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クズの長男役として最後まで演じ切った…!『台風家族』草彅剛さんと市井昌秀監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年9月4日

強奪事件を起こし姿を消した両親の財産分与のため、見せかけの葬儀をすることから始まる1日の騒動を映し出した『台風家族』が9月6日(金)より全国の劇場で公開される。公開直前の9月4日(水)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に草彅剛さんと市井昌秀監督を迎え、舞台挨拶付き先行上映会が開催された。

 

映画『台風家族』は、ひとクセある家族たちの姿を、ブラックユーモアを交えて描いたコメディドラマ。鈴木一鉄と妻の光子は銀行から2000万円もの大金を強奪し、行方がわからくなっていた。事件から10年たったある日、いまだに所在がわからない両親の仮想葬儀で財産分与をおこなうため、鈴木家の子どもたちが集まる。どんな仕事も長続きしない長男の小鉄は妻の美代子、娘のユズキとともに10年ぶりに実家へ訪れ、長女の麗奈、次男の京介とともに、空の棺おけを2つ並べた見せかけだけの葬儀を始める。葬儀が終わった頃にインターホンが鳴り、間に合わなかった末っ子の千尋がようやく到着したかに思われたが、ドアの外に立っていたのは千尋ではない、チャラチャラした男だった。
『箱入り息子の恋』の市井昌秀監督のオリジナル脚本で、長男役の草彅剛さん、長男の妻役の尾野真千子さん、父親役の藤竜也さんのほか、MEGUMIさん、中村倫也さん、榊原るみさんらが顔をそろえる。

上映前に草彅剛さんと市井昌秀監督が登壇。満員のお客さんと共に賑やかな舞台挨拶となった。

 

様々なことがあり、上映が延期になってしまった本作だが、草彅さんは「ようやくお客さんに観て頂いて映画は完成します。今回は、いつも以上に完成を噛み締めています」と気持ちを込めて挨拶する。市井監督も「無事に9月6日から公開できることになりました。映画を作ったスタッフ・キャストだけでなく、公開を心待ちにしていた応援して下さった皆様のおかげで公開できます。こんなに沢山の人がいることは当たり前ではない」と感慨深く挨拶した。

 

公開を目前に控え、草彅さんは、嬉しい気持ちがありながらも「皆さんがどんな感想を持ってくれるのか」と心配ぎみ。撮影中は内容を掴めないで演じている時があり「この映画は大丈夫かな」とも思っていた。出来上がった作品を観て「監督、凄いじゃないか!」と感心し、太鼓判を押す。これを受け、市井監督は「天才役者の草彅さんがいたからです」と謙遜していた。

 

撮影は昨年の夏。6・7月に最高気温を記録する程の栃木で行われた。草彅さんは「僕史上、撮影で人生の中で一番暑い撮影を経験しました」と告白。「なんであそこをロケ現場に選んだんですか。蒸し風呂でやっているみたいだった。しかも、逃げ場がなかった」とまで吐露した。古民家を貸切って撮影しており、涼む場所すら無かったが「役者さんを追い込んでいく監督による作戦の一つだったらしい。ボーっとしている中で演じている方が脂汗が出て良い」と感じており「結果的に良いシーンが撮れました」と納得している。だが「現場では、監督を恨んでいましたよ。奇跡的に誰も熱中症にならなくて良かった」と正直に話す。市井監督は「俳優部が来る前に、古民家にあったエアコンをぶち壊したんで…」と草彅さんを驚愕させたが、あくまで冗談であった。

 

劇中では、長回しの喧嘩シーンも登場する。市井監督は「長くなると、次第に本人達が喧嘩しているように見えてくる。凄くおもしろいし、本物の汗が出ているし」と狙い通りの画が撮れた。草彅さんは「策士ですね。策士のいっちゃんと呼ばれていましたからね」と持ち上げていく。「凄くおもしろくなりましたね。演じている時はどんな画になるんだろう」と不安だったが「役者さんがバシバシと張り合ってくるので、長男役としてブレずに最後までクズを演じ切りました。今までで一番のクズ役で、とてもひつこい」と振り返り「最後に大きな感動を生み出すように、監督が書いた天才的な台本の流れになっている」と絶賛する。だが、市井監督は「天才役者、草彅剛がいたからですよ」とあくまで謙虚だ。

 

撮影中の市井監督はモニターの前ではなくカメラの横にいるようにしており、草彅さんは「監督と話さなくとも、目で訴えかけてくる。凄く真面目なんです。仕事になると瞬きもしなくなる」と印象に残っている。「映画は監督のもの。正直やりにくい。だけど、ずっといるので、しょうがない」と諦め「途中からは空気のように感じて安心すら感じた。次第に監督の表情が快感になってくる。監督が台風の目のようになって皆を巻き込み、最後まで演じられた」と身を委ねて演じ切った。市井監督が「ずっといたわけではないんですけど、様々なシーンで草彅さんにプレッシャーを与えようと…」と告げると、草彅さんは「撮影後に聞いたけど、俺より年下らしいじゃないの」とキャラクターを変えていく。だが、結果的に良いシーンが撮れたと気に入っており「監督とも仲良くなり、撮影期間は本当の家族になれた感覚が何度もありました」と懐かしんだ。

 

草彅さんが演じた小鉄というキャラクターについて、市井監督は「草彅さんが演じていないような、人間誰しもが持っている汚い部分を考えながら書きました」と話す。草彅さんは「僕を当て書きしてくれたみたいですね。僕の性格は小さいので、監督が見透かしているようで…」と本音を明かすと、市井監督は「草彅さんがこんな台詞を言ったらおもしろいなと思いながら書きました」と応えていく。草彅さんも「言っていて、だんだん快感になります。普段言わない面白い台詞があります」と気に入っていた。

 

最後に、市井監督は、感極まりながら「12年間ずっと待ちに待った日が9月6日になるので、本当に多くの人に観て頂きたい」とメッセージを送っていく。草彅さんは「完成して様々なことがあったんですけれども、皆さんの応援のおかげでようやく公開できることは幸せ」と感慨深い。なお、当日は、東京でジャニー喜多川さんのお別れの会があり「こうやって沢山のお客さんの前に立てているのは、ジャニーさんのおかげだと思っています。夫々の場所からジャニーさんへの感謝の気持ちを忘れずにいたい。沢山のことを学んだので、これからもジャニーさんからの教えを胸に抱いてエンターテインメントの世界を歩んでいきます」と感極まりながら「ジャニーさん、安らかにお眠りください。ありがとうございました」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『台風家族』は、9月6日(金)より全国の劇場で公開。

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映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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