたいな気持ちになってくれたら嬉しいな、と思う。この映画を観て、そういえば始めてみようかな、と思うかもしれない。そうなってくれたらいいな、とも思います。映画としてすごくワクワク、みんなでちょっと楽しんで観てもらえる作品だったら嬉しいな、と思って作りました」とお客さんに託していく。姫野さんは「もしかしたら、自分の人生を思い出す度に、その都度変わってくるのかな。もしかしたら、自分の口から出てくる本当のことは、実はほんの僅かかもしれない。自分で勝手に想像して、付け足していって日々を過ごしているんじゃないかな、と思う瞬間もあった。実は、物語は、ずっとそばにある。粗筋があって、大きい出来事があって…というものだけが物語じゃない。今こうやってお話をしている瞬間も、実は、そういう一部になっているんじゃないかな。そういう気持ちになっていただけたらな」と想像を膨らませながら「監督とも話していたんですけど…鉛筆削りたいな、と思って…」と素直な気持ちを伝えていった。
映画『さとこはいつも』は、9月18日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OS等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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