誰かを愛する、何かを愛する、そして自分自身を愛することはすごく大事なこと…『果てしなきスカーレット』芦田愛菜さんと岡田将生さんと細田守監督を迎え舞台挨拶開催!
父の仇討ちに失敗した王女が、現代の日本からやって来た看護師と死者の国で出会い、衝突を繰り返しながら旅をしていく『果てしなきスカーレット』が11月21日(金)より全国の劇場で公開。11月16日(日)には、大阪難波のTOHOシネマズなんばに芦田愛菜さんと岡田将生さんと細田守監督を迎え舞台挨拶が開催された。
映画『果てしなきスカーレット』は、『竜とそばかすの姫』『未来のミライ』等で国内外から高く評価されてきたアニメーション映画監督である細田守監督が手がける、オリジナルの長編アニメーション。復讐にとらわれて死者の国をさまよう王女が、現代日本からやってきた看護師の青年と出会い、ともに旅をする中で変化していく姿を描き、”生きるとは何か”を問いかける。父を殺して王位を奪った叔父クローディアスへの復讐に失敗した王女スカーレットは、”死者の国”で目を覚ます。そこは、略奪と暴力がはびこり、力のなき者や傷ついた者は”虚無”となって存在が消えてしまう世界だった。この地にクローディアスもいることを知ったスカーレットは、改めて復讐を胸に誓う。そんな中、彼女は現代日本からやってきた看護師の聖と出会う。戦いを望まず、敵味方の区別なく誰にでも優しく接する聖の人柄に触れ、スカーレットの心は徐々に和らいでいく。一方で、クローディアスは死者の国で誰もが夢見る”見果てぬ場所”を見つけ出し、我がものにしようともくろんでいた。声の出演は、主人公スカーレット役を芦田愛菜さん、聖役を岡田将生さんが担当。スカーレットの宿敵で冷酷非道なクローディアス役を、細田作品に4度目の参加となる役所広司さんが演じる。そのほか、市村正親さん、吉田鋼太郎さん、斉藤由貴さん、松重豊さん、山路和弘さん、柄本時生さん、青木崇高さん、染谷将太さん、白山乃愛さん、白石加代子さんら豪華キャストが顔をそろえる。
今回、大阪では初お披露目となる特別上映の前に、主人公のスカーレットを演じた芦田愛菜さん、スカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師である聖(ひじり)役の岡田将生さん、そして細田守監督が舞台挨拶に駆けつけた。「今日は来てくれてほんまにありがとー!楽しんでいってやー」と芦田さんは関西弁で挨拶し、その可愛らしさに歓声が沸く。岡田さんもそれに続き「大阪に来られてめっちゃ嬉しいわ~!どうぞよろしくお願いします」と続け、細田監督も二人の流れを受け「皆さん初めまして。監督の細田守と申します。よろしゅうお願いしますわ~」と精一杯な関西弁を披露したじたじになりながらも大阪の会場を沸かせていく。
今回は”果てしなき全国キャンペーン”ということで、芦田さんは「作品を観てくださる皆様と一緒に交流できたり、いつも温かく受けとめてくださってすごく嬉しいです。昨日の福岡での舞台挨拶でも、みなさん優しかったですし、大阪の皆さんも活気あふれる拍手や笑いをくださって」と思い返す。岡田さんは「大阪の方々はいつも熱量高く迎え入れてくださるので、毎回来るのが楽しみです」とワクワク。細田監督は「前の作品で大阪キャンペーンに来て、それから4年ぶりです。前回はコロナ渦でも歓迎してくださって、今回は制約なしで皆さんに観てもらえてすごく嬉しいです」と大阪での舞台挨拶の嬉しさを語った。

兵庫県出身の芦田さんからは「祖父母が住んでいるので、よく大阪には来ます。たこせんがすごく好きで、東京だとあまり見かけないので、大阪に来ると絶対食べたいなと思います」と話す。岡田さんは、大阪の思い出や印象を聞かれ「『ハムレット』という舞台の大阪公演で、気分転換でチームの皆さんと一緒にUSJに行ったのが楽しい思い出です」と振り返る。細田監督は「もし大阪を舞台に映画を作るとすれば、どういう風に大阪を表現するだろうと考えていました。例えば、大阪城を映画の中に取り込めないかなとか、いつも考えたりしていました。街中も、古い大正時代の大きな建物と、現代の建物が一緒になっているところがすごく魅力的だなと思ったり、そんなことばかり考えながら大阪の風景を見させてもらってます」と明かす。
主人公のスカーレットから芦田さんの並々ならぬ思いを感じ取れる本作。芦田さんは「すごく深く、悩み苦しんでいるキャラクターだったので、それをどうやって表現しようかなと、私自身も悩み、体当たりで演じさせていただきました。叫ぶシーンも、悲しみの叫びだったり、あるいは、怒りなのか奮え立たせる叫びなのか、いろいろな種類があって、なかなか出すことのない声なので、どんな風に表現したらいいんだろうと、迷いや戸惑いが最初はありましたが、実際にやってみて、とにかくやってみて、なんとかスカーレットに近づいていけました」と力説。その姿を見ていた監督からは「芦田さんの後ろ姿を見ながら収録していました。お会いすると、すごく可愛らしくて利発な方ですが、このスカーレットという役は、王女様だけど地面を這えずり回って、泥だらけになりながら頑張っているような人で、最初はイメージが全然違った。なのに、収録をしていくと、だんだん芦田さんの後ろ姿がスカーレットに見えてくる。 いつも、堂々と背筋をピンと伸ばして、スカーレットと向き合って、お芝居をしてくださった姿が、素晴しかったなと思い出します」とアフレコの思い出を語った。

また、岡田さんは、長編アニメーション映画の声優に初挑戦しており「毎日収録に行くのが本当に楽しみでした。一つ一つのセリフが終わると、監督がブースに来てくださって、『いいですね』と毎回声をかけてくださるのが本当に嬉しくて、監督の人柄が作品にも出ていますし、アフレコの最中でも、温かく監督が包み込んでくれるような空間だったので、とてもやりやすい環境だったなと思います」と安堵している。細田守監督作品ファンでもある岡田さんは「とても複雑なんですが、ファンとして何も知らないでスクリーンで観たかったです。でも、今回は内側に入れたことで、より監督の作品の素晴らしさを知ることができました」と続けていく。二人の想いを聞き、細田監督は「聖という役は、岡田さんとすごく近いと最初から思っていました。もともとこの映画は『ハムレット』というシェイクスピアの作品がベースになっていて、岡田さんも『ハムレット』の主演を務めた数少ない俳優のおひとりなので、理解も深いし、人間性や気持ちの優しさも、聖と非常に近く、聖本人だと思いながら収録をしていました」と話し、信頼を寄せていた。

そして細田監督は今作の制作にあたり「今回は生と死という大きなテーマを掲げた作品です。それだけに今までにないスケールの大きな作品になった。いつもだったら、3年に一回のペースで作るところが、それだと全然間に合わなくて、もう1年となり、それでもさらに間に合わなくて、4年半かけてようやくできました。そのぐらい密度のある作品になり、皆さんに自信を持って観てもらえる作品になったと思います」と振り返っていく。映画では復讐に燃え戦うことでしか生きられないスカーレットと、戦わないことを望まない聖、という真逆な二人が死者の国を旅しますが、そんな真逆な二人を演じた芦田さんと岡田さんの共演は久しぶりで、芦田さんは「アフレコ現場でご一緒させていただいて、前回の共演の時は…」と言いかけると、岡田さんが「(前の共演の時は)嫌な役だったよね(笑)。でも今回はすごい、いいやつだったよね(笑)」と応え、二人が思わず笑い出す。岡田さんが「聖は本当にいいやつなんです。前回と真逆で本当に良かったです」と続けると、芦田さんも「いい思い出ができました! 聖はすごくいい人です!!」と満面の笑顔で返していく。そんな二人に細田監督は「アクションも非常に激しい部分があるので、プレスコとアフレコの両方でお二人の声を録らせてもらいました。特にスカーレットの声には、非常に迫力と凄みがあり、芦田さんの体からそんな凄みがどこから出るんだろうっていうぐらい、力のこもった声が、アクションシーンを盛り上げてくれていると思います」と説く。さらに、真逆なキャラクターを演じた二人の様子を「お二人がブースに入って、一緒にお芝居している後ろ姿から、最初は対極なふたりが旅を通してだんだん近づく様子が、お二人のお芝居や立た佇いからも、伝わってきました。それが映画の中に、力を与えてくださっているなと、ぐっと来るものが何度もありした」と感動を語った。本作を観て号泣したという岡田さんも「自分が関わっていると、自分の至らない部分を見てしまったりするのですが、今回は没入してこの世界観に入らせてもらいました。スカーレットの悲しみや、苦しみ、そして希望が見えた瞬間を、聖を演じていたからこそ、より彼女の感情に共感できました。(号泣したのは)嬉し涙と言うか、スカーレットをずっと最後まで見届けたいなという気持ちでした。(観客の皆さんは)これから観てくださると思うんですけど、本当にスカーレットの瞳に注目してほしいと思います。映画で彼女の瞳が少しずつ変わっていくんです。その変わっていく様が、こちらの感情を沸々と湧き起こしてくれる。なので魅力は瞳なんじゃないかなと思います」と思いを込めていく。その瞳の魅力について問われると芦田さんは「一番最初は絵がまだ絵コンテの状態で声を入れて、その後もう少し絵が出来上がってから声を入れさせていただいたのですが、セリフはないけど、瞳がちょっと揺れるだけで気持ちが伝わってくるようなシーンがどんどん完成するにつれて増えていって、それが私も印象的だなと思っていたので、ぜひ注目していただきたいです」と語った。
カンヌ、ベルリン、ヴェネチア国際映画祭、先日11月5日に行われたジャパンプレミア、11月12日の直前イベントを経て、映画はいよいよ公開。今の率直な気持ちについて、芦田さんは「声を入れたのが 1年半前くらいで、まだまだ公開は先だなと思っていたのですが、あっという間に皆さんにお届けできる日が近づいていて、少し緊張もありますが、早くたくさんの方に観ていただきたい気持ちでいっぱいです」と伝え、楽しみにしていた。岡田さんは「とにかく早く観ていただきたいと思いますし、できれば劇場で大きいスクリーンで、この作品の素晴らしさを観ていただけたら、本当に嬉しいなと思っております」と話し、期待を集めていく。細田監督は「完成するまで非常に長かったのですが、ようやく皆さんの元まで届けられるなという感じです。ここまで来られたのは、優秀なスタッフたちが試行錯誤して、この作品に取り組んでくれたことや、たくさんの素晴らしいキャストの皆さんがこの映画に魂を吹き込んでくれたからこそ、できたことです。それが今、非常に誇らしいです」と語った。
最後に、舞台挨拶の終わりを惜しみながら、芦田さんは「この映画は生きるや、愛についてのメッセージがたくさん詰まっている作品ですが、誰かを愛する、何かを愛する、そして自分自身を愛するということはすごく大事なことなんじゃないかなと、思わせてくれる作品だと思います。ぜひ皆さんも生きることや、愛とはなんだろうと、考えながら観ていただけると嬉しいです」と伝え、最後には関西弁で「大阪の皆さん、今日はありがとう」と明るい笑顔で締め括った。
映画『果てしなきスカーレット』は、11月21日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマやT・ジョイ梅田、心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のTOHOシネマズなんばやなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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