沖縄最古の映画館である首里劇場の“最期”を捉えたドキュメンタリー『劇場が終わるとき』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2022年に幕を下ろした沖縄県最古の映画館である首里劇場の館長の半生と、写真家である石川真生さんの姿を追ったドキュメンタリー『劇場が終わるとき』が7月26日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『劇場が終わるとき』は、2022年、72年間の営業に幕を下ろした沖縄最古の木造映画館である首里劇場の最後を、沖縄を代表する写真家の石川真生さんが撮影する姿を追ったドキュメンタリー。1950年に建てられ、地域文化の中心としての役割を担った首里劇場は、やがて映画が斜陽産業となる中、成人映画専門館となる。3代目館長の金城政則さんは老朽化した劇場を20年近く守り続け、2021年には名画座へと転身させるが、その翌年にガンのため急逝、劇場は閉館することになった。解体の日を静かに待つ劇場に足を踏み入れた写真家の石川真生さんは、建物に染みついた人々の記憶や気配をフィルムに焼きつけようと試行錯誤を繰り返していく。老いと病を抱えながら撮影する石川さんの姿を映しだすほか、金城館長の甥が、家族で経営してきた劇場の思い出を語る。さらに、幼少時より首里劇場を知るNPO法人「シネマラボ突貫小僧」代表の平良竜次さん、かつて上映された成人映画にも出演した女優のほたるさんらも出演し、首里劇場へのそれぞれの思いを明かす。オムニバス映画『パイナップルツアーズ』の1話を監督し、興行や宣伝の立場からも映画に携わってきた真喜屋力さんが長編初監督を務めた。
映画『劇場が終わるとき』は、関西では、7月26日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォと神戸・元町の元町映画館で公開。なお、7月26日(土)にシネ・ヌーヴォ、7月27日(日)に元町映画館で真喜屋力監督を迎え舞台挨拶を開催予定。

沖縄県最古の映画館として名前をよく聞いていた首里劇場。コロナ禍を経て名画座へと転身し、最終的には閉館していたんですね…なんとも感慨深げなドキュメンタリーである。そんな最後の姿を見届けるために立ち上がったのが、近年に『オキナワより愛を込めて』等で改めて注目を集めている写真家の石川真生さんだ。72年間も営業していたことから、貴重な資料が大量に保存されていた。関心がない人にとってはジャンク品扱いかもしれないが、価値を見出すことが出来る方にとっては、喉から手が出るような代物ばかり。改めて首里劇場が歩んできた歴史の歩みが伝わってきた。そんな貴重な劇場が亡くなる前に石川真生さんが行った”撮影”は趣深げなものだ。過去と現在を繋ぐかのようなパフォーマンスを繰り広げてもらい、その一瞬をカメラで切り取っていく姿が印象深い。首里劇場の”最後の最後”までを撮影していっており、まるで、首里劇場版『ニュー・シネマ・パラダイス』があったとしたら、本作のような映画になったであろうか。映画館がなくなってしまうことは悲しい出来事だけど、本作のように最後を映像に収めることの意義を十分に感じさせてくれる一作であった。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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