元恋人の殺害現場に遭遇した裏稼業で働く男の姿を描いたフィルムノワール『辰巳』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©小路紘史
元恋人が殺害される現場に遭遇した孤独なヤクザが、犯人への復讐を誓う元恋人の妹を助けるために、事件の真相に迫っていく『辰巳』が4月26日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『辰巳』は、希望を捨てた男と家族を失った少女の復讐の旅路を描いたジャパニーズノワール。裏稼業で生計を立てる孤独な男である辰巳は、元恋人である京子の殺害現場に遭遇し、その場にいた京子の妹である葵を連れて逃亡する。最愛の家族を奪われた葵は、姉を殺した犯人に復讐することを決意。犯人を追う旅に同行することになった辰巳は生意気な葵と反発し合いながらも、彼女を助けともに過ごすなかで、ある感情が芽生えてくる。
本作は、2016年公開の長編デビュー作「ケンとカズ」で注目を集めた小路紘史監督が自主制作で完成させた長編第2作。『ONODA 一万夜を越えて』の遠藤雄弥さんが主人公の辰巳、『アイスと雨音』の森田想さんが葵を演じ、ドラマ「全裸監督」の後藤剛範さん、『無頼』の佐藤五郎さん、『わたし達はおとな』の藤原季節さんが共演した。
©小路紘史
映画『辰巳』は、関西では、4月26日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸の京都シネマ、4月27日(土)の神戸・元町の元町映画館で公開。
『ケンとカズ』の衝撃以来、遂に小路紘史監督の新作長編映画が関西でも公開される。日本だからこそ実現できる、何処の国にも属さないノワール作品の登場だ。裏稼業で働く孤独な男の名が、タイトルにもある辰巳。偶々、元恋人の殺害現場を目撃し、巻き込まれるはずのなかった策略に振り回されていく。安直な殺害計画のように思えたが、その裏側に隠されたものを知れば知るほど、本作のおもしろさが伝わってくる。そして、そのおもしろさの要になっているのは絶妙なキャスティング。メインキャラクターである辰巳には遠藤雄弥さん、葵には森田想さん。どちらかといえば、ちょっと不貞腐れながらも根は真面目でいいヤツ、といったキャラクターを演じることが多かったが、本作では、徹底的に荒ぶれていくキャラクターを見事に演じ切っている。最愛の家族である姉を失い復讐に燃える葵と、違った方向を冷静に見つめる辰巳。相反するキャラクターであるにも関わらず、行動を共にしながら、2人の関係性は変化していき、葵は復讐を果たそうとしていくのか。他にも危険な匂いしかしないキャラクターが続々と登場するので、何をしでかしてくれるのか、観ながらワクワクしてたまらない。こういった作品を小路監督が作り上げていくのには驚かされるばかり。次はメジャーフィールドで更なる危険な物語を作り上げてくれそうだ。本作を劇場で見逃してはならない!
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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