建築家・隈研吾さんの15年間を捉えたドキュメンタリー『粒子のダンス』がいよいよ全国の劇場で順次公開!
© Hiromoto OKA / NPO SHONAN YUEIZA
東日本大震災にともなう復興プロジェクトやコロナ禍における建築の新たなあり方の再考など、隈研吾さんの国内外82の建築と共に、彼の日常や建築教育の様子等を映しだしていく『粒子のダンス』が3月21日(土)より全国の劇場で順次公開される。
映画『粒子のダンス』は、世界的に活躍する建築家である隈研吾さんの15年間の歩みを記録したドキュメンタリー。湘南予告篇映画祭等を主催する映像作家の岡博大さんが、大学時代の恩師である隈研吾さんの代表作品とその叡智を後世へ継承するべく自らカメラを手に取り、2010年から15年をかけて自主制作として撮りあげた。撮影を開始して間もない頃に起きた東日本大震災に伴う東北での復興プロジェクトを始め、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとなった国立競技場や、東京大学隈研吾研究室での建築教育の現場など、世界16ヶ国80以上のプロジェクトを撮影。常に新たな建築のあり方を問いかけ提案し続ける隈研吾さんの姿を、俳句のように断片的な映像の連なりで描き出す。東北では、南三陸や陸前高田、登米等の復興プロセスや市民の日常の記録映像を通じて、日本人の復興の知恵を伝える。

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映画『粒子のダンス』は、3月21日(土)より東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
今や世界的に活躍する建築家である隈研吾さん。直近では、大阪・関西万博 2025内でのパビリオンの中でもいくらか手掛けられていることが有名であろうか。隈さんが手掛けた建築作品といえば、木材などの自然素材を生かした建築や、縦格子を多用したデザインが特徴的といったイメージがある。特に、木材を多用していることに関しては、阪神・淡路大震災と東日本大震災を経て、コンクリート等の人工物で自然に立ち向かおうとする20世紀の思想が破綻したと感じたため、のようだ。森林を手入れして生み出す木材について、人間と地球をつなぎ合わせる存在と位置付けていた。また、大型の公共建築物に関しては、”税金の無駄遣い”や”環境破壊”と批判を受けるようになった時代に育ったことから、経済成長の鈍化と高齢化が進んでいる日本の現状を見据え、周囲に調和した”負ける建築”や、”コンクリートと鉄の時代”を”木の時代”に変えることを志向したことも大きいようだ。建築に素人である身にとってみては、温故知新的な斬新さがあるように思いながらも、木によって”あたたかみ”さも感じてしまう。そういった隈さんが手掛けた建築作品の真髄を、本作を鑑賞しながら理解することが出来る。だからといって、隈さんの建築作品について丁寧に解説する作品ではない。あくまで”映画”という芸術作品を通して知ることが出来るのだ。そこには、つい先日に活動を終了したorange pekoeのギタリストであった藤本一馬さんが奏でるアバンギャルドなギターの旋律が寄り添うことで、建築作品としての美しさを際立たせている。なお、2010年代に、隈さんは、自らのデザインポイントの一つとして、ストラクチャーを際立たせ過ぎないための”粒感”を挙げており、『粒子のダンス』というタイトルが言い得て妙であり、実に興味深い作品だ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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