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「八犬伝」の虚構世界と滝沢馬琴の創作の神髄に迫る現実世界がシンクロする『八犬伝』がいよいよ劇場公開!

2024年10月21日

©2024『八犬伝』FILM PARTNERS.

 

『南総里見八犬伝』の世界と、滝沢馬琴・葛飾北斎の世界が交錯する『八犬伝』が10月25日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『八犬伝』は、山田風太郎さんの小説「八犬伝」を映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する“虚構”パートと、その作者である江戸時代の作家・滝沢馬琴の創作の真髄に迫る“実話”パートを交錯させて描く。人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師の葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻であるお路から意外な申し出が入る。

 

本作では、滝沢馬琴を役所広司さん、葛飾北斎を内野聖陽さん、八犬士の運命を握る伏姫を土屋太鳳さん、馬琴の息子である宗伯を磯村勇斗さん、宗伯の妻であるお路を黒木華さん、馬琴の妻であるお百を寺島しのぶさんが演じる。監督は『ピンポン』『鋼の錬金術師』の曽利文彦さんが務めた。

 

©2024『八犬伝』FILM PARTNERS.

 

映画『八犬伝』は、10月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田やや心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

滝沢馬琴による『南総里見八犬伝』は、1814年に刊行が開始され、28年をかけ、1842年に完結した全98巻、106冊に及ぶ大作である。江戸時代の戯作文芸の代表作の一つであり、大衆文化への影響力も大きかった。その後、様々な視点による解釈を以て研究が行われている。そして、現代になれば、様々な方が現代語訳版を出版。脚色されたものも数多くあり、山田風太郎さんによる小説「八犬伝」は『南総里見八犬伝』をモチーフに、『南総里見八犬伝』の作者・滝沢馬琴と葛飾北斎との交流を描いた「実の世界」と、『南総里見八犬伝』の「虚の世界」の2つの世界を交錯させながら描いている。これを映画化するならば、1本の映画で2つの作品が同居するような形式となるが、2つの世界観を同時に見られるのは興味深い。あくまで、それぞれの物語は独立しており交わるはずがないが、「虚」と「実」を混同させるような演出には驚かされる。特に開眼すべきは、滝沢馬琴と葛飾北斎が歌舞伎作家の鶴屋南北と邂逅するシーンだ。ユニークな歌舞伎の作風があり甲乙つけがたい作品を見た2人が南北と出くわし、「虚」と「実」の境目がなくなっていくような感覚に襲われてしまう。そこから『南総里見八犬伝』が変化していく重要なポイントであり、しかと目に留めておきたい。他にはないユニークな卓球戦を描いた『ピンポン』で映画監督デビューした曽利文彦さんが本作のようなユニークな時代劇に挑むとは…必見の一作である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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