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ちょっと面倒くさい家族の物語だけど、幸せを感じられる…『あまろっく』兵庫県先行公開初日舞台挨拶開催!

2024年4月12日

尼ロックと呼ばれる閘門で守られた尼崎市を舞台に、リストラで帰郷した娘、人生を楽しむ父親と若い再婚相手の共同生活を描く『あまろっく』が4月12日(金)より兵庫県先行公開、4月19日(金)より全国公開される。4月12日(金)には、兵庫・尼崎のMOVIXあまがさきに江口のりこさんと中条あやみさんと中林大樹さんと中村和宏監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『あまろっく』は、通称「尼ロック」と呼ばれる「尼崎閘門(こうもん)」によって水害から守られている兵庫県尼崎市を舞台に、年齢も価値観もバラバラな家族が、さまざまな現実に立ち向かうなかで次第にひとつになっていく姿を描いた人生喜劇。理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってきた39歳の近松優子は、定職に就くことなくニートのような毎日を送っていた。ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が信条の能天気な父が再婚相手として20歳の早希を連れてくる。ごく平凡な家族だんらんを夢見る早希と、自分より年下の母の登場に戸惑いを見せる優子。ちぐはぐな2人の共同生活はまったく噛み合うことがなかったが、ある悲劇が近松家を襲ったことをきっかけに、優子は家族の本当の姿に気づいていく。優子役を江口のりこさん、早希役を中条あやみさんがそれぞれ務め、「尼ロック」のごとく家族を守る存在であり自由でロックな生き方をしている父を、笑福亭鶴瓶さんが演じた。監督は『よしもと新喜劇映画 女子高生探偵 あいちゃん』の中村和宏さんが務めた。

 

上映後、スタンディングオベーションが起こるほどの盛り上がりの中、江口のりこさんと中条あやみさんと中林大樹さんと中村和宏監督が登壇。地元の尼崎ならではの舞台挨拶が繰り広げられた。

 

昨日、阪神甲子園球場に中条あやみさんが登場し、本作を背負ってファーストピッチセレモニーに参加しており、その模様を見た中林さんは「アレ、ネタでやってんの!?」とツッコミ。中条さんは「あれは、甲子園で気持ちも舞い上がり、『あまろっく』も背負っている、と考えていたら、左足を上げて投げる練習をしていたのに、右足を上げてしまい、投げられへん…となった」とパニックを起こしていたことを告白。とはいえ、しっかりと投げており「最後は、やる女なんです」と主張。そんな中条さんを見ながら、江口さんは「お茶目で面白いことが大好きな人。皆さんが思っているイメージ以上にやんちゃな人でした」と回想。これを受け、中条さんは「オブラートに包んで言って下さっているなぁ」と安堵した。

 

 

共演相手として、江口さんは最高のパートナーだった中条さん。江口さんにとっては「その人と一緒にやった中で生まれる芝居ばっかりだった。この人達に助けてもらい、映画が完成したな」と皆さんに伝え、感慨深げだ。中林さんは江口さんとは撮影以来に一年ぶりの再会となり「ドキドキしてきますね。好きだったので」と漏らし「空いている時間に沢山お話しさせて頂いた。江口さんは笑顔が無茶苦茶可愛いんですよ。キュンキュンしてしまった。南雲なのか自分なのか分からない」と打ち明ける。中条さんも「滅多に笑顔は見れないんですけど」と添えると、江口さんは「嬉しいですね、はい」と冷静だ。

 

 

今から1年前は本作を撮っている最中だった。中条さんは地元である大阪の実家から撮影現場に通っており、台詞の練習は実家で行っており「優子ちゃんとテンポよく話す会話劇なので、台詞のテンポ感が大事だった。ポンポン出てくるように、練習相手としてお母さんが本読みの読み合わせをしてくれていました。謎のアドバイスがあったり、優子ちゃんを演じる上でいつもより声のトーンを上げていた気がしますね」と振り返る。中条さんの魅力について、江口さんは「気持ちが柔らかい。全てを受け入れてとりあえずやってみる姿勢が凄いな」と話す。劇中では、江口さんが一人乗りボートを漕いでおり「練習はけっこうしました。最初は、何故こんなに一杯しないといけないのか、嫌だった。でも、一回やれば楽しかった。撮影での辛さやしんどさが、ボートの練習で癒されていた。私にとっては絶対的に必要なものでした」と述べ「関西学院大学ボート部の学生やコーチの村田先生による協力と助けがあり、やれたもの。かなり協力して頂きました」と感謝している。

 

ロケ地になった尼崎について、中林さんは「街としては、180度印象が変わりました。街が綺麗なんです」とビックリ。とはいえ「ドープなところも感じたくて、撮影前に呑みに行った。道一本入ると、人情味溢れる居酒屋がある。おもしろかった。これやな。この空気感が、尼崎の人情味溢れる魅力だ」と実感。小学校6年生の頃まで尼崎に住んでいた中村監督は「6年前に大きな台風が関西を襲った時、尼崎以外の地域では大きな被害が出た。尼崎は、尼ロックがあったから、被害が少なかった、という記事を読み、あまろっくとは何なんだろ。僕は住んでいたのに知らなかった。調べてみたら、すごい大切な施設だと分かった。誰も知らない隠れた英雄として、ひっそりと街を守っている。そんな竜太郎さん…」と着想を説明。構想に6年を要しており「コロナ禍で2年は準備が止まっていた。台本を練り直していましたが、進まなかった」と話し、苦労が伝わってくる。

 

 

キャスティングにあたり、中村監督は「中条さんは、関西出身。『あまろっく』のように2時間丸々関西弁で喋っている中条あやみさんは今まで観たことない、と思うので、観たかった。東京ガールズコレクションじゃなく、三和商店街を歩いてほしい」と切望。中条さんも「ここまでがっつりなものはなかった。これからもないと思うんです」と同感。なお、通常の作品では方言指導の方が参加することが多いが「今回は無しにさせてもらった。関西出身の人達をキャスティングさせて頂いた」と述べ、中村監督の拘りが伝わってくる。関係者向け試写会が開催された際には監督が泣いた顔を見せ、中条さんもそれを受け泣いたようで「そんなに私の芝居が酷かったのかな」と自虐ネタで表現しながらも「6年間かけて温められていた監督のお話や思いを聞いていました。私自身もキャスト皆さんが好きで仲が良い作品だな。エンドロールが終わった瞬間に、良かったなぁ、っていう気持ちで外に出たら監督がぶわぁ…と泣かれた。良かったなぁ」と共感していた。

 

劇中では様々な出来事が起こっており、中条さんは、中林さん演じる南雲が遭遇する出来事に興味津々。中林さんは「初顔合わせでの本読みの時、監督が寄って来てリクエストを受けた。良いんですけど、江口さんが怒りません??」と困惑したが、中村監督は「南雲のキャラ的にカッコ良く終わりたくなく、最後にふわっとさせたかった」と明かす。中林さんは中村監督とは仲が良さそうであり「今回、初めて一緒に仕事をさせて頂いた。6年間大事に温めてこられ、思い入れが強い。僕も初めて読まさせてもらった時から、関西独特の愛情表現が上手に描かれている、と思った。それ以来、監督から様々な話を聞かせてもらい、仲良くさせてもらっています」と思い返していた。中村監督は、中林さんについて「真面目な方。撮影前に1人でふらっとあまろっくに行っているんですよ」と明かす。中条さんも「映画のスタッフさんからも、ほんまエエ男やわぁ、となったことを聞いてます」と添えていく。改めて、中村監督は「お芝居に真正面から向き合ってもらった。南雲が京大ラグビー部出身という設定だったので、太ってもらいました」と信頼していることを表す。

 

 

出来上がった作品を観た江口さんは「こうやって撮影し、映画が完成し、今公開出来ていることは、当たり前のことではないと思う。ここまでこれて良かったな」と喜んでいる。中村監督としては「あまり暗い話にしたくない」と控えめになりながらも「来年で阪神大震災30年の節目です。観た人が、ちょとでも前向きな気持ちになって頂ければ」と思いを込めている。中林さんも本作を観て「本の良さがそのまま出ている。嬉しくなりました」とお気に入りだ。また、笑福亭鶴瓶さんついて、中条さんは「仏さんみたいな方です。江口さんが『ええなぁ。師匠ええなぁ』とずっと言ってました」と振り返る。これを受け、江口さんは「思っていることを言っても笑いになるんですね。『これ、何待ち~?』と言っても、誰も、嫌な気持ちにならない。皆が笑っている。凄いなぁ」と雰囲気づくりを欠かさない人であることが伝わってきた。

 

最後に、江口さんは「小っちゃい子が観に来てくれて凄く嬉しいです。めっちゃ分かりやすい話だと思うので、子どもや
やおじいちゃんやおばあちゃんも連れて来てくれたら凄く嬉しいです」とメッセージ。中条さんは「ちょっと面倒くさい家族の物語と思うんです。だけど、共感できて、家族は大変で面倒くさいけど、そういうところに幸せを感じるのかな」と素直に話しながら「兵庫県の皆さんの評価で全国の映画館での上映期間も決まります。皆様の手にかかっています」と期待を込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『あまろっく』は、4月12日(金)より兵庫県の劇場で先行公開中。4月19日(金)より全国の劇場で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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