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2073年の監視社会を実験的手法で描く、映画版『WE-入口と世界の出口』がいよいよ劇場公開!

2025年11月24日

©小池博史ブリッジプロジェクト-Odyssey/株式会社サイ

 

階級が分かれるようになった2073年の日本を舞台に、監視社会の中で、治外法権的な場所へ逃げ込んだ人々が追いつめられていく様を、実験的な手法を駆使して描く映画版『WE-入口と世界の出口』が11月29日(土)より全国で順次公開される。

 

映画版『WE-入口と世界の出口』は、演出家の小池博史さんが、映像・光・音などさまざまな実験的手法を駆使しながら近未来の監視社会を描いた、2023年初演の人気舞台「WE-入口と世界の出口」を映像化。上級、中級、下級国民に分かれるようになった2073年の日本。表面上は平等をうたいながらも、誰もが監視しあう社会となっていた。そんな中、唯一の治外法権的な場所として残された「スペースE」に逃げ込んだ人々は、出口の見えないその場所で、徐々に追い込まれていく。

 

本作では、ライブ映像、映画、美術、ガラクタ音楽、古典音楽、ラップ、ボイスパフォーマンス、ダンス、演劇など多様な要素が縦横に絡みあったオルタナティブな舞台表現を、映画表現として再構築。小池博史さんが中心となって結成された伝説的ダンスカンパニー「パパ・タラフマラ」にメインパフォーマー・舞台美術家として参加した松島誠さん、能役者・小鼓奏者の今井尋也さん、バレエをルーツに舞台や映像作品に出演する福島梓さんらが出演。ラップチームの下町兄弟が音楽を手がけ、岡本太郎現代美術賞を受賞した美術家の山上渡さんが美術を担当。

 

©小池博史ブリッジプロジェクト-Odyssey/株式会社サイ

 

映画版『WE-入口と世界の出口』は、11月29日(土)より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。

監視が張り巡らされた2073年の日本で治外法権的な場所へ逃げ込んだ人々が追いつめられていく様を舞台にした作品を、さらに映画として編集された本作。最初は何が起こっているのか、理解するのに大変だが、感性を研ぎ澄ましながら次第に気づかされていく世界観がある作品だ。基本的には3人の人物によるコンテンポラリーダンス的な舞台公演であるのだが、下町兄弟による即興的な音楽が盛り上げていく共に、天井からぶら下がっているカメラを自由自在に操ることによって映し出される現場の映像によって、どの視点から見ても様々な楽しみ方ができる演出が施されていく。まさに唯一無二の舞台だ。だが、これを映画化することで、作品の世界観を拡張させ、監視社会の恐怖をより一層に際立たせる力が作品に備わっていることが恐ろしい限りだ。閉ざされた空間の中で披露された舞台公演が映像されて拡張させると同時に閉塞感も保持されていることが興味深く、演出家の小池博史さんが持つ才能がズバ抜けている、と感じずにはいられない。ディストピアな世界観を備えた作品に関心がある方はぜひとも劇場で体感してほしい限りである。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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