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ヒンドゥー至上主義が台頭するインドで、政治的にも社会的にも迫害されるイスラム教徒の女性達による平和運動を記録した『わたしの聖なるインド』がいよいよ劇場公開!

2026年6月2日

©2023 Nausheen Khan

 

2019年にムスリムの女性達が100日間道路を塞ぎ、封鎖し続けた運動を追ったドキュメンタリー『わたしの聖なるインド』が6月6日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『わたしの聖なるインド』は、インドに暮らすムスリム女性達の100日以上にわたる平和的な抵抗運動を追ったドキュメンタリー。2019年12月、インドのモディ政権はイスラム教徒を意図的に排除する市民権改正法を制定し、イスラム教徒の間では市民権を剥奪される危機感が高まった。法案に対する批判の声が高まるなか、反対運動の拠点であるジャミア・ミリア・イスラミア大学構内に警察が突入し、200人もの負傷者と多数の逮捕者を出した。この暴力的な対応と差別的な法案への抗議として、ニューデリー南部のイスラム教徒居住区シャヒーン・バーグで大規模な座り込みが始まる。その中心にいたのはムスリムの女性たちで、政府による宗教差別やデモ鎮圧は憲法違反だと主張し、日々の暮らしを営みながら100日以上にわたり幹線道路を封鎖した。この非暴力の運動は多くの人々の共感を呼び、世代や文化、宗教を越えてインド全土に広まった。しかしデリー議会選挙をきっかけに状況は緊迫し、警察による強制排除が起こる。ムスリム女性のノウシーン・ハーンが監督を務め、政治的にも社会的にも透明化されてきたムスリム女性たちによる歴史的抵抗運動の軌跡に、自らの解放と変革の物語を重ねながら描き出す。山形国際ドキュメンタリー映画祭2023にて市民賞(観客賞)を受賞した(映画祭上映時のタイトルは『我が理想の国』)。

 

©2023 Nausheen Khan

 

映画『わたしの聖なるインド』は、6月6日(土)より全国の劇場で公開。関西では、6月12日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、6月13日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、6月20日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

2019年にインドで成立した「市民権改正法」。宗教的迫害に苦しむ人々を救う人道的な措置として発表された。周辺のイスラム教国であるパキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンに住むヒンドゥー教徒、シク教徒、仏教徒、ジャイナ教徒、キリスト教徒などを受け入れ、既にインド国内に住んでいる移民を正式に迎え入れるため、とされている。しかし、そこには「イスラム教」の記載が無く、国が意図的に排除している姿勢を見るや否や、イスラム教徒の人々から抗議の声があがった。

 

インド自体は、国教を定めていない世俗国家だ。約8割をヒンドゥー教徒が占めるものの、約1.5割のイスラム教徒を始め、シク教徒、仏教徒、ジャイナ教徒、キリスト教など様々な宗教を信仰する人で成り立っている。しかし、モディ首相はヒンドゥー至上主義的な政治団体をバックに持つため、ヒンドゥー教国とするための口実づくりにしか見えないのも無理ない。

 

実際、映画の中で抗議の姿勢を示しているイスラム教徒への対応は度が過ぎている。デモや座り込みへの対応は過激で、中でも反対運動の中心になっていたジャミア・ミリア・イスラミア大学への警察乱入は無抵抗の学生を含め200人の負傷者を出し、逮捕者まで出した。さらにはイスラム系の名前というだけで、どこでも関係なく乗り込み、めちゃくちゃにし、反抗的であれば逮捕してしまう。そんな中で立ち上がったのが、多くの女性たち。未来を見据える彼女たちは、横暴にも負けず非暴力で平和的な抵抗を続ける。彼女たちは制度の中で蔑ろにされ、市民権を認めてもらうための書類すらまともに揃えることもさせてもらえない。イスラム教徒を国賊とまで言い出す政権に対して、あくまで平和的に抗議を続ける姿は力強さを感じた。

 

昨今、日本国内でも様々な排斥の流れがある。その中でも、政治信条に対しての分断に伴う排斥のような言葉を日々見かけてしまう。特に、非国民というワードを多く見る気がする。日本に生まれたことで、国から追放されるということがリアルじゃないからこそ、簡単にこういった言葉を使えるのだ、と思う。こういったドキュメンタリー作品を観た後では、絶対に使いたくない言葉である。そもそも使わない。

 

最近、日本では、国民を監視する仕組みを作るための法律が成立してしまった。”国益や国民の安全を守るため”なのはありがたいけど、そのために情報を抜いていいとは思わない。こういうものから国家への忠誠心があるかないかを勝手に決めつけられ、インドで起きているような排除や排斥に繋がるんじゃないか、と思ってしまう。そうなる前に声を挙げ続けることが必要である、とインドの女性たちが力強く教えてくれている気がする。

fromブライトマン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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