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大勢の方々に救って頂いたおかげで出来上がった…『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』村瀬継蔵監督と佐藤大介さんを迎え舞台挨拶開催!

2024年3月2日

亡き祖父が作るはずだった映画の世界に迷い込んだ孫娘と同級生をアナログ特撮と最新技術を用いて描く『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』が第19回大阪アジアン映画祭で世界初上映され、村瀬継蔵監督とプロデューサーの佐藤大介さんを迎えた舞台挨拶が開催された。

 

映画『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』は、「ゴジラ」シリーズで怪獣造形の礎をつくった美術造形家の村瀬継蔵さんが88歳にして初総監督を務め、自身が1970年代に香港の映画会社ショウ・ブラザーズからの依頼で制作したプロットを基に映画化した特撮ファンタジー。特殊美術造形家の時宮健三が他界した。孫の朱莉は時宮の仕事に良い思い出がなく、複雑な心境でファン向けのお別れ会に参列する。そこには特撮ファンである同級生の卓也も来ていた。朱莉と卓也は、時宮が作ろうとしていた映画「神の筆」に出演予定だったという男である穂積との出会いをきっかけに、その映画の世界に入り込んでしまう。そこでは、映画には登場しないはずの怪獣ヤマタノオロチが全てを破壊しようとしていた。NHK大河ドラマ「八重の桜」の鈴木梨央さんが朱莉、音楽ユニットFoorinのメンバーとして活躍した楢原嵩琉さんが卓也を演じ、釈由美子さん、斎藤工さん、佐野史郎さん、樋口真嗣さんが共演。「仮面ライダー」シリーズなどのデザイナーとして知られる高橋章さんがオリジナルコンセプトデザインを担当したほか、「ゴジラ」シリーズの怪獣デザインを手がけた西川伸司さん、「雲の神様」と呼ばれる背景絵師の島倉二千六さんら日本を代表する特撮クリエイターが参加した。

 

上映後、村瀬継蔵監督とプロデューサーの佐藤大介さんが登壇。特撮・怪獣映画ファンが駆け付け、大賑わいの舞台挨拶が繰り広げられた。

 

1970年代、村瀬さんが香港のショウ・ブラザーズとのお仕事で、特撮映画『北京原人の逆襲』に造形として携わっていた時、プロデューサーのチャイ・ランさんから企画の依頼があった。日々携わった造形の仕事を終えた後、夜中に脚本を2年間もかけて書き上げた。村瀬さんは出来上がった脚本をチャイさんに見せると「この本、おもしろいね。日本で撮ってもいいけど、出来ればショウ・ブラザーズで撮ってね」と良い反応を頂く。しかし、ショウ・ブラザーズが倒産してしまい、企画は流れてしまい、45年も経ってしまった。とはいえ、その間も村瀬さんは周囲の人にプロットを見せる機会があり、読んだ人からは「短くてもいいから映像として作らない?」と助言もあった。また、テレビで村瀬さんに関するドキュメンタリー番組が製作された際に、番組関係者から「せっかくなので、映画に」という声も頂き、本格的に映画化に向けて動き出していく。

 

 

2017年、村瀬さんが最初に書いたプロットを現代版にアレンジしていったが、村瀬さんから「今の子供達が楽しめるものにしたい」といった要望を受け、今作の脚本として仕上げていった。佐藤さんとしては「元々のプロットが変化していき、原形がなくなっていくと、村瀬さんの作品ではなくなってしまう」と危惧し、劇中に原形を残した構成にしている。村瀬さんとしては、映画として完成させようと意気込んでいたが、コロナ禍により止まってしまう。だが、クラウドファンディングによる支援も受け、改めて具体的に動き出していき「山があったり川があったり。色々なことがあり大変だったんですけども、佐藤君がいて応援してくれましたので、やっぱりやろう」と決意した。そのなかでは「村瀬さんが監督をやるなら、私は出ますよ」と声を上げた俳優もおり、応援していく輪がひろがっていき、最終的には、主題歌をDREAMS COME TRUEが担うことに。

 

 

DREAMS COME TRUEの吉田美和さんと村瀬さんは共に北海道池田町出身。村瀬さんが初めて吉田さんと会い、様々なことを話していく中で「出来れば私達も協力して、良い作品になったらいいね」と応援してもらい、驚いてしまう。そこで主題歌を依頼することに。改めて「いろいろな方のお力添えがあったから。ありがたいなぁ」と実感しており「故郷に恩返しをすると共に、この映画を作ろう。また、今後も造形の仕事をする人の為にも残していきたい」と思いは募っていく。今作は、最初に自主映画のような形式で始まっており、斎藤工さんらが出演を快諾して頂き、制作体制が整い、人間ドラマパートの撮影を進められた。佐藤さんは、DREAMS COME TRUEによる主題歌を最初に聞いた時は「怪獣を作っている人間のための曲であると同時に、怪獣ファンのための曲でもある。池田町で育った村瀬さんが見てきた景色を歌っている。相応しい主題歌になったな」と感じ、大泣きしてしまう。村瀬さんは、改めて「大勢の方々に救って頂いたおかげで出来た映画です。皆さんに観て頂いて、色々なことを話し合った。造形の仕事をものにしよう、と話してもらったこともあった」と思い返す。なお、制作当初には「最初で最後の映画だね」だと言われたこともあり「なんで終わりがあるの?」と疑問を抱くこともあった。「歳がいっているから、これで終わりだろう」という話もあったが「今になって考えてみると…次も、何かやってみたい」と意欲は大いにある。観客も湧き、佐藤さんは「爆弾発言をしてしまったような…」と驚きながらも「村瀬さんが本当に、やる、と思っているなら、僕もやるつもりであります…やります」と応じた。

 

映画『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』は、7月26日(金)より全国の劇場で公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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